見出し画像

クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2021 第5ステージ

オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏のサン=シャモンからサン=ヴァリエまで。

フィニッシュ前11.9㎞地点に登坂距離1.3km、平均勾配12%という「ユイの壁」並みの激坂が控えており、ここで今大会ここまで絶好調のソンニ・コルブレッリが生き残れるのか、そして総合争いは巻き起こるのか、といったところが注目されるステージとなった。


スタート直後の3級山岳の登りで飛び出した8名の逃げが形成される。

ティム・ウェレンス(ロット・スーダル)
カスパー・アスグリーン(ドゥクーニンク・クイックステップ)
ヨセフ・チェルニー(ドゥクーニンク・クイックステップ)
ジュリアン・ベルナール(トレック・セガフレード)
ライアン・マレン(トレック・セガフレード)
ヤスパー・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード)
スガブ・グルマイ(チーム・バイクエクスチェンジ)
シリル・ゴチエ(B&Bホテルス・p/b KTM)

残り51.4㎞から始まる最後から3つ目の4級山岳に到達する頃には先頭はチェルニーとマレンの2人だけに。この2人も残り40㎞を前にして吸収され集団は一旦1つになる。

そこからさらに新たに逃げに乗ったのがスヴェンエリック・ビストラム(UAEチーム・エミレーツ)。メイン集団ではソンニ・コルブレッリによる2勝目を狙いたいバーレーン・ヴィクトリアスが若手コロンビア人のサンティアゴ・ブイトラゴマルコ・ハラーによって猛牽引を見せ、残り14㎞でビストラムは捕まえられる。

そしていよいよ問題の2級山岳コート・デュ・モントリュブ(登坂距離1.3km、平均勾配12%)に突入する。


登りではメイン集団の支配圏はイネオス・グレナディアーズに。そこまで強烈にペースアップする意思はないようで、総合勢による争いや、コルブレッリを振り落とそうとする様子は見られない。

そんな中、ローソン・クラドック(EFエデュケーション・NIPPO)がアタック。決してクライマータイプとは言えないクラドックだが、するすると集団から抜け出すと、そのまま先頭で山頂を通過し、下りでも先行する形に。

独走力の高いクラドックは決して手放しで放置していいものではない。メイン集団の先頭は再びバーレーン・ヴィクトリアスに。コルブレッリもしっかりと残している彼らは、ディラン・トゥーンスジャック・ヘイグといったエース級が前を牽いて全力でクラドックを追いかける。その甲斐あって、残り2.3㎞でなんとかこれを捕まえる。

ここで、メイン集団の先頭はイネオス・グレナディアーズが支配。単純な集団スプリントになるかと思われた展開の中で、危険回避とは明らかに違った動きが、ミハウ・クフィアトコフスキリッチー・ポートを先頭に繰り広げられる。

そしてフラムルージュに到達すると同時にゲラント・トーマスがアタック。その直後に特徴的な180度カーブ。この瞬間を、彼は最初から狙っていたようだ。

180度カーブでの減速からの立ち上がりで、一気に集団を突き放すトーマス。このあたりは、元トラック世界王者としての資質を存分に生かした形だ。

メイン集団からは猛烈な勢いでコルブレッリが迫る。時速差10㎞という圧倒的な加速でギリギリまでトーマスに迫ったものの、トーマスはわずか車輪一個分、逃げ切ることに成功。

前日の個人TTで前半ペースを上げ過ぎて後半に大失速するという「失敗」をしたトーマスだったが、そのビハインドを即日で挽回することに成功した。

第5ステージ


総合リーダーのルーカス・ペストルベルガー(ボーラ・ハンスグローエ)もしっかりと集団に残っており、リーダーの座をキープ。

しかし翌第6ステージからはいよいよ本格的な山岳の香りが色濃くなってきており、さすがに彼の総合も、ここまでのコルブレッリの支配的な体制も崩れていくことになるだろう。

本格的な総合争いの行方やいかに。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?