見出し画像

パリ~ニース2021 第4ステージ

「太陽へと向かうレース」「ミニ・ツール・ド・フランス」の異名で知られる、サイクルロードレースシーズンの本格開幕を告げる8日間のステージレース。

第4ステージはシャロン=シュル=ソーヌからシルーブルまでの188㎞丘陵ステージ。ワインの名産地ボジョレーらしいアップダウンレイアウトに加えラストは緩やかながらも「山頂フィニッシュ」。総合系ライダーたちが動き出し始めること必至なステージとなった。

コースプレビューはこちらから

全23チーム161名のプレビューはこちらから


逃げは6名。

ジュリアン・ベルナール(トレック・セガフレード)
アントニー・ペレス(コフィディス・ソルシオンクレディ)
オリバー・ナーセン(AG2Rシトロエン・チーム)
ファビアン・ドゥベ(チーム・トタル・ディレクトエネルジー)
ホセ・ロハス(モビスター・チーム)
オスカル・リースベーク(アルペシン・フェニックス)

最大で6分近いタイム差をつけていたこの逃げも、最後から2番目の登り「ブルルイ(残り21㎞地点。登坂距離3㎞、平均勾配7.7%)でプロトンが本格的に動き出し始めると逃げ集団からはジュリアン・ベルナールがアタック。独走を開始する。

集団ではまずはイネオス・グレナディアーズが集団牽引を開始し、途中でローレンス・デプルスがアタック。これを吸収したあとはユンボ・ヴィスマのステフェン・クライスヴァイクが先頭をコントロールし、ハイ・ペースで刻み始める。

そしてこのブルルイの下りにて、グルパマFDJのエース、ダヴィド・ゴデュと昨年ジロの覇者テイオ・ゲイガンハートと共に落車。しばらく動けなかったゴデュだが、昨年のブエルタで彼を強力にアシストしてくれていたブルーノ・アルミライルの助けも借りて集団復帰。最後のリザルトにも絡む復活を見せてくれた。

一方、落車後すぐにリスタートできていたはずのテイオ・ゲイガンハートは、のちに脳震盪の疑いもありバイクを降りることに。これでイネオス・グレナディアーズは1日目にいきなりリッチー・ポートを失っただけでなくこの日もう一人のエース、ゲイガンハートも失うことに。シーズン序盤戦を好調に過ごしていた中で、ここで昨年を思わせるような苦境に立たされることとなってしまった。


残り15㎞。ベルナールを除く逃げ残りのメンバーをすべて吸収したと同時に集団からはレミ・カヴァニャがアタック。稀代の逃げスペシャリストのアタックに、少し遅れてルイスレオン・サンチェスも追随。彼もまた、残り10㎞程度からのアタックで勝利を掴むレイトアタックのスペシャリストである。

ラスト7.3kmから始まる最後の登り。全体の平均勾配は6%程度ではあるものの、登り初めの1km~2km区間と3km~4km区間がそれぞれ平均10%を超える激坂区間に。

この登り初めでカヴァニャが不運にもメカトラ。狭い道でチームカーもまともに来れない中、プロトンにも追い抜かれて勝機を失ってしまう。

そのプロトンでは最初の激坂区間でジョージ・ベネットが先頭に立ってペースアップ。ここに昨年ジロ・デ・イタリア総合2位のジェイ・ヒンドレーも食らいつく。

さらには昨年のツール・ド・フランスでアグレッシブな逃げを連発していたB&Bホテルス・p/b KTMのカンタン・パシェがアタック。しかしいずれもすぐに捕まえられ、ペースが速まっていく集団からはボブ・ユンゲルスや仕事を終えたジョージ・ベネットなどが落ちていく。

先頭ではサンチェスがベルナールに追い付く。残り4.2kmの2回目の激坂区間でピエール・ラトゥール(トタル・ディレクトエネルジー)がアタックする。バイクエクスチェンジのマイケル・マシューズもこれに追随する動き。

これを捕らえるべくさらなる加速を開始するプロトンによって、ベルナールが吸収。ルイスレオン・サンチェスはすでにこのベルナールを突き放し単独で先頭に。

そして残り3.1㎞。

一度は捕まえられたピエール・ラトゥールが再びアタック。

そしてこの動きに対してプロトンで反応したのはまさかのプリモシュ・ログリッチだった。

ヨン・イサギレがチェックに入る。しかしラトゥールを一瞬で追い抜いたログリッチは、そのままペダルを踏み抜いてイサギレも突き放していった。先頭のルイスレオン・サンチェスもあっという間に追い抜いていく。先日のストラーデビアンケ最終局面のマチュー・ファンデルプールも真っ青な「かっ飛び」方だった。

なんでこんなに早い段階でアタック?と思ったら、直後に用意されていた中間スプリントポイント。

この先頭通過による3秒のボーナスタイムが彼の1つ目の目標だったようだ。

ログリッチの攻撃に次に反応していたのがマイケル・マシューズだったが、彼もまたこのボーナスタイム狙いであった。ただこれはサンチェスとイサギレに先行されボーナスタイムは得られず。


中間スプリントポイントを超えたあともログリッチの勢いは留まることを知らなかった。最大のライバルだったイネオス・グレナディアーズも崩壊した中で、彼を止められるものなど誰一人いなかった。

圧倒的な力でライバルたちを薙ぎ倒し、堂々たる今期初レースでの1勝目を飾ったログリッチ。このまま今年も「彼の年」を形作るのか。

第4ステージ

集団では昨年の第1ステージで優勝しているシャフマンが先頭を獲り、昨年のツール・ド・フランス前半の登りフィニッシュでログリッチに追随する走りを見せていたマルタンが3位。全体的にやはりパンチャー力の高いクライマーが上位に並んでいる印象を受ける中で、ルーカス・ハミルトンやパシェあたりが興味深いリザルトを記録している。

今日のこのリザルトを受けて、総合首位=マイヨ・ジョーヌはログリッチに。すでに総合2位のシャフマンに35秒差をつけており、圧倒的である。昨年は新型コロナウイルスの影響で出場できなかったログリッチが、今年はこのまま問題なく総合優勝を飾ってしまうのだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?