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UAEツアー2021 第4ステージ

アラブ首長国連邦全域を舞台として開催される、今年最初のワールドツアーレース。平坦ステージと山岳ステージ、そしてTTとがバランスよく配置された7日間のステージレースである。

第4ステージはアル・マルジャン島を発着する204㎞の平坦ステージ。初日の平坦ステージがまさかの横風大分断作成が巻き起こっただけに、今日こそ純正の集団スプリントを、と期待されていた。

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スタート直後にアレクシス・ブルネル(グルパマFDJ)がアタックするもすぐに捕まえられ、その後はなかなか逃げが生まれず。アブダビ・ツアー時代から数えてこのレース史上最も長いこのステージを、集団が集団のままこなしていく。

そして迎えた残り151㎞地点の最初の中間スプリントポイント。第1ステージ2位のネオプロスプリンター、ダヴィド・デッケル(ユンボ・ヴィズマ)が先着し8ポイントを獲得。同じくネオプロの20歳ジョナタン・ミラン(ヴァ―レーン・ヴィクトリアス)が2着5ポイント、マッティア・カッタネオ(ドゥクーニンク・クイックステップ))が3着3ポイントを獲得する。

残り120㎞台で横風作戦を敢行しようとしたイネオスやドゥクーニンク・クイックステップなどがペースアップを図るも、分断は起こらず。

そして残り85㎞。ついにこの日最初の逃げが生まれる。

AG2Rシトロエン・チームのフランソワ・ビダール(フランス、28歳)、そしてグルパマFDJのオリヴィエ・ルガック(フランス、27歳)の2人。だがこの逃げも最大で2分半程度までしか許されず、残り26㎞で捕まえられてしまう。

そこからは集団スプリントに向けたトレイン合戦。残り5㎞の時点で6名近い選手が集団前方に上げていたドゥクーニンク・クイックステップも残り3㎞近くには姿を消しており、集団前方には総合リーダーのポガチャルのための危険回避とフェルナンド・ガビリアのスプリント勝利を狙うUAEチーム・エミレーツ、そしてカレブ・ユアンの勝利を狙うロット・スーダルが先頭を支配し始める。

ただ、クイックステップは昔から、集団スプリントの本当に直前までトレインを形成しないことはしばしばある。

今回も残り2㎞で何事もなかったかのように再び姿を現すクイックステップトレイン。そして最後の1㎞に。

ラスト500mで先頭を支配したのはボーラ・ハンスグローエ。かつてツアー・オブ・ジャパン東京ステージで優勝しているマーティン・ラースがリードアウト役を務め、残り200mでパスカル・アッカーマンを発射させる。

アッカーマンの後ろにはケース・ボル。その後ろにミケル・モルコフに率いられたサム・ベネット。さらにその後ろにはカレブ・ユアン。アンドレ・グライペルはユアンからベネットの番手を奪おうとしていたがうまくいかなかった。

残り200mでアッカーマンがスプリントを開始したとき、その右手からケース・ボルが加速するが、なかなか伸び切らない。

そしてこれを見てサム・ベネットがその逆側、左手からスプリントを開始。ボルが飛び出した時に空いたギャップを埋めてベネットの番手についたジャコモ・ニッツォーロを追い抜くようにしてコースの左端から加速したベネットは、結果として完璧なタイミングで発射される形に。

ユアンも同時に右から行こうとするが、仕事を終えて後退するモルコフと、右側から上がってこようとするフェルナンド・ガビリア&エリア・ヴィヴィアーニらも混ざって渋滞状態となったコース右側でやや停滞し、コース取りのためにスプリントの勢いを殺す結果となってしまった。

最後は早すぎたスプリント開始のために最後失速したアッカーマンを追い抜いて、ベネットが先頭でフィニッシュに到達。

ユアンも明確に強烈なスプリントでこれに迫るが、ベネットのスリップストリームを利用して勢いよく加速したダヴィド・デッケルにも抜かれ、3位でフィニッシュする結果となった。

第4ステージ

しかしデッケルは本当に凄い。第1ステージはあくまでも横風分断で絞り込まれた集団の中での2位と思っていたが、今回はこの豪華メンバーの中での見事な結果だった。

しかも残り200m時点でもまだ前から10番目程度にいた彼が、集団全体が右に寄って目の前が開けた瞬間に加速を開始。

折悪く(いや、絶妙なタイミングだったからこそか?)ベネットが左手に進路を切ったタイミングだっただけに、目の前を彼に塞がれてしまう形となったが、位置取りが完璧&リードアウトするアシストさえいれば、勝利を掴んでも全くおかしくない走りだった。


元々非常に期待されていたSEGレーシングアカデミー出身のスーパールーキー。だが、この(下手したらツール・ド・フランスよりも豪華な)UAEツアーの最強スプリンター陣の中での2回目のステージ2位は、正直想像を超える走りである。

この先の第6・第7ステージも彼の走りに注目しておきたい。


ただ、明日はまずは総合争い。今大会2度目の山頂フィニッシュであり、おそらくは今大会最後の総合争いの舞台。

タデイ・ポガチャルはこのまま逃げ切るのか。それともアダム・イェーツやジョアン・アルメイダが、逆転を狙う一か八かの攻撃に出るか。

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