ツール・ド・フランス2021 第3ステージ
激坂フィニッシュにより総合争いが白熱した最初の2ステージを経て、第3ステージにしてようやく集団スプリントステージ。
第3ステージはロリアンからポンティビーまでの182.9㎞平坦ステージである。
カレブ・ユアン、アルノー・デマール、あるいはマーク・カヴェンディッシュなど・・・今年のツールの最初の集団スプリントを制するのはどのスプリンターか?
参考リンク
激しいアタック合戦が繰り広げられた第1・第2ステージと違い、この日はアクチュアルスタート直後早々に5名の逃げが形成された。
イーデ・スヘリンフ(ボーラ・ハンスグローエ)
イェレ・ワライス(コフィディス・ソルシオンクレディ)
ミヒャエル・シェアー(AG2Rシトロエン・チーム)
シリル・バルト(B&Bホテルス・p/b KTM)
マキシム・シュヴァリエ(B&Bホテルス・p/b KTM)
山岳賞ランキング首位のマチュー・ファンデルプールと同ポイントで並び、繰り下がりで山岳賞ジャージを着るスヘリンフが逃げに乗った一方、彼を1ポイント差で追いかけるアントニー・ペレスは逃げには乗れず。
この日は4級山岳が2つ。合計2ポイント。そのうち1ポイントでも取れば、スヘリンフが正真正銘山岳賞首位に立つチャンスを持っている。
しばらくは平穏な展開が続く・・・かと思っていたら、残り144㎞地点でロバート・ヘーシンク、トニー・マルティン、ルーク・ロウ、そしてゲラント・トーマスの4名が巻き込まれる落車が発生。
ヘーシンクがすぐさまリタイア。トーマスもチームメートたちに率いられながら集団に復帰するが、このとき肩を脱臼していたとのこと。
残り91.5㎞地点にこの日最初の4級山岳コート・ドゥ・カドゥダル(登坂距離1.7㎞、平均勾配6.3%)。
残り650mでスヘリンフがアタック。これを誰も追うこともせず、そのまま問題なくスヘリンフが先頭通過。
これでこの日の山岳賞ジャージ獲得をほぼほぼ確定させたスヘリンフは、そのまま無理をせず集団に戻る。
本日のペテル・サガンのためのアシストに専念するつもりか。
残り64.6㎞地点に中間スプリントポイント。
先頭4名は特に争うことなく通過したものの、5位以下を巡る争いでは各エーススプリンターが横一線に並んでのスプリント。
さすがにフィニッシュもあるので出し切らないペースでのスプリントではあったが、集団先頭(5位、11ポイント)を獲ったのは第1・第2の中間スプリントポイントでも先頭通過しているユアン。
続いてカヴェンディッシュ、モルコフ、コルブレッリ、デマール、サガン・・・という順で通過していった。
残り34.3㎞地点にもう1つの4級山岳コート・ドゥ・プリュメリオー(登坂距離2.2km、平均勾配3.1%)ではすでにスヘリンフもいないため争うことなく先頭はワライスが獲得。
メイン集団も少しずつペースを上げていき、まもなく逃げも集団に吸収され、最後の集団スプリントに向けての体制を築いていった。
だが、残り10㎞前後から落車が頻発。まずは総合優勝候補プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)も単独で落車する事態に。
左肩と腿のジャージが破け激しい擦過傷が見える。そんな彼を引き上げるべく、ユンボ・ヴィスマの選手が総出で引き上げに戻っている。
さらに残り3㎞手前でこの日の優勝候補アルノー・デマールを含む大規模な落車。
さらにフィニッシュ直前にも、カレブ・ユアンがバランスを崩し、ペテル・サガンを巻き込みながら落車。
強く肩を打ち付け、動けなくなるユアン。救急車がやってきて、今年3大グランツールすべてでステージ優勝という野望に向けてかなり絶好調な状態でここまで来ていた彼が、悔しいリタイアを喫することとなった。
そんな、大混乱で迎えたフィニッシュ。
かなり数が絞り込まれた先頭集団でマイヨ・ジョーヌのマチュー・ファンデルプールが集団牽引。
後続を突き放さんばかりのパワーで牽引しまくるマチューによって集団は縦に長く伸び、その中でアルペシン・フェニックスの面々が圧倒的優位の状態で先頭を支配した。
最後は、フィリプセンがリードアウトするティム・メルリールが最後に放たれ、余裕のガッツポーズでフィニッシュ。
発射されたフィリプセンも2位につけるという、ツール・ド・フランスでは珍しいスプリントワンツーフィニッシュとなった。
あまりにも多くのトラブルが巻き起こり続けたこの第3ステージ。
とくにフィニッシュについては、下りスプリントフィニッシュという、ツール・ド・ポーランドでも批判されていたレイアウトだけに、早速マルク・マディオ監督などは抗議の意を示しているという。
もちろん、落車は様々な要因が複雑に絡み合ったうえで巻き起こる事象であり、何か悪者を1つ決めるのは難しい。
いずれにせよ1人でも多くの選手が無事に走り抜き、実力で争える環境が守られることを願いたい。
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