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ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 第10ステージ

オランダ、そしてバスクといった「北」の戦いを終え、プロトンは一気にスペイン南東部のバレンシア州へ。そしてその初日は、30㎞超の長距離個人タイムトライアル。

全体的に直線基調+長い下り基調。純粋なTTスペシャリスト向けのレイアウトといった感じだが、果たして。


序盤でトップタイムを記録したのが44番出走の「クレルモンフェランのTGV」レミ・カヴァニャ(クイックステップ・アルファヴィニル)ローソン・クラドック(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)がそこから37秒遅れの暫定2位。優勝候補であった元世界王者・今年の英連邦選手権覇者のローハン・デニス(イネオス・グレナディアーズ)はカヴァニャから1分21秒も遅れ本調子ではなかった様子。

そして終盤にかけて(フィニッシュ前でコースミスするというアクシデントもあって)ジョアン・アルメイダ(UAEチーム・エミレーツ)や今年のジロ・デ・イタリアTTで優勝したサイモン・イェーツ(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)などもカヴァニャの記録に届くことはなく、パヴェル・シヴァコフ(イネオス・グレナディアーズ)が第1計測でカヴァニャと同タイムを記録するが最終的には27秒差の暫定2位。あとは、総合争いを繰り広げる2大オールラウンダー、プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィズマ)レムコ・エヴェネプール(クイックステップ・アルファヴィニル)次第となった。

そのログリッチが第1計測でカヴァニャ、シヴァコフと同タイムの暫定3位。そのままフィニッシュに向けてさらにペースを上げていき——最終的にカヴァニャの記録を14秒更新し、暫定トップに。実に2時間半に渡り守り続けてきたホットシートを、ついに明け渡すこととなった。

だが、やはりこの男は強かった。元々世界選手権TTで2位の経験も持つレムコ・エヴェネプールが、マイヨ・ロホ・マジックも味方につけ、第1計測でカヴァニャを21秒、第2計測地点で36秒、そしてフィニッシュ地点ではログリッチの記録をさらに48秒も更新して、文句なしの優勝を成し遂げた。

これは彼にとって初となるグランツールでの勝利ともなった。

年齢表記はすべて2022/12/31時点のものとなります。


TTスペシャリスト向けのド平坦TTだったはずだが、元々あまり平坦系の強力な選手が多くはなかったこともあり、TOP10リザルトには意外とグランツールライダーが名前を連ねている。とくに普段はTTでタイムを落とすことの多いベン・オコーナー(AG2Rシトロエン・チーム)が1分53秒遅れの12位や、エンリク・マス(モビスター・チーム)が10位などは結構頑張っていると言えるだろう。

なお、ここで素晴らしい走りを見せたサイモン・イェーツとパヴェル・シヴァコフは残念ながら翌日にCovid-19陽性でリタイア。決して調子が悪いわけではなかっただろう中で、非常に勿体ないことである。

今回の結果を受けて、エヴェネプールは総合2位プリモシュ・ログリッチに対して2分41秒差。このまま、圧倒的な強さを見せたまま最後まで突っ走ってしまうのか?

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