パリ~ニース2021 第6ステージ
「太陽へと向かうレース」「ミニ・ツール・ド・フランス」の異名で知られる、サイクルロードレースシーズンの本格開幕を告げる8日間のステージレース。
第6ステージは南仏プロヴァンスのブリニョールからカンヌを越えてニース近郊のビオットへ続く202.5km丘陵ステージ。
後半に標高1,000m越えの山を越えてラストは2㎞にわたって5%前後の勾配が続く登りフィニッシュ。逃げ屋には最適なコースと見られていた。
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逃げは6名。
ジュリアン・エルファレス(EFエデュケーション・NIPPO)
ヴィクトール・カンペナールツ(キュベカ・アソス)
アレクシー・ルツェンコ(アスタナ・プレミアテック)
ケニー・エリッソンド(トレック・セガフレード)
アントニー・ペレス(コフィディス・ソルシオンクレディ)
レイン・タラマエ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
ルツェンコやエリッソンドなど、結構強力なクライマーも含まれており、面子だけ見ればまさに逃げ向きのステージ乗った実力者たち、と見ることもできるが、タイム差は意外にも伸びず最大で4分行かない程度。
前日までで29ポイントを収集しており山岳賞ジャージを着用しているペレスはこの日も5つある山岳ポイントのうち最初の4つまでを先頭通過し、合計ポイントを52ポイントにまで伸ばし独走中。このまま確定といってもいいレベルか?
そのペレスも最後の山岳ポイントを前にした残り58㎞で脱落。エルファレスもタラマエも脱落し、ルツェンコもメカトラで失速。最終的には残り21㎞でエリッソンドがアタックし、独走を開始する。
ここに残り13㎞で集団からアタックしたヨナス・ルッチがブリッジ。10秒程度にまで迫っていた先頭とプロトンとのタイム差を、ルッチとエリッソンドのローテーション、とくにルッチがガンガンに牽いた結果、20秒程度にまで広げていく。
そして残り3.4㎞でエリッソンドを突き放し、独走態勢に入るルッチ。昨年のツアー・ダウンアンダーの最終日ウィランガ・ヒルで強さを見せつけたネオプロ2年目。2m近い巨体を操り、U23ヘント~ウェヴェルヘム優勝経験もある、ヴォーターズ監督曰く「ターミネーターのアーノルド・シュワルツネッガーのようなマシン」がその存在感を示していく。
だがこの勇気ある逃げも、残り1㎞で集団に吸収。
サム・ベネットも止まりそうになるくらいの登り勾配で、最初に飛び出したのは「パンチャー」ギヨーム・マルタン。
だが、マルタンの動きは彼自身の勝利というよりは、彼の背中にぴったりと貼りつくプリモシュ・ログリッチの、そのさらに背中に貼りついたチームメート、クリストフ・ラポルトのためだったのかもしれない。
登り勾配とはいえ激坂とまでは言わない登りスプリントフィニッシュ。比較的登りにも強いスプリンターのラポルトにとって、この日のフィニッシュレイアウトは最適であった。
しかしまあ、相手が悪すぎた。ログリッチは純粋なグランツールライダーにしては、あまりにも決定力の強すぎるライダーだった。
ベストなタイミングでログリッチの背中から飛び出せるチャンスのあったラポルトだったが、彼の想像以上の加速力を見せたログリッチに対し、その横に並ぶことすらできずに終わってしまったのだ。
後方から加速する同じく激坂ハンターのマシューズ、トゥーンスも、今年のシーズン開幕戦グランプリ・シクリスト・ラ・マルセイエーズでコカールやトマ・ブダを登りスプリントで打ち破ったパレパントルも、同じく追いすがることしかできずに終わった。
TTも登りも、そしてスプリントも無類の強さを誇るプリモシュ・ログリッチ。彼はまさにUNSTOPPABLEである。
そしていよいよ、クイーンステージへ。
ログリッチにとっても今年最初となる本格的な山頂フィニッシュで、変わらぬ強さを見せつけてくれるのか。
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