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ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2021 第7ステージ

スペイン北東部カタルーニャ州を舞台とした7日間のステージレース。例年、クライマーのためだけのステージレース、といった印象だったが、今年は中距離個人タイムトライアルが登場したことで、よりオールラウンダー向けに。

とくにイネオスやユンボは誰がエースかわからないくらいの豪華な布陣で臨んできており、今年のグランツールを占ううえで重要な一戦となっている。


いよいよ最終日第7ステージ。毎年恒例のバルセロナ「モンジュイックの丘」周回コース。

総合逆転もありうる厳しいステージだけに、最後まで見逃せない重要ステージ。

果たして今年はどんなドラマが描かれるか。

コースプレビューや注目選手は以下の記事で


序盤から激しいアタック合戦が繰り広げられていき、残り100㎞地点を過ぎた後に以下の32名の逃げ集団が出来上がる。

ダリオ・カタルド(モビスター・チーム)
セルジオ・サミティエ(モビスター・チーム)
マルク・ソレル(モビスター・チーム)
クーン・ボウマン(チーム・ユンボ・ヴィスマ)
ヨセフ・チェルニー(ドゥクーニンク・クイックステップ)
ジェームス・ノックス(ドゥクーニンク・クイックステップ)
ダビ・デラクルス(UAEチーム・エミレーツ)
クリス・ハミルトン(チームDSM)
イーデ・スヘリンフ(ボーラ・ハンスグローエ)
ルイスレオン・サンチェス(アスタナ・プレミアテック)
ステファン・デボード(アスタナ・プレミアテック)
フアン・ロペス(トレック・セガフレード)
アッティラ・ヴァルテル(グルパマFDJ)
マッテオ・バディラッティ(グルパマFDJ)
セバスティアン・ライヒェンバッハ(グルパマFDJ)
リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・NIPPO)
タネル・カンゲルト(チーム・バイクエクスチェンジ)
ディオン・スミス(チーム・バイクエクスチェンジ)
ハーマン・パーンシュタイナー(バーレーン・ヴィクトリアス)
マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)
クレマン・シャンプッサン(AG2Rシトロエン・チーム)
ヤーコ・ハンニネン(AG2Rシトロエン・チーム)
トーマス・デヘント(ロット・スーダル)
ニコラ・エデ(コフィディス・ソルシオンクレディ)
フェルナンド・バルセロ(コフィディス・ソルシオンクレディ)
ルイス・メインチェス(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
レイン・タラマエ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
ショーン・ベネット(チーム・クベカ・アソス)
ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション)
ローラン・ピション(アルケア・サムシック)
エリ・ジェスベール(アルケア・サムシック)
フアンホセ・ロバト(エウスカルテル・エウスカディ)

集団を牽引するのは現在総合表彰台独占中のイネオス・グレナディアーズ。

イネオスとしては、この大規模逃げ集団をいかせることに何の問題もなく、ゆったりペース。

タイム差は着実に開いていき、残り30kmを切ってもなお4分半以上残っている。

先頭の大集団の中での逃げ切りが確定した。


先頭集団で動きが巻き起こったのは残り47.2㎞から始まる「モンジュイックの丘」周回コース。

その最初の登り(登坂距離2.7km、平均勾配4.3%)の一番厳しい勾配(17%)でトーマス・デヘントが加速。そのまま山頂を先頭通過する。

のちにマテイ・モホリッチもここについてきて、先頭は2名に。

モンジュイックの丘のテクニカルな下りでは常にモホリッチが先行するが、モホリッチもそこで無理して単独で行こうとせずデヘントを待つ構えを見せ、終盤まで二人旅が続いていく。

これを追う追走集団も2つに分裂し、ソレル、サンチェス、ノックス、ウランなどの12名が追いかけるものの、50秒近くまで開いたタイム差はなかなか縮まらない。

のちに分裂した集団も戻ってきてそこからボウマンが単独で抜け出したりもするものの、結局先頭の2人はそのまま逃げ切る形に。


そして、最後のモンジュイックの丘の登り(ラスト5㎞)でデヘントが一気に加速してモホリッチを突き放す。

最後は鮮やかなる逃げ切り勝利。

2年前のツール・ド・フランス逃げ切り以来のステージ勝利。かつての「逃げ王」はここ最近苦しい姿を見せ続けていたが、ようやく本来の彼の強さを取り戻したかのようだ。

第7ステージ


メイン集団ではアレハンドロ・バルベルデが総合表彰台に食い込むためにチーム総出で積極的な動きを展開。

逃げに乗っていたセルジオ・サミティエも降りてきてこれをアシストするが、イネオスの盤石な体制を崩すところまではいかなかった。

最後は逃げ集団を次々と吸収して区間5位に入り込んだバルベルデ。

だがアダム・イェーツはもちろん、リッチー・ポートもゲラント・トーマスも同じ集団内でフィニッシュしたことで、総合争いに動きが巻き起こることはなく、決着となった。

最終総合リザルト


誰がエースなのかわからないくらいに豪華な面子を揃えてきていたイネオス・グレナディアーズ。結果だけ見れば納得だが、とはいえパリ~ニースやティレーノ~アドリアティコの状況から不安も多かった中でのこの結果は、ひとまず安心。

というよりは、アダム・イェーツの調子の良さが予想外で、今年ブエルタ・ア・エスパーニャのみを狙っているという彼だが、場合によってはジロやツールのエースも考えてもいいのでは・・・?と思ってくる。


逆にプリモシュ・ログリッチ以外のエース格を揃えた形となったユンボ・ヴィスマ、そしてUAEツアーでは総合3位と悪くなかったジョアン・アルメイダの思わしくない結果は、少し残念。

想定以上にイネオス一極集中の結果に終わった1週間であった。

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