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ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 第13ステージ

灼熱のアンダルシアを突き進むプロトンは、第2週後半に向けて進路を北へ。決戦の地シエラネバダへと向かう移動ステージとなった。

基本的には大集団スプリントが期待される平坦ステージ。とはいえ、ラストは緩やかな登り基調。果たして、勝負に影響をもたらすのか?


典型的なスプリントステージらしい、緩やかな展開。逃げはワールドツアーの若手とプロチームの2名で構成された計3名だけ。

ユリウス・ファンデンベルフ(EFエデュケーション・イージーポスト)
アンデル・オカミカ(ブルゴスBH)
ジョアン・ボウ(エウスカルテル・エウスカディ)

メイン集団もバイクエクスチェンジやトレック・セガフレード、コフィディスといった今日の優勝候補チームがしっかりとタイム差2~3分程度を維持し、逃げ切りを許さない体制を創り上げた。

残り15㎞地点の中間スプリントポイントではボウが先頭通過。そしてその12秒後ろにはすでにプロトンが迫っており、プロトン先頭(4番手)はしっかりとマイヨ・プントスのマッス・ピーダスンが獲得。

残り10㎞を切って逃げはすべて吸収され、あとは最後の大集団スプリントである。

とは言っても、ラストは緩やかな登り基調。勾配も6%を超える区間もあったりと、決して簡単なものではない。

残り2㎞からはティム・メルリール率いるアルペシン・ドゥクーニンクが先頭を奪い牽引するが、残り1.3㎞地点からは右側からプリモシュ・ログリッチ率いるユンボ・ヴィズマがボーナスタイムを奪うべく一気にペースアップを図る。

残り1㎞を切って右直角カーブ。その後は6%の登り勾配が始まり、各チームのアシストはほとんど脱落。エース同士の一騎打ちと化し始める。

そこからエキッポ・ケルンファルマの選手(フランシスコ・ガルバン?)が先頭を奪いペースメイク。そこにマッス・ピーダスンがぴったりと貼りつき、その背後にパスカル・アッカーマン。

一度引き伸ばされた集団も少しずつ先頭の人数を増やしながら緩やかな右カーブを経て、その終着地点でアッカーマンが加速して先頭を奪う。

そして残り350mの左直角カーブ。早すぎるタイミングだったが、アッカーマンは勝負に出た。第11ステージも全く勝負に参加できなかった苦しい状態の彼が、純粋なスプリント勝負ではなく不意打ち気味に、アタックのような形で勝利を狙った一撃を繰り出した!

それは、狙いとしては悪くはなかった。実際、ほとんどのライバルたちはこの動きについていけず、彼はほぼ一人で抜け出す格好にはできた。

ただ一人、ピーダスンを除いて。

元々先頭でしっかりとポジションを取ることができていたピーダスンは、自分の背後から飛び出す格好になったアッカーマンを冷静にチェック。

強烈な加速でプロトンから抜け出したアッカーマンにしっかりと食らいつき、残り200mで力尽きたアッカーマンを追い抜いてそのまま独走状態でフィニッシュへと流れ込んだ。

アッカーマンの狙いは悪くはなかったが、最終的にはピーダスンのアシストのような形に。

そしてピーダスンは自らの得意分野で、しっかりと勝利を掴み取った。奇しくも、ツール・ド・フランスと同様、第13ステージで。

年齢表記はすべて2022/12/31時点のものとなります。


2位にはよくピーダスンと共に上位に入ることも多い軽量級スプリンターのコカールが入り込み、6位にクライマー/パンチャーのパシェ、8位にクライマーのファンヒルス、9位にログリッチが入るなど、やはり一筋縄ではいかない登りスプリントステージとなったこの第13ステージ。

その中でもファンポッペルはしっかりと5位に入り込み、中間スプリントポイントでのポイントも合わせこの日を終えた段階での総合計ポイントは247ポイント。ブエルタでは総合系の選手に奪われることも多いマイヨ・プントスだが、最も危険そうなエヴェネプールからも161ポイント差と、さすがにこのまま逃げ切れるか・・・?


そしていよいよブエルタは第2週の週末。今大会最も厳しいシエラネバダ山脈決戦へと突入していく。

その1日目は1級ラ・パンデラ(登坂距離8.4㎞、平均勾配7.8%)山頂フィニッシュ。過去アレハンドロ・バルベルデやダミアーノ・クネゴ、そして2017年にはラファウ・マイカなどが勝利した激坂含む高難易度フィニッシュで、レムコ・エヴェネプールは「未知の後半戦」に向けてその調子を維持することはできるのか?

まだまだどうなるかわからない今年のブエルタ。運命の2日間が始まる。


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