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ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第1ステージ

ついに開幕した今年のブエルタ・ア・エスパーニャ。第1ステージは、北部スペイン、カスティーリャ・イ・レオン州の町ブルゴスを舞台とした7.1㎞の個人タイムトライアル。

スタート直後にブルゴス城へと至る登りが用意されたトリッキーなこの短距離TTで、最初にマイヨ・ロホを着ることになるのはどの選手か。

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1221年に着工し、200年ほどの中断期間を挟みつつ、1567年に完成したブルゴス大聖堂。

1984年には世界遺産に登録されたこの荘厳なる大聖堂の門前からスタートし、郊外のブルゴス城跡地へと至る登坂距離1.2㎞・平均勾配7.1%の「3級山岳」を経て、最後は下りと平坦ののちにフィニッシュ。

登りの頂上に置かれた中間計測地点までは登坂力やパンチ力がものをいい、そのあとはやはり重量級のTTスペシャリスト向きでもある、様々な要素が込められた短距離TTとなった。


序盤でトップタイムを記録したのは、イネオス・グレナディアーズのエースの1人にして、この日チームの1番手出走となったアダム・イェーツ。

これを塗り替えることになったのはチームメートのディラン・ファンバーレ。フィニッシュではイェーツのタイムを9秒更新したものの、しかし中間計測地点ではなおも3秒ファンバーレを上回りトップタイムをキープしている。

この後、アスタナ・プレミアテックのバスク人パンチャー、アレックス・アランブルがファンバーレの記録を更新して暫定トップに躍り出るが、そのアランブルも、中間計測ではアダムに2秒届かなかった。


その後はEFエデューション・NIPPOのトム・スクーリーがアランブルから4秒遅れの暫定2位、同チームのローソン・クラドックが暫定4位など好成績を叩き出していくが、中間計測のイェーツのタイムはなかなか更新されない。

そんな中、134番出走のルイ・オリヴェイラ(UAEチーム・エミレーツ)がこのイェーツの記録を3秒更新。さらに138番出走のセップ・クス(ユンボ・ヴィスマ)がこれをさらに1秒更新した。

だがオリヴェイラは落車でもあったのか、最後はノーマルバイクでフィニッシュし1分11秒遅れ。クスも後半失速し、アランブルから9秒遅れのフィニッシュとなった。

優勝候補と思われていたマイケル・マシューズ(チーム・バイクエクスチェンジ)は8秒遅れの暫定5位。もう1人の優勝候補マクシミリアン・シャフマン(ボーラ・ハンスグローエ)は16秒遅れと、うまくいかなかった。


終盤に差し掛かる中、中間計測1位はクスが塗り替えたものの、フィニッシュ地点での暫定1位はアランブルのまま変わらず。

ヤン・トラトニク(バーレーン・ヴィクトリアス)やヨセフ・チェルニー(ドゥクーニンク・クイックステップ)といった有力勢もこれを塗り替えることができないまま、このままステージ勝利及びマイヨ・ロホはアランブルの手になるのか・・・と思いきや。

最終出走者、昨年・一昨年の覇者プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)が、オリンピック金メダリストの証である黄金のヘルメット、黄金カラーのTTバイクを操って、終盤にかけて猛スピードでブルゴスの街中を駆け抜けていく。

中間計測はクスから3秒遅れ。それでもアランブルからは4秒早く、その状態で迎える後半戦は、ログリッチの方が何倍も適性も経験も豊富だった。

結果、フィニッシュ地点でもアランブルに対して6秒差をつけてフィニッシュ。最後の最後でマイヨ・ロホを奪い取られたアランブルは、苦笑しながらホットシートを後にした。


昨年に続き、ツール・ド・フランスで悔しい思いを味わい、しかし直後のレースでリベンジを果たしたログリッチが、史上3人目の「ブエルタ3連覇者」となるための第一歩を刻んだ。

第1ステージ


総合争いではログリッチを基準として

アレクサンドル・ウラソフ(+14秒)
ロマン・バルデ(+17秒)
エンリク・マス(+18秒)
アダム・イェーツ(+20秒)
フェリックス・グロスシャートナー(+20秒)
ジャック・ヘイグ(+21秒)
ミゲルアンヘル・ロペス(+21秒)
マキシミリアン・シャフマン(+22秒)
リチャル・カラパス(+25秒)
アレハンドロ・バルベルデ(+27秒)
ジュリオ・チッコーネ(+27秒)
エガン・ベルナル(+27秒)
ヒュー・カーシー(+33秒)
ラファウ・マイカ(+33秒)
ギヨーム・マルタン(+33秒)
ファビオ・アル(+37秒)
ミケル・ランダ(+39秒)
ルーカス・ハミルトン(+43秒)

と、言ったところ。

この短距離ですでに40秒近くタイム差をつけられているランダやハミルトンはかなり苦しいのと、ベルナルやカーシーも30秒近く失っており、不安がある。

この日自体のタイム差というよりは、これをもとに最終日の30㎞超TTのことを考えると・・・やはりどれだけ山岳ステージでログリッチからタイムを奪えるかが鍵となる。


翌第2ステージは大会最初の集団スプリントステージ。

山岳ポイントの一切ないオールフラットステージで、最強スプリンター決定戦の第一幕が描かれる。

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