見出し画像

UAEツアー2021 第7ステージ

アラブ首長国連邦全域を舞台として開催される、今年最初のワールドツアーレース。平坦ステージと山岳ステージ、そしてTTとがバランスよく配置された7日間のステージレースである。

最終日となる第7ステージはUAEの首都アブダビの中心地で巻き起こる平坦ステージ。最後の集団スプリントを制する男は、そして総合は変動なく平穏に終わるのか。

今年最初のワールドツアーステージレースが決着する。

↓プレビュー記事はこちらから↓


逃げは3名。

サミュエーレ・バティステッラ(アスタナ・プレミアテック)
マッテオ・ソブレロ(アスタナ・プレミアテック)
アレクシス・ブルネル(グルパマFDJ)

最大でプロトンと3分差を付けながら逃げ続ける。

残り104.4㎞地点に設置された第1中間スプリントポイントはソブレロ、ブルネル、バティステッラの順で通過。

そして1ポイントだけ手に入れることのできる4位通過を、プロトンから飛び出したダヴィド・デッケルが獲得。

これでデッケルが58ポイント。ポイント賞における最大のライバルはサム・ベネットだが、彼が今40ポイント。フィニッシュを1位通過すると20ポイント獲得となるため、この先デッケルがフィニッシュも含め1ポイントも獲れず、かつベネットがステージ優勝するとポイント賞を奪われる格好に。

まだ確定ではない。


残り63㎞。横風が吹き始め、プロトンが加速する。縦に引き伸ばされるプロトン。エシェロンが形成され、集団が分裂。

20名ほどの先頭集団の方にはタデイ・ポガチャル、アダム・イェーツ、カレブ・ユアン、フェルナンド・ガビリア、サム・ベネットなど。

さらには25秒差で追いかける第2集団の中にはジョアン・アルメイダやデッケルが。

EFエデュケーション・NIPPOやドゥクーニンク・クイックステップが総力を結集して後方の集団を牽き上げる。ポイント賞だけ見ればチャンスだが、可能性は高くないしあくまでもアルメイダの総合を優先ということでドゥクーニンクもしっかりと牽引する。

この運列は残り44㎞で解消。しかしその後、さらに集団の中で大落車が発生し、今度はアダム・イェーツが巻き込まれた。

ここは集団がアダムを待つ姿勢を見せたことで事なきを得るが、最終日にして総合勢が波乱に巻き込まれ続ける。その中でポガチャルは唯一無事で居続けているわけだが・・・。


残り18㎞。最後の中間スプリントポイント。ここをデッケルがしっかりと先頭通過したことで、ポイント賞ジャージを確定。

さらに、総合4位クリス・ハーパーをわずか2秒差で追いかける総合5位ニールソン・ポーレスは、総合逆転のチャンスを狙ってこの中間スプリントポイントで攻撃を仕掛ける。

だが、ここはユンボ・ヴィズマが許さない。しっかりとこれを抑え込み、2位通過はクリス・ハーパー。ポーレスはそこに続く3位となった。


残り1㎞。最初に先頭を支配していたのはイスラエル・スタートアップネーションのアシスト。

残り500mほどのところで緩やかな右カーブが登場し、ここでロット・スーダルがアシスト2枚でカレブ・ユアンを先頭付近にまで引き上げてくる。

だがここでロット・スーダルのアシスト2枚が早くも力尽き、ユアンは左手側から上がってきたアンドレ・グライペルやエリア・ヴィヴィアーニたちの後ろにつかざるをえなくなってしまった。

ここで右から上がってくる、サム・ベネットを引き連れたミケル・モルコフ。

ユアンはすぐさまこのベネットの背中に貼りついた。

そして、残り100m。

一度は完全に包み込まれたと思っていたユアンの右側に、はっきりとした空間が生まれた。モルコフの牽きが強すぎて、ベネットの近くにいた選手たちを突き放したことによって生まれた空間だ。

ここでベネットがスプリントを開始するが、同時にその後ろにいたユアンもスプリントを開始。

たしかにモルコフは最強のリードアウターだが、その恩恵をほぼ同時に受けて足を消費していない状態のユアンが、ベネットと同時にわずか100mの道のりでスプリントを開始したらどうなるか――昨年のツールを見ていても、チームとしてはドゥクーニンクが上手かもしれないが、個人としてのスプリント能力ではユアンの方が上では?という予想を証明するかのような決着となった。

もがくサム・ベネットの右隣から、その1.5倍の速度であるかのような勢いで抜け出していくユアン。

結果から見れば圧倒だった。カレブ・ユアン、今年最初の勝利を掴み取った。

第7ステージ


そして、同時にタデイ・ポガチャルの今年最初のステージレース総合優勝が確定した。

UAEチーム・エミレーツとしては地元最大のレースでの見事な勝利。昨年はアダム・イェーツに敗れたこのレースでの、リベンジを果たした。

最終総合リザルト

一方の総合2位アダム・イェーツも、総合3位ジョアン・アルメイダも、勝てはしなかったものの、開幕戦としては十分な結果と言ってよい。

彼らが中心となって描き出す今年のグランツールでの総合争いも、実に楽しみになってくる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?