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ツール・ド・フランス2022 第1ステージ

ツール・ド・フランス初となるデンマークでのグランデパールは、シェラン島に浮かぶ同国首都コペンハーゲンでの短距離個人タイムトライアルで開幕する。

「北欧のパリ」とも呼ばれる美しい街であり、国を代表する作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンによって書かれた有名な「人魚姫」のブロンズ像など、市内に散りばめられた観光名所も巡っていくオールフラットのコースとなっている。


天気は生憎の雨。細い橋や特殊な路面が雨によって滑りやすくなっており、序盤で出走した優勝候補(今年唯一フィリッポ・ガンナを倒している男)シュテファン・ビッセガー(EFエデュケーション・イージーポスト)も、2度にわたる落車を経験して勝機を失ってしまう。

そんな中、12番出走のマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク)が15分30秒62のトップタイムを記録し、オランダTT王者となったバウケ・モレマ(トレック・セガフレード)のタイムを早速更新し、暫定首位に。

優勝候補の一人プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)も好走を見せるもファンデルプールの記録に2秒届かず。地元デンマーク期待のマッス・ピーダスン(トレック・セガフレード)もログリッチを超える走りを見せたものの、ファンデルプールの記録には1秒83届かなかった。

その後、2017年の雨の初日TTで優勝したゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ)や、ログリッチ級のTT能力を持つ地元デンマークのヨナス・ヴィンゲゴー(ユンボ・ヴィズマ)もファンデルプールの記録に挑むも、届かず。

やはり、この男を倒せるのは彼しかいない。誰もが認める本日の絶対的優勝候補、現世界王者のフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)

前半は2回ほどバランスを崩したりコーナーで膨らみ過ぎてしまうミスを重ね、中間計測では暫定5位。苦しい結果になるかと思ったが、後半で一気に盛り返し、最終的に2秒48ファンデルプールを上回り、期待通りの暫定首位となった。

と、思ったら! 直後に出走していたワウト・ファンアールト(ユンボ・ヴィズマ)が、このガンナの記録を一気に5秒67も更新する。昨年の世界選手権2位、かつシクロクロッサーとしてバイクコントロール力も随一の彼が、今度こそ「1位」を手に入れるための見事な走りを見せつけた。


が、驚きは結末にあった。有力勢が天気模様を予想して前半に固まって出走していたのに対し、後半を選び取ったイヴ・ランパールト(クイックステップ・アルファヴィニル)。うまく回復してきた天候にも助けられ、この日の勝利を本気で狙っていたという「フィリップ・ジルベールの弟子」が、ファンアールトの記録を5秒上回り、まさかのマイヨ・ジョーヌ獲得を果たした。

ファンアールトはまたしても「2位」に甘んじることとなった。

年齢表記はすべて2022/12/31時点のものとなります。

なお、驚きの走りを見せたのがクリストフ・ラポルト(ユンボ・ヴィズマ)。ファンアールトらの後に出走し、中間計測を更新するなど、そのままいけばもしかしたら・・・と思える走りであった。

が、彼もビッセガー同様落車に見舞われ、その機会は失われてしまう。ただ、彼も間違いなく良いコンディションでこのツールに臨めていることが良く分かり、この後の走りに引き続き注目していきたい。

ポガチャル、ヴィンゲゴー、ログリッチらの好成績は予想通りだが、前哨戦クリテリウム・ドゥ・ドーフィネでもログリッチ&ヴィンゲゴーに食らいつく素晴らしい走りを見せ、今大会総合表彰台候補筆頭であったベン・オコーナーが1分近いタイムを失ったのは残念。マス、ヘイグ、ゴデュらと合わせ、やはりTT能力が彼らの課題となるか。

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