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ジロ・デ・イタリア2021 第7ステージ

イタリアを舞台に開催される今年最初のグランツール。サイモン・イェーツ、アレクサンドル・ウラソフ、エガン・ベルナル、レムコ・エヴェネプールなどが覇を競い合う、なかなか予想のつかない3週間。

第7ステージはノタレスコからテルモリまでの181㎞平坦ステージ。

集団スプリントはほぼ間違いないとされながらも、ラスト2㎞を超えたあとは3つの直角カーブと狭い道、そしてラスト1.5km地点には最大12%の瞬間的な激坂など、一筋縄ではいかない仕掛けも。

アシストの力に頼らない、混戦に強いスプリンターに有利なレイアウトと予想されていた。

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前日の厳しい山岳ステージを終え、総合勢は完全なオフペースに。

逃げもUCIプロチームの3名のみで構成され、完全にコントロールされた「平穏な」展開に終始した。

ウンベルト・マレンゴ(バルディアーニCSF・ファイザネ)
シモン・ペロー(アンドローニジョカトリ・シデルメク)
マーク・クリスティアン(EOLOコメタ)

残り88㎞の最初のスプリントポイントで、ダニエル・オス(ボーラ・ハンスグローエ)に牽引されてペテル・サガンがアタック。

先頭はマレンゴ、次いでペロー、クリスティアン、そして集団先頭をサガンが獲り、マリア・チクラミーノ獲得に向けた意気込みを示した。


大きな動きはそれくらいで、あとはトラブルもなく調和のとれた展開で残り距離が消化されていき、ラスト17㎞地点で3名の逃げもすべて吸収。

その後カウンター的な動きが巻き起こることもなく、淡々と最後のスプリントに向けて突き進んでいった。


残り5㎞を切り、ラウンドアバウトが連続する中で加速するプロトンは思いのほか小さくなる瞬間も。

その時点で集団の先頭はユンボ・ヴィスマが積極的に牽引しつつも、残り2.5㎞からはロット・スーダルがカレブ・ユアンのための隊列を組みながら集団の先頭へと上がってくる。

問題の残り1.6㎞からの12%激坂区間。ここでアンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオの選手がまずは先行するが、この動きをロット・スーダルのアシストたちがしっかりと抑え込む。

次いでカウンターで飛び出したのがEOLOコメタのフランチェスコ・ガヴァッツィ。正統派スプリントでは勝負が難しいプロチームのパンチャーによる奇襲を、ボーラ・ハンスグローエのダニエル・オスが巧みに抑え込む働きを見せて無効化する。

ガヴァッツィとオスの抜け出しを、残り500mを切ったところで飲み込んだロット・スーダルを先頭とするトレイン。

ロット・スーダルとしては、最強のエース、カレブ・ユアンのために、彼らが唯一なしうることが求められる最高の働き——すなわち、戦いの始まるラスト数百メートルまでエースを運び上げること——を十分に成し遂げた。それさえすれば、このユアンという男は勝てるのだ。

もちろん、そうはさせじと、ライバルたちも動き出す。

とくに、「早めの抜け出し」を得意とするのが、ユアンにとって同世代最大のライバルであり続けた男、フェルナンド・ガビリア(UAEチーム・エミレーツ)

彼の最新の勝利である昨年のジロ・デッラ・トスカーナも、終盤のアタックで勝利を掴み取っていた。彼の「早駆け」は、実に危険な動きであった。


だが、ここまで勝利のために自分を運び上げてくれていたチームメートの献身に応える義務が、ユアンにはあった。

冷静にガビリアの背中に乗り込み、加速していくユアン。

「残り450mからスプリントしなければならなかったので、僕の足は本当に燃え尽きていた。ちょっと登り貴重だったこともそれを厳しくしていた。もしこのとき飛び出していたのが他の誰かだったら僕はもう少し待っていただろうが、行ったのがガビリアだったので、そういうわけにはいかなかった。戦略的にいく必要があった。スタートから完全に出し切ることはしたくなかった。少し距離を開けながら追いかけ、残り200mを切ってから本気のスプリントを開始することにした」

最終的に、今大会最強の加速力をもつユアンに、敵う選手は誰一人いなかった。残り100mでガビリアを抜き去り、加速していくユアンは、ライバルたちに影も踏ませずフィニッシュラインを突き抜けていった。

第7ステージ


良い加速をしていたサガンはメカトラがあったのか失速。

混戦に強いと思われていたニッツォーロも12位に沈み、パスクアロンやカンターなど、起伏に強いスプリンターが先頭に出てくる、そんなリザルトとなった。

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