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エトワール・ド・ベセージュ2021 第5ステージ

第4ステージはこちら

南仏ガール県を舞台に5日間の日程で開催されている1クラスのステージレース、エトワール・ド・ベセージュ(ツール・デュ・ガール)。

最終日となる第5ステージはアレスを舞台にする10.71㎞の個人タイムトライアル。

ただしラスト2㎞は最大勾配10%超えの激坂となっており、一筋縄ではいかないTT決戦となった。

↓コースプレビューなどはこちらから↓


昨年もほぼ同じレイアウトを使用しており、その時に優勝したのは現EFエデュケーション・NIPPOのアルベルト・ベッティオル

そのときの所要時間は15分13秒となっており、このとき2位だったマグナス・コルトニールセンは9秒遅れの15分22秒という記録を叩き出していた。

そんな、昨年の2位と同等のタイムを序盤で記録したのがイネオス・グレナディアーズのイーサン・ヘイター。15分21秒という記録を叩き出し、それまでの暫定トップの記録を40秒以上塗り替えての暫定首位に立つこととなった。

ヘイターは2019年のツール・ド・ラヴニールの前半戦で、チームメートであったトム・ピドコックと共に活躍し、ステージ優勝も上げているパンチャー系スプリンター。

昨年はピドコックより一足先にイネオス入りを果たし、ジロ・デッラペンニーノではいきなりプロ初勝利を遂げるなど、才能を示し続けている男だ。

今回、短距離とはいえ、登りも含むTTで好成績を出したことで、彼の更なる可能性に期待が持てることになるだろう。


そして、なかなか破られずにいたこのヘイターの記録を上回ったのが、まさかのバンジャマン・トマ(グルパマFDJ)。

記録したタイムは15分10秒。昨年のベッティオルを上回る記録であった。

元「フランス陸軍チーム」所属で、トラックレースでも活躍するスピードマン。北のクラシックから多少の丘陵系レイアウトまで幅広く得意としており、TTにおいても2019年に国内王者に輝いている。

そんな万能な男が、このエトワール・ド・ベセージュ最終日TTで若き才能を上回る見事な結果。いや、彼もまだ、今年26歳と、まだまだ若い選手ではあるのだが。


しかし、やはりこの男は強かった。

個人タイムトライアル世界王者、フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)。

この日は純粋な平坦TTではないためどうなるかとは思っていたが、昨年のジロ・デ・イタリアの丘陵TTでも問題なく優勝し、また山岳ステージも、昨日のステージも普通に勝利している彼であれば、何ら問題など、あるはずもなかった。

叩き出したタイムは、昨年のベッティオルを上回ったバンジャマン・トマの記録をさらに10秒塗り替える圧倒的な走り。

これで、昨年のイタリア国内選手権個人タイムトライアル優勝から数えて個人タイムトライアル7連勝。

今後も、TTで彼に勝てる相手は現れないのか?

なお、その7連勝の前に彼をTTで破っているのが、ブエルタ・ア・サンフアンにおける、レムコ・エヴェネプール。

彼が復活したとき、世界の頂上で彼とガンナとが激突する瞬間が楽しみである。


さて、総合争いについてはどうか、というところだが、ウェレンスにとって最大の脅威となる存在がイネオスのミハウ・クフィアトコフスキ

彼もガンナから34秒遅れとかなりの好成績を記録していたが、最終出走となったウェレンスにとっても、この日のレイアウトは決して苦手なタイプのものではなかった。

そして、好走の果てに、彼はイーサン・ヘイターから8秒遅れ、クフィアトコフスキからは5秒も上回る素晴らしい結果を出した。

これにて、総合優勝が確定。昨年、悔しくもツール・ド・フランスに出場できなかった彼が、その後、ブエルタ・ア・エスパーニャで区間2勝し、そしてこのシーズン開幕レースでの勝利を重ねたことで、良い勢いのまま2021シーズンを始めることができそうだ。

第5ステージリザルト


最終的な総合リザルトは以下の通り。

最終総合リザルト

ニルス・ポリッツもさすがのTT能力・登坂能力によって総合3位に浮上。

FDJの期待のネオプロ、ジェイク・スチュアートも区間10位の成績と共に総合4位に浮上してきた。元々総合2位だったウルスシュミットは、平坦では強いがさすがの登りには苦戦したようでタイムを落とし、総合5位に転落となった。


まだまだシーズン初頭。この成績がそのままシーズン全体の成績に反映されるわけではない。

しかし若手を中心に、今勢いのある男たちが誰なのか、はある程度はっきりさせることになったこのエトワール・ド・ベセージュ。

いよいよ来週はシーズン最初のProシリーズとなる「ツール・ド・ラ・プロヴァンス」が開幕。

Jsportsでも日本語実況解説付でライブ配信されるため、ぜひ楽しみにしていよう。

まずはおめでとう、ウェレンス。


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