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クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2021 第6ステージ

いよいよ「ツール・ド・フランス前哨戦」も週末の山岳3連戦へと突入していく。その1日目となる今日は、フラットな前半戦を終えたあとの残り53.8㎞地点から登りが始まり、2級山岳が2つと「実質的に1つの登りとなる」2つの3級山岳で山頂フィニッシュ。

最後は登坂距離3.3km・平均勾配6.2%と緩やかに見えるが、その登りの前半部分に8~10%の厳しい勾配が待ち構えている、といったプロフィールである。

本格的な総合争いが巻き起こるにはまだ難易度は低いものの、伏線としての動きは起きそうな、そんなステージだ。


逃げ切りも狙えそうなステージだけに序盤から激しいアタックの打ち合いが繰り広げられ、その平均時速は50㎞を超えるハイ・スピードに。

そして1時間以上を経過してようやく、14名の逃げが確定する。

ローソン・クラドック(EFエデュケーション・NIPPO)
オリヴィエ・ルガック(グルパマFDJ)
アントニー・ペレス(コフィディス・ソルシオンクレディ)
グレッグ・ファンアーヴェルマート(AG2Rシトロエン・チーム)
オマール・ゴールドスタイン(イスラエル・スタートアップネーション)
ローラン・ピション(アルケア・サムシック)
マシュー・ホームス(ロット・スーダル)
スヴェンエリック・ビストラム(UAEチーム・エミレーツ)
ヨセフ・チェルニー(ドゥクーニンク・クイックステップ)
ジュリアン・ベルナール(トレック・セガフレード)
バルナベス・ピーク(チーム・バイクエクスチェンジ)
マーティン・サルモン(チームDSM)
フランク・ボナムール(B&Bホテルス・p/b KTM)
ヤン・バークランツ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)

総合タイム差2分40秒しか遅れていないファンアーヴェルマートが含まれるこの逃げが逃げ切りを許されることはなく、(今日ペストルベルガーが落ちればマイヨ・ジョーヌを手に入れられる)アスタナ・プレミアテックが積極的に牽引するメイン集団は3分に届かないタイム差を維持しながら追走する。

残り47.9㎞地点の2級山岳コル・ドゥ・ラ・プラセット(登坂距離5.9km、平均勾配6.4%)の山頂は山岳賞ジャージを着るホームスが先頭通過。

登りをこなしながらも時速50㎞のペースは緩まりを見せず、次なる2級山岳コル・ドゥ・ポルト(残り19.8㎞地点、登坂距離7.4km、平均勾配6.8%)に至る道のりではユンボ・ヴィスマのトニー・マルティンが集団先頭を全力牽引。先頭とのタイム差は1分を切り、集団の人数も50名程度に絞り込まれていく。

山頂まで残り4㎞。先頭はすでに、クラドック、ホームス、ヴァルグレン、ローラン、バークランツの5名だけに。メイン集団からはキュベカ・アソスのディラン・サンダーランドなどがアタックする場面もあったが、マルティンが牽引するメイン集団がこれをしっかりとキャッチ。マルティンもやがて仕事を終えて落ちていく。

山頂まで残り3㎞。集団先頭からクラドックがアタック。そのまま2級山岳山頂を先頭通過する。

山岳賞のホームスはなんとか2番手通過を果たし、これで本日8ポイントを獲得。山岳賞ポイントを21ポイントにまで伸ばし、首位を守る。

そこを8ポイント差で追いかけるのがこのあとの3級山岳1つ目の山頂も先頭通過し、本日合計で8ポイント上乗せに成功したクラドック。

ラスト2ステージで繰り広げられる山岳賞争いの行方やいかに。


唯一生き残った逃げメンバーであるクラドックがひたすら踏み続ける。これを追うプロトンはモビスター・チームのカルロス・ベローナを先頭に、タイム差はすでに20秒を切っている。

3級山岳コード・ドゥ・ラ・フレッテ(登坂距離3.7km、平均勾配5.4%)も通過して残り5.6㎞。最後は3級山岳ル・サペ=アン=シャルトルーズ(登坂距離3.3km、平均勾配6.2%)山頂フィニッシュ。

山頂に近づくにつれて勾配が緩むため、最も厳しいのは登り始めの1500m。とくに残り3㎞あたりで10%前後の勾配が続く。

ベローナが全力牽引し縦に長く伸びるプロトンの先頭付近でバルベルデがシューズを締め、やる気の高さを見せる。

残り3㎞。独走し続けていたクラドックもいよいよ捕まり、20名ちょっとまで絞り込まれたメイン集団。ベローナが仕事を終えると同時に、ミゲルアンヘル・ロペス(モビスター・チーム)ヨン・イサギレ(アスタナ・プレミアテック)がアタック。

これをミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス・グレナディアーズ)が牽引するプロトンがすかさず吸収。

残り2.4㎞でダヴィド・ゴデュ(グルパマFDJ)がアタック。先行して飛び出していたルイ・メインチェス(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)を軽々とかわし先頭へ。

残り2.1㎞。さらにテイオ・ゲイガンハート(イネオス・グレナディアーズ)がアタック。一気にゴデュに食らいつき、そこにステフェン・クライスヴァイク(ユンボ・ヴィスマ)、ロペス、セップ・クス(ユンボ・ヴィスマ)が連なる。

これらが1つになると同時にクスがカウンターアタック。

イネオスのトリプルエースに対し、ユンボ・ヴィスマのダブルエースが挑みかかる格好に。もちろん、モビスター・チームのトリプルエースも。このクスの先行にロペスとゲイガンハート、そして単独エースのゴデュが追いかける。

若手有望ライダーたちのアグレッシブな攻撃に対し、マイペースに集団を牽引して追いかけるのがゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ)。リッチー・ポートは少し番手を下げてしまっている。

だが、残り1.6㎞で集団は1つに。

この先は緩やかな勾配。これ以上の総合争いはなく、あとはクライマー勢の中でもスプリント力のある選手たちのなかで繰り広げられるステージ優勝争いだ。


集団の先頭はミゲルアンヘル・ロペス。先日のブエルタ・ア・アンダルシアも総合優勝を果たし、ツール・ド・フランスに向けてコンディションを整えつつあったようだが、今日は完全にバルベルデのためのアシスト。明らかに最後の勝負を捨てる勢いで牽引する。

先頭ロペス。その後ろにゲイガンハート、トーマス、クス、そしてバルベルデ。

残り1㎞を通過する。


10%を超える急勾配を越えながら、残り500mを切ったところでゲイガンハートがアタック。その背後についていたトーマスはペースを落とす。前日のクフィアトコフスキ&トーマスのコンビネーションの勝利に続く、イネオスのコンビネーション奇襲攻撃か。

トーマスの後ろについていたクスとバルベルデが腰を上げ、それぞれロペスとトーマスの左右から加速して先頭に躍り出てくる。

先を行くゲイガンハートは昨年のジロ・デ・イタリア覇者ながら、本来はクライマーというよりはパンチャータイプ。その加速力には定評がある。

残り300mを越えて追いかけるクスとバルベルデとのタイム差は1秒近くついており、このまま行ってしまうのか?


だがクスも振り払ったバルベルデのテンポが快調。登りながら時速40㎞近いスピードで着実にゲイガンハートとのギャップを縮めていく。

残り100mで自転車1台分の差。

そして残り50mで・・・ゲイガンハートの横に並び、そして追い抜いた。

41歳でのステージ勝利。ドーフィネ最年長優勝記録を一気に3歳分更新した。いつまでも衰えない、レジェンド級のベテラン。彼は一体どこまで、その強さを維持し続けるのか。

第6ステージ


だが、まだ総合勢による争いは巻き起こらず。今日ボーナスタイムを得たのはバルベルデやゲイガンハートだったが、土曜日のクイーンステージではそれぞれロペスやトーマスが先頭を走ることになるかもしれない。

まだ誰が最終的に勝つのかは全く予想がつかない。すべては土曜日の決戦次第だろう。

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