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イツリア・バスクカントリー2021 第1ステージ

スペイン・バスク地方で開催される、パンチャーとオールラウンダーのためのステージレース。

今年はタデイ・ポガチャル、プリモシュ・ログリッチ、アダム・イェーツといった今年の「3強」が初めて激突するレースであり、今年最注目の1週間である。


第1ステージはビルバオを舞台とした短距離個人TT。

最初の2.6kmは最大勾配11%勾配区間を2つ含む厳しい登り。その山頂からおよそ9㎞にわたる下りを経て、2㎞ほどの平坦区間。

そしてラスト600mは最大勾配19%の超激坂となる。純粋なTTスペシャリストにはやや厳しいレイアウトか。


総合争いにも影響を確実に及ぼす重要な開幕ステージ。

最初に大きなリードを手に入れるのはどの選手か。

コースプレビューはこちらから


驚くべきことに、この日の最有力優勝候補の1人であるプリモシュ・ログリッチが167人中10番手出走という驚きの位置。

その2つ前に出走したTTスペシャリストのパトリック・ベヴィンも素晴らしい走りを披露したものの、やはり当たり前のようにログリッチがタイム差を28秒更新して暫定首位に。

このまま長くホットシートに居座り続けることが予想された。


驚くべき走りを見せたのがこのログリッチにとってのセップ・クスに次ぐ最強山岳アシスト候補となりつつあるヨナス・ヴィンゲゴー。

先日のUAEツアーのジャベル・ジャイス・ステージでも優勝し、その後のセッティマーナ・インテルナツィオナーレ・コッピ・エ・バルタリでも総合優勝した絶好調のデンマーク人が、ログリッチから17秒遅れの暫定2位に。

マキシミリアン・シャフマン、ウィルコ・ケルデルマンなど、実力派オールラウンダーたちも次々と迫る中、しっかりとこれらをかわして暫定2位の座を守り続けている。

さらに、2019年ツール・ド・ラヴニール覇者のトビアス・フォスも、昨年のジロ・デ・イタリアでの好成績をそのままに、ヴィンゲゴーから6秒遅れの暫定3位。

これで、暫定表彰台をユンボ・ヴィスマが独占することに。


だがそこに牙を剥いたのが、昨年のジロ・デ・イタリアのTTで3位と8位、そして今年のパリ~ニースとカタルーニャ1周のTTで共に5位と絶好調のブランドン・マクナルティ。

中間計測地点でログリッチを4秒上回り、最後は登りで差を付けられたものの、それでも1秒遅れでの暫定2位。

ヴィンゲゴーを16秒上回る圧倒的な走り。そのTTの安定感においては総合系随一、それこそ本当にログリッチ、ポガチャルに並ぶ実力派オールラウンダーであることを示して見せた。


そして、昨年のツール・ド・フランスでログリッチを打ち破った男、タデイ・ポガチャル。

中間計測でブランドン・マクナルティを2秒下回っての暫定2位。

それはすなわち、この中間計測でログリッチを2秒上回ったことを意味していた。


やはり、今回もポガチャルがログリッチを倒すのか――しかし、そのポガチャルは後半において失速。

エチェバリア公園への短くも急な登りを前にして、彼がログリッチの記録を超えることがかなり難しいことは、明らかとなった。

もしかしたら風の影響などで、前半スタートを選択したユンボ・ヴィスマの戦略が功を奏したのかもしれない。

そうだとしたら、他チームが順当にエースを後半に持ってきた中で、ユンボだけがその選択をできたのは素晴らしいことである。

第1ステージ

ポガチャルvsログリッチ、因縁の対決の最初の一手は、まずはログリッチがポガチャルを28秒上回る結果に。

1週間のステージレースでこの差は大きい。あとは、昨年以上に山岳登坂力の安定感が増しているポガチャルがどこまで走れるか。

そして、もう1人のライバル、アダム・イェーツもカタルーニャに続きかつての彼からすると信じられないような好成績。これはもう、偶然ではなく実力である。

ポガチャルとのタイム差は0秒。

ただしこのあとのステージでボーナスタイムも比較的取り易いログリッチやポガチャルに対しアダムはやや不利。

最終日山頂フィニッシュでどれだけイネオスとしての支配力を見せられるか。そしてそれまでにどれだけこのタイム差を守れるかが勝負である。






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