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アムステルゴールドレース2022

オランダ南東端リンブルフ州を舞台に、丘陵地帯を駆け巡るアルデンヌ・クラシック開幕戦。

今年はパリ~ルーベと開催日程を好感した結果、例年とは少し違ったメンバーで繰り広げられることとなった。


総距離254.1㎞。総獲得標高は3,500m超。

逃げは6名。

イデ・スヘリンフ(ボーラ・ハンスグローエ)
エミルス・リエピンス(トレック・セガフレード)
オウェイン・ドゥール(EFエデュケーション・イージーポスト)
ヨハン・ヤコブス(モビスター・チーム)
アーロン・ファンパウク(スポートフラーンデレン・バロワーズ)
ルーカ・ラステリ(バルディアーニCSF・ファイザネ)

最大で5分差まで開いていたが、残り100㎞を切る頃には3分程度にまで縮まる。

そのタイミングでメイン集団からネイサン・ファンフーイドンク(ユンボ・ヴィズマ)ヴィクトール・カンペナールツ(ロット・スーダル)がアタックし、先頭6名に合流する。

直近でも調子のよい、それぞれのチームのセカンドエース級といっても良い2名の飛び出しに警戒し、クイックステップ・アルファヴィニルもフロリアン・セネシャルにブリッジを試みさせるも、これはすぐに引き戻される。


残り50㎞近くでタイム差は1分程度にまで縮まっていく。登りも段々と厳しくなっていき、先頭集団もバラバラになっていく。

そしてメイン集団からはティム・ウェレンス(ロット・スーダル)クリストフ・ラポルト(ユンボ・ヴィズマ)ミケル・ヴァルグレン(EFエデュケーション・イージーポスト)といった強力なライダーが飛び出す動きを見せ、いよいよ、レースが本格化していく。


残り45㎞。最初の勝負所、クルイスベルグと直後のアイゼルボスウェグの2連続登坂。2019年大会もジュリアン・アラフィリップとヤコブ・フルサンが飛び出した重要なポイントだ。

ここで逃げはすべて吸収。メイン集団も数が絞り込まれていく。


そして残り34㎞。2つ目の勝負所クーテンベルグ。ここが今大会の最大の決定的なポイントとなった。

最大勾配22%の今大会最高難度の激坂。ここでティシュ・ベノートを先頭に精鋭集団が加速。

最終的に以下、11名の先頭集団が形成され、これが勝ち逃げ集団となった。

ティシュ・ベノート(ユンボ・ヴィズマ)
カスパー・アスグリーン(クイックステップ・アルファヴィニル)
トム・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ)
ミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス・グレナディアーズ)
アレクサンダー・カンプ(トレック・セガフレード)
ディラン・トゥーンス(バーレーン・ヴィクトリアス)
シュテファン・クン(グルパマFDJ)
ブノワ・コヌフロワ(AG2Rシトロエン・チーム)
マルク・ヒルシ(UAEチーム・エミレーツ)
マイケル・マシューズ(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
マチュー・ファンデルプール(アルペシン・フェニックス)

トム・デュムランもヤコブ・フルサンもマテイ・モホリッチもいない。

11名はそのままメイン集団とのタイム差を着実に開いていきながら、レースを象徴する勝負所のカウベルグもこなしていく。


そして残り20㎞。グールヘンメルベルグ。

その直前で11名の中からミハウ・クフィアトコフスキが抜け出し、さらにグールヘンメルベルグの登りでブノワ・コヌフロワが追撃する。

そのまま抜け出した強力な2人組。

メイン集団ではディラン・トゥーンスやマルク・ヒルシが飛び出してブリッジを仕掛けようとするがすぐに引き戻され、牽制状態の末にそのタイム差を縮めることができずにいた。


残り1.8㎞。タイム差20秒。マチュー・ファンデルプールが我慢しきれずにアタックするが、そこにアスグリーンが食らいつく。

残り1.3㎞。タイム差13秒。ファンデルプールがさらに踏んでいく。2019年の再来は――ならない。ファンデルプールもさすがに足を止めて周りを見る。

あのとき以上に厳しいマークにさらされる中、後方は勝負権を失い、2015年覇者クフィアトコフスキと昨年のブルターニュ・クラシックでジュリアン・アラフィリップを破った男コヌフロワとの、マッチアップ。

コヌフロワが先頭のまま牽制し合いながら残り距離を消化していき、最後、最初にスプリントを開始したのはコヌフロワだった。


最後は、クフィアトコフスキの見事な――2017年ミラノ~サンレモでペテル・サガンを打ち倒した――バイク投げで、ごくわずかの差で逆転勝利。

地力だけではない、ベテランならではの経験と技術でもって、2年ぶり、クラシックとしては2017年のクラシカ・サンセバスティアン以来5年ぶりとなる勝利を手に入れた。


一度勝利を告げられて喜んでしまったコヌフロワにとってはただの敗北以上に悔しい時間を過ごすこととなったかもしれない。

とはいえ、調子は非常に良いのは間違いない。2週間後のフレーシュ・ワロンヌ、およびリエージュ~バストーニュ~リエージュといった残るアルデンヌ・クラシックでの活躍にも期待だ。

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