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ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2021 第6ステージ

スペイン北東部カタルーニャ州を舞台とした7日間のステージレース。例年、クライマーのためだけのステージレース、といった印象だったが、今年は中距離個人タイムトライアルが登場したことで、よりオールラウンダー向けに。

とくにイネオスやユンボは誰がエースかわからないくらいの豪華な布陣で臨んできており、今年のグランツールを占ううえで重要な一戦となっている。


第6ステージはタラゴナからマタロまでの194km丘陵ステージ。

登りの数は多いながらも、終盤はカタルーニャレベルなら「平坦」と言ってしまっても良いレベル。

第1ステージ以来の――第1ステージが結局逃げ切りが決まってしまったのでその意味では初めての――集団スプリント決着が期待されるステージとなった。

コースプレビューや注目選手は以下の記事で


逃げは5名。

ハロルド・テハダ(アスタナ・プレミアテック)
マティアス・スケルモース(トレック・セガフレード)
アントワーヌ・デュシェーヌ(グルパマFDJ)
マテオ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)
ディミトリ・ストラコフ(ガスプロム・ルスヴェロ)

逃げ切りの可能性もないわけではないレイアウトではあるものの、集団のペースはゆったりめ。第5ステージのような大規模な追走集団が出来上がることはなく、落ち着いた様子でスプリンターズチームが牽引する。

結果、最大でも4分ちょっとしかタイム差が開くことはなく、終盤でアタックしたストラコフが最後独走を続けるが、残り18㎞でこれも吸収し先頭は1つになった。

直後にドゥクーニンク・クイックステップのジェームス・ノックスがアタック。モビスターのマルク・ソレル、バーレーン・ヴィクトリアスのワウト・プールス、クベカ・アソスのレイナルト・ヤンセファンレンズバーグが追随したこの抜け出しが引き戻されると、今度はアルケア・サムシックのエリ・ジェスベールがアタック。

最後の3級山岳からの下りでジェスベールが捕まえられると、今度はドゥクーニンク・クイックステップのレミ・カヴァニャが独走を開始。

前日は速すぎる独走開始で最終的には捕まえられたカヴァニャだったどk今日は彼にとって十分に勝ちパターンといえる距離での独走開始。

とはいえ、この日十分にゆったりとしたペースで足を貯めることができていたボーラ・ハンスグローエやバイクエクスチェンジなどのスプリンターズチームの追撃の速度に敵うことはなく、残り8.5㎞で吸収。

集団は十分に数を残したまま大集団スプリントへと突入していった。


とはいえ、カタルーニャのスプリントはやはり一筋縄ではいかない。

登り勾配を挟みつつ、ラスト1㎞。

残り500mでエウスカルテル・エウスカディの選手(フアンホセ・ロバト?)がアタックして抜け出すも、レミ・カヴァニャが先頭に立ってこれを追走。残り300mで捕まえる。

先頭カヴァニャから数えて4番目にいたダリル・インピー(イスラエル・スタートアップネーション)が残り200mを切ってからラインを一気に左に変えてスプリントを開始。その背後にいたペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)はそのままインピーの動きに合わせて左に進路をずらす。

一歩遅れて3番手にいたレイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(クベカ・アソス)がスプリントを開始するが、これはあまり伸びない。サガンはこのヤンセファンレンズバーグの後ろを横切るようにしてラインを右へと変えていく。

カヴァニャの番手につけていたマックス・カンター(チームDSM)は左側でインピー、ヤンセファンレンズバーグが次々とスプリントしていくのを目にして、自身も残り150mからスプリントを開始。

サガンもこのタイミングで、ヤンセファンレンズバーグとカンターの間を割るようにして加速。フィニッシュに向けてアクセルを踏み始める。

最も早くスプリントした割には伸び続けるインピー。

逆にヤンセファンレンズバーグや最適なタイミングで発射したはずのカンターは早々に足を失い脱落。

さらにコースの一番左のライン、フェンス際ギリギリのところを、後方からものすごい勢いで加速してくるのがUAEチーム・エミレーツのフアン・モラノ。昨年のジロ・デ・イタリアではミケル・モルコフに劣らない世界トップレベルのリードアウトを見せた、もしかしたらガビリア以上の実力を持ちつつある男。

最後は最も強さと経験を兼ね揃えていたサガンが昨年ジロ以来となる勝利。そしてインピー、モラノと「強い選手」が表彰台を射止める結果となった。

第6ステージ


集団全体がかなりスローペースで安定した走りができていた結果、想像していた以上にずっとピュアスプリントとなった。

よって、今大会最も実力あると期待されていたスプリンターたちが順当に上位に入り込む結果に。

とくにモラノはフィニッシュ前のポジションが悪かったせいでこの順位に沈んでいるが、完璧なタイミングで発射できていたら、十分に勝利を狙える勢いをもっていた。

そして8位に食い込むアルメイダはさすがである。

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