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エトワール・ド・ベセージュ2021 第4ステージ

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南仏ガール県を舞台に5日間の日程で開催されている1クラスのステージレース、エトワール・ド・ベセージュ(ツール・デュ・ガール)。

第4ステージはルソンからサン=シフレまでの151.6㎞丘陵ステージ。

とはいえ前日ほどの激しいアップダウンではなく(総獲得標高2,017m)、ラストが集団スプリントになることも十分予想されるステージであった。

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この日、生まれた逃げは5名。

フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)

アレクシス・ブルネル(グルパマFDJ)

アンソニー・ペレス(コフィディス・ソルシオンクレディ)

ドリース・デボン(アルペシン・フェニックス)

ルドヴィク・ロベート(ビンゴール・ワロニーブリュッセル)


このうちのロベートは現在、山岳賞ポイントを12ポイント保有しており、山岳賞ランキングでも2位につけている。

山岳賞ランキング首位に立つアレクサンドル・デュレット(デルコ)は現在28ポイントを保有しており、その差は16ポイント。そして2級山岳が2つ用意されたこの日、両方獲得すれば12ポイントは獲得でき、最終日山岳TTのラストに用意された1級山岳(10ポイント)次第では・・・という状況ではあった。

とはいえ、おそらくは登り区間最速を取らないといけないTTでの山岳ポイント収集は現実的ではない。そして実際にこの第4ステージでも2つある山岳ポイントの片方しか取れなかったようで、この日の終了時点での保有ポイントは18ポイント。

これで、デュレットのこのエトワール・ド・ベセージュ2021における山岳賞獲得は確定した。あとは、最終日までリタイアせず走り切ることだけである。


さて、5名の逃げはメイン集団から約2分のタイム差をキープされたまま、少しずつそのタイム差を縮められていく。

メイン集団の牽引は主にチーム・トタル・ディレクトエネルジーとEFエデュケーション・NIPPOが担当。

そして、残り20㎞を目前としてそのタイム差が20秒近くにまで縮まっていたタイミングで、メイン集団の先頭から、トタルの選手がアタック!


このトタルの選手の動きに対し、すぐさま反応するEFの選手2名。

これは集団への引き戻しか・・・と思ったら、なんとこれはトタルのアタックに反応し、彼ら自身も逃げようとする意志の表れだった。

抜け出したトタルの選手(おそらくピエール・ラトゥール)を捕まえ、さらにこの小集団(EF2名、トタル2名、アンテルマルシェ1名)の先頭で全力牽引を続けプロトンとのギャップを作り出そうとするEFの選手。

最終的に彼は足を使い果たしこの抜け出した集団から千切れることになるが、彼が先頭に送り届けようとしたチームのエース——すなわち、昨年総合2位のアルベルト・ベッティオルとピエール・ラトゥール、およびもう1人のトタルの選手、アントニー・テュルジの3名とが、逃げていた先頭5名に追い付く格好となった。


元々逃げ集団にいたロベートが遅れた結果、先頭はベッティオル、ラトゥール、テュルジの3名を加えて計7名に。

ブルネルもトラブル(突然歩道に乗り上げる。空きボトルを踏んだという話も?)によって遅れて先頭は6名になるが、残り10㎞を切ったところで、不意をついてフィリッポ・ガンナがアクセルを踏んだ!


この男だけは、絶対に逃がしてはいけない。それは、昨年のジロ・デ・イタリアでの鮮烈な逃げ切り勝利のときにも明確に分かっていたはずだった。

しかし、ベッティオルも、2人も入れていたトタルも、全くこの動きに反応することができなかった。そしてそのあとも連携してローテーションを回すにも関わらず、「重戦車」ガンナはひたすらTTポジションでそのタイム差をむしろ開いていく。

誰もが思った。「あ、これは決まった」と。


前日に逃げていた17名以外は3分以上の総合タイムビハインドを持っているため、ガンナは総合においては危険な存在ではない。

それゆえに、逃げ残り集団を吸収したメイン集団も彼を必死で追いかけることもせず、安全運転。

まるでこれも一種のシーズン開幕トレーニングであるかのように、悠々としたスタイルでガンナはフィニッシュラインに飛び込んできた。

チームに捧げる、2021年シーズン最初の勝利。

そしてそれは、シーズンオフ期間に新型コロナウイルスに罹患し、苦しんだ経験を持つガンナにとっても、安心できる走りと勝利であったようにも思う。

第4ステージリザルト


メイン集団では集団スプリントとなり、先頭を獲ったのはラポルト。

ようやく訪れたまともなスプリントの機会にアッカーマンはせめて集団先頭を、と意気込んだが、惜しくも2位。昨年もシーズン初頭に2位を連発するなど苦しんだシーズンを過ごした彼にとって、あまり幸先よくないリザルトではある。

一方、スポートフラーンデレンの若手スプリンター・メンテンも実質的な4位に入り込むということで、ここもちょっと注目しておきたいリザルトである。

そしてコフィディスのラポルトが第1ステージの勝利に続き絶好調。今大会のポイント賞もほぼ確定と言っていいだろう。

今年こそは悲願のツール・ド・フランス勝利をチームに持ち帰れるか?


明日はいよいよ最終日「山岳TT」。

今のところ総合首位に立つティム・ウェレンスが圧倒的有利ではあるものの、果たして・・・。

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