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クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2022 第1ステージ

「ツール・ド・フランス前哨戦」クリテリウム・ドゥ・ドーフィネの第1ステージは共にアルデシュ県に位置するラ・ヴルト=シュル=ローヌからボーシャステルまでの191.8㎞。

フィニッシュ前30㎞地点まで2段階の登りが待ち受ける。果たしてここでスプリンター勢が千切られるのかどうか、というところに注目が集まる開幕ステージとなった。


逃げは3名。

マキシム・ブエ(アルケア・サムシック)
ローレンス・ハイス(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
ピエール・ロラン(B&Bホテルス・KTM)

この日4つ用意された山岳ポイントはすべてロランが先頭通過。この日だけで合計11ポイントを獲得し、山岳賞ジャージをまずは手に入れた。もちろん、元ラルプ・デュエズ覇者が、キャリア晩年に差し掛かっているとはいえ、それだけで満足してほしくはないが・・・。

メイン集団は最大で3分ちょっとのタイム差を許し、集団の牽引はチーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコとユンボ・ヴィズマが中心に担当。

いずれも優勝候補のエーススプリンターを抱えるチームだが、問題はフィニッシュ前40.7㎞から始まる3級山岳(登坂距離4.7㎞、平均勾配5.2%)とその後に控えるカテゴリのない登り。合計で7~8㎞近く登るこのセクションで、やはりディラン・フルーネウェーヘン(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)を振るい落とすための動きが巻き起こる。

その中心となったのはトレック・セガフレードだった。エーススプリンターのジャスパー・ストゥイヴェンは真っ向からの勝負でフルーネウェーヘンやフィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス)らに勝つのは難しいだけに、ケニー・エリッソンドアントワン・トールクが中心となってこの登りで一気に加速。

そして狙い通りフルーネウェーヘン、バウハウス、さらにはフアン・モラノ(UAEチーム・エミレーツ)マシュー・ウォルス(ボーラ・ハンスグローエ)らも崩れ落ちていった。

残り32.9㎞地点でメイン集団とフルーネウェーヘン&バウハウス&モラノ集団とのタイム差は50秒ほど。バイクエクスチェンジもアシスト総出でこの集団の牽き上げに尽力する。

同じ頃先頭でも元々の逃げメンバーが捕まえられそうになっていたが、そのタイミングで何名かの選手が飛び出し、最終的にミケルフローリヒ・ホノレ(クイックステップ・アルファヴィニル)が単独で抜け出した。

そして下りに突入。先頭ホノレとメイン集団とのタイム差は11秒。フルーネウェーヘングループとメイン集団とのタイム差は1分15秒差。メイン集団の先頭にはイネオス・グレナディアーズが集団でつき、さらにペースを上げていく。

フルーネウェーヘングループも鬼気迫る表情で追走を続けるが、イネオスが平坦区間に入ってからも全力で牽き続け、タイム差がなかなか縮まらない。残り23㎞でホノレも吸収。

残り14㎞でイネオスが先頭牽引を止めてからは一気にタイム差が縮まっていったが、それでも残り6㎞ほどで30秒近くにまで迫ったのを最後に、いよいよフルーネウェーヘングループも力尽きてしまったようだ。

残り3㎞時点でタイム差は再び40秒に。完全に諦めてしまったようで、あとはピュアスプリンターを除いた先頭集団での勝負となった。


ここでクイックステップ・アルファヴィニルが隊列を組んで先頭に出てくる。エーススプリンターを連れてきていたか?と疑問に思ったが、残り1.6㎞で先頭にいたレミ・カヴァニャがアタック。なるほど、そういうことか!

しかしすぐさま反応したクリス・ハーパー(ユンボ・ヴィズマ)が残り1㎞でこれを吸収。と、同時にイネオスが3枚ほど飛び出し、その先頭に立ったフィリッポ・ガンナの超牽引によって、イーサン・ヘイターのための必勝態勢が組み立てられていった。

が、そのヘイターのすぐ後ろにワウト・ファンアールトの姿。あまりにも完璧するポジション。

そして最後はヘイターももがき、右からはエドヴァルド・ボアッソンハーゲンも勢いよく加速していくが——結局、誰もが認める最大の優勝候補ファンアールトが、余裕の勝利を掴み取った。


この勝利は予定通り。あとは、今大会「何勝」できるのか。

ツール・ド・フランスでもマイヨ・ヴェールを狙っているというファンアールト。この程度で満足することはないはずだ。

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