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パリ~ニース2022 第1ステージ

欧州ワールドツアー・ステージレースの開幕戦。「太陽へと向かうレース」パリ~ニース。今年はプリモシュ・ログリッチやアダム・イェーツ&サイモン・イェーツ、そしてファビオ・ヤコブセンやジャスパー・フィリプセンなど、各方面のトップライダーたちが集まる、ここ数年の中でもとくに豪華なラインナップとなっている。

過去、何度も劇的な逆転劇などが繰り広げられている実にドラマティックな1週間を振り返っていこう。

第1ステージはパリ近郊の小さな町マント=ラ=ヴィルを発着する全長159.8㎞平坦ステージ。

集団スプリントが予想された、波乱の少ないステージと思われていたが・・・。


最初にできた逃げは2名。

マシュー・ホームズ(ロット・スーダル)
アイメ・デヘント(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)

だがこの逃げは残り70㎞で早くも吸収。パリ~ニース恒例の横風作戦か? しかし集団は縦に長く引き伸ばされはしたものの、そこまで風は強くなく、決定的な分裂は起きなかった。

が、残り46㎞で大落車が発生。この結果、フェリックス・グロスシャートナー(ボーラ・ハンスグローエ)がリタイア。

さらにこの直後に新たに3名の逃げが出来上がった。

エフゲニー・フェドロフ(アスタナ・カザフスタンチーム)
フレデリック・フリソン(ロット・スーダル)
アレクシー・グジャール(B&Bホテルス・KTM)


このまま問題なく逃げを吸収し、集団スプリントへと向かっていく・・・そんな風に思っていたが、波乱は残り13㎞から始まった。

残り13㎞。先頭3名とのタイム差は17秒。

このタイミングで、メイン集団の先頭を元TT世界王者のローハン・デニス(ユンボ・ヴィズマ)が牽引していく。

さらに残り10.7㎞。ファンアールトがマイク・テウニッセンに何かしら声をかける。直後、デニスが仕事を終え、今度は先頭をテウニッセンが牽き始めた。

ひたすらハイ・ペースで牽き続けるユンボ・ヴィズマ。集団は縦に長く伸び定期、本来予想されていた残り10㎞からの複数トレイン合戦という形では全くなくなってしまった。

さらに、こういう展開に強いはずのソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス)も脱落。

マイケル・ストーラー、ケース・ボルなども脱落していき、いよいよ集団はサバイバルの様相を呈し始める。


そして残り5.7㎞地点に用意された最後の3級山岳(登坂距離1.2㎞、平均勾配6%)。ここでネイサン・ファンフーイドンクが先頭に立って加速。さらにクリストフ・ラポルトに交代し、さらなるペースアップ。

この一撃で、ラポルト、ワウト・ファンアールト、プリモシュ・ログリッチの3名が完全に抜け出した。最初ゼネク・スティバル(クイックステップ・アルファヴィニル)も食らいついていたがすぐに引き離され、のちに集団からピエール・ラトゥール(トタルエナジーズ)も抜け出してブリッジを仕掛けようとするが成功しなかった。

結局、ユンボ・ヴィズマの3名だけが先頭に飛び出す形に。ある意味パリ~ニースらしい波乱とも言えるが、横風もなく、ひたすらにチームとしての意思だけでこのような状態を作り出されるというのは・・・あまりにも驚きである。


そのまま後続に20秒近いタイム差をつけて3名がフィニッシュに。最後は残り500mでワウト・ファンアールトがラポルトに声をかけ、勝利を手にするよう薦めた。

かくして、クリストフ・ラポルト。エースの座を捨て、移籍した先の「最強チーム」で、その2日目のレースにて見事チームの大きな目標に貢献し、勝つ自らの勝利と、そしてマイヨ・ジョーヌを掴み取った。

大体の総合優勝候補たちはすべてこの22秒遅れでフィニッシュ。ログリッチは彼らに対しボーナスタイム6秒込みで28秒差を手に入れた。

また、昨年・一昨年の総合優勝者マクシミリアン・シャフマンは36秒遅れ。昨年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合5位のジーノ・マーダーも同じく36秒遅れることとなった。

なお、レイン・ターラマエやルーカス・ハミルトン、マイケル・ストーラーなどはさらに2分以上遅れており、彼らは早くも総合争いから脱落。今後はアシストかもしくは逃げ切り勝利を狙って飛び出すこととなるだろう。


第2ステージは今度こそ集団スプリントになるか。但し、横風には要注意のステージでもある。


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