ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第15ステージ
いよいよ第2週の最終日。ただし、勝負所とも言える1級山岳がフィニッシュ前38.4㎞地点と遠い位置にあり、かつ終盤は緩やかな3級山岳と下りフィニッシュ。
総合争いにおいては大きな影響は及ぼし得ないとも思われるステージで、劇的な逃げ切り勝利が決まる結果となった。
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序盤から終始激しいアタック合戦が繰り広げられ、最初の50㎞を消化した時点で平均時速は50㎞/h。生まれては消えを繰り返しつつ、最終的には最初の1級山岳の登りで以下の3名の先頭集団が出来上がる。
マキシム・ファンジルス(ロット・スーダル)
ファビオ・アル(チーム・キュベカ・ネクストハッシュ)
ラファウ・マイカ(UAEチーム・エミレーツ)
やがて先頭からファンジルスが脱落し、アルとマイカだけに。
残り112.7㎞。1級山岳山頂をこの2人が通過した時点で、後方には2分11秒差で21名の追走集団が形成されていた。
ステフェン・クライスヴァイク(ユンボ・ヴィスマ)
ジョフリー・ブシャール(AG2Rシトロエン・チーム)
ゴルカ・イサギレ(アスタナ・プレミアテック)
ワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス)
アンドレア・バジョーリ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
ディエゴアンドレス・カマルゴ(EFエデュケーション・NIPPO)
ルディ・モラール(グルパマFDJ)
シモーネ・ペティッリ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
ガイ・ニーヴ(イスラエル・スタートアップネーション)
ステフ・クラス(ロット・スーダル)
マキシム・ファンジルス(ロット・スーダル)
カルロス・ベローナ(モビスター・チーム)
ルーカス・ハミルトン(チーム・バイクエクスチェンジ)
ミケル・ニエベ(チーム・バイクエクスチェンジ)
テイメン・アレンスマン(チームDSM)
クリス・ハミルトン(チームDSM)
マイケル・ストーラー(チームDSM)
マーティン・トゥスフェルト(チームDSM)
ジャンルーカ・ブランビッラ(トレック・セガフレード)
フアンペドロ・ロペス(トレック・セガフレード)
ジョセフロイド・ドンブロウスキ―(UAEチーム・エミレーツ)
さらに2つ目の2級山岳の登りの途中、その山頂まで残り3.5㎞(フィニッシュまで87.3㎞)地点で、先頭からアルが脱落。
ここから、マイカの独走が始まった。
ステフェン・クライスヴァイク、ワウト・プールス、ジョフリー・ブシャールなど9名の追走集団が一時1分差にまでマイカに迫っており、その中からさらにクライスヴァイクが単独で抜け出してマイカを追走する。
しかし残り距離が着実に縮まっていく中で、先頭マイカと追走クライスヴァイクとのタイム差は1分30秒から40秒の間で動かない。
チームカーに乗るマヌエーレ・モーリの激励を受けながら、マイカは独り、フィニッシュへと淡々と突き進んでいく。
そして、フィニッシュ直前。
2015年ツールで同じように独走勝利をしたときのように、カメラに向かって笑顔を向けて、勝利を確信したマイカ。
2017年ブエルタでの勝利以来、実に4年ぶりの勝利。エースであることを辞め、アシストとしてUAEに招かれた男が掴んだ、大きな勝利であった。
総合争いはやはり動かず。むしろ中盤までアンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオがマイヨ・ロホを着るエイキングのために集団をしっかりと牽引し、10分遅れの総合16位フアン・ロペスに万が一にでもマイヨ・ロホを奪われないためのコントロールに精を出していたくらいだ。
それでも最後の登りの途中で集団から総合8位アダム・イェーツがアタック。最終的にはログリッチたちから15秒を奪い取って4位フィニッシュすることに成功した。
エイキングはこのログリッチやマスらと同じ集団でフィニッシュ。堂々とマイヨ・ロホを保持。
だが、問題は3週目。
とくに第17・第18ステージはそれぞれ「コバドンガ」および「登坂距離15㎞で平均勾配10%という史上最凶の登り」が控えている。
さすがにここでマイヨ・ロホは真の実力者の手に委ねられることになるだろう。
それはログリッチなのか、マスなのか、ロペスなのか、それともここまで牙を隠し続けていたベルナルやアダム・イェーツなのか、それとも。
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