見出し画像

ジロ・デ・イタリア2022 第9ステージ

いよいよ第1週目の最終決戦。5年前、ナイロ・キンタナが勝利したアペニン山脈の雄ブロックハウス頂上決戦だ。

しかも今回はこのブロックハウスを実質「2回」登る。

総合争いが巻き起こること必至なこの難関ステージで、最後に生き残るのは果たして誰か?


序盤のアタック合戦を経て、しばらくローザが独走していたときもあったが、残り160㎞を切って最終的に出来上がった逃げは9名。

フェリックス・ガール(AG2Rシトロエン・チーム)
ナン・ピータース(AG2Rシトロエン・チーム)
ジョセフロイド・ドンブロウスキー(アスタナ・カザフスタンチーム)
フィリッポ・ザナ(バルディアーニCSF・ファイザネ)
ナトナエル・テスファション(ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ)
エドゥアルド・セプルベダ(ドローンホッパー・アンドローニジョカトリ)
ヨナタン・カイセド(EFエデュケーション・イージーポスト)
ディエゴ・ローザ(エオーロ・コメタ)
ジェームス・ノックス(クイックステップ・アルファヴィニル)

この時点でタイム差は5分ほどに広がっていた。

メイン集団はヨナタン・カストロビエホが牽引。本来であればもう少し終盤で出張ってきそうだが、やはり落車による怪我の影響が響いているのか。

それでもやはりその牽引力は健在で、残り距離が60㎞台に入り「1つ目のブロックハウス」すなわちパッソ・ランチャーノに突入した段階でタイム差は3分を切り、逃げ集団の逃げ切りはやや厳しくなってくる。

そんな先頭集団の中から、残り61㎞でピータースがアタック。3年前にジロ・デ・イタリアで、2年前にツール・ド・フランスで山岳逃げ切り勝利をしている山岳エスケープスペシャリストだったが、昨年はやや不調。だが、今回のジロではかなり調子が良さそうだ。

ピータースにはすぐテスファションが反応し、やがてエドゥアルド・セプルベダもついてくる。

さらに第6ステージではひたすら独走逃げを続けていたディエゴ・ローザも単独で追いかけてきて、残り50㎞で先頭は4名に。

そして、そこから今度はローザがアタックし、テスファションだけがついてくる。残り43.3㎞の山頂はローザが先頭通過し、山岳賞で首位に立つことが確定した。


下りでテスファションがコースアウトして脱落。先頭はローザ一人に。

だが最後のブロックハウス登坂が始まり、残り20㎞。後続から抜け出してきたドンブロウスキーとピータースが追いついて3名になるが、もうメイン集団は50秒差にまで迫ってきていた。

集団の先頭は引き続きイネオス。アシスト4枚体制で全力牽引。その後ろにはアスタナ・カザフスタンチームやUAEチーム・エミレーツなど。

最後はドンブロウスキーが単独で抜け出すも、残り15.6㎞ですべての逃げが吸収され、最終決戦が幕を開ける。


イネオストレインは前からベン・トゥレット、パヴェル・シヴァコフ、リッチー・ポート、リチャル・カラパスの順。ボーナスタイムポイントではカラパスが3番手通過で1秒を獲得。

残り12.4㎞でジュリオ・チッコーネが、残り11.8㎞地点でサイモン・イェーツが脱落。

残り10.9㎞でトゥレットが脱落し、イネオスはシヴァコフ、ポートのアシスト2枚体制に。集団人数はすでに20名ちょっと。


残り8.6㎞。シヴァコフが仕事終了。カラパスの前をリッチー・ポートが牽引開始する。ヒュー・カーシーも、サム・オーメンも脱落する。

残り6.7㎞。先頭は11名。

リチャル・カラパス(イネオス・グレナディアーズ)
リッチー・ポート(イネオス・グレナディアーズ)
ヴィンツェンツォ・ニバリ(アスタナ・カザフスタンチーム)
ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)
エマヌエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグローエ)
ジャイ・ヒンドリー(ボーラ・ハンスグローエ)
ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
アレハンドロ・バルベルデ(モビスター・チーム)
ロマン・バルデ(チームDSM)
テイメン・アレンスマン(チームDSM)
ジョアン・アルメイダ(UAEチーム・エミレーツ)

残り5㎞。5年前もこのあとの14%最大勾配区間にてナイロ・キンタナがアタックし、そのまま独走勝利を決めている。

今回もまた、残り4.6㎞までポートが全力で牽引をしたうえで、カラパスがそこでアタック。すぐさまバルデとランダが食らいつき、先頭は3名に。

6秒差で追いかける追走はジョアン・アルメイダを先頭に4名。ニバリ、ヒンドリー、ポッツォヴィーヴォ。

残り3㎞を切ってニバリが脱落し追走は3名になるが、残り2㎞で先頭3名に追い付いて6名となった。

そのあともバルデがアタックするなど打ち合いが続き、再び先頭は先ほどと同じ3名に。

それでもアルメイダが昨年のように、遅れてもすぐペース走行で追い付く淡々とした走りを見せ、残り800mで再び6名に。

最後はこの6名でスプリントに。

先頭はヒンドリー。残り300mを切って最後の右カーブを終え登り基調になったところでヒンドリーが腰を上げて加速を開始。

背後にいたポッツォヴィーヴォがイマイチ伸びなかったのを見て、残り150mでその背後からリチャル・カラパスがスプリント。ロマン・バルデもその右側から飛び出してくる。

カラパス、バルデ。クライマー勢の中でも比較的スプリント力のある2人が追い上げてくる中、先頭のヒンドリーはギリギリで・・・逃げ切った!

総合首位フアン・ロペスは1分46秒差でフィニッシュし、ギリギリでマリア・ローザを守る。

逆にサイモン・イェーツは11分15秒遅れのフィニッシュとなり、「4度目のリベンジ」も夢に終わることとなった。

バルデはやはり調子が良く、総合表彰台も十分に狙えそう。ミケル・ランダが意外とよく、ボーラもヒンドリーとブッフマンのダブルエース体制をうまく活かせるか。

そして、アルメイダが決して悪くない。カラパスは安定しているが、まだまだ最終的な総合の形は何一つ予想できない状況と言えるだろう。


第2週は総合争いはあまり起こらなそうなステージ構成。次の「危険ステージ」は第3週の第16ステージとなりそうだ。詳細は下記リンクで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?