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ボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャ2021 第5ステージ

スペイン北東部カタルーニャ州を舞台とした7日間のステージレース。例年、クライマーのためだけのステージレース、といった印象だったが、今年は中距離個人タイムトライアルが登場したことで、よりオールラウンダー向けに。

とくにイネオスやユンボは誰がエースかわからないくらいの豪華な布陣で臨んできており、今年のグランツールを占ううえで重要な一戦となっている。


第5ステージはラ・ポブラ・デ・セグールからマンレザまでの201.5㎞中級山岳ステージ。

序盤から標高1,000m超えの登りをこなし、終盤も1級山岳モンセラートがゴール前26.5km地点に用意されていながらも山頂フィニッシュではないなど、非常に逃げ向きのステージ。

2012年の第5ステージで用意されたときは当時ソール・ソジャサンに所属していたジュリアン・シモン(現トタル・ディレクトエネルジー)が優勝。今年はどんなエスケーパーにチャンスがもたらされるのか。

コースプレビューや注目選手は以下の記事で


序盤はレミ・カヴァニャ(ドゥクーニンク・クイックステップ)、テイメン・アレンスマン(チームDSM)、マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)、イーデ・スヘリンフ(ボーラ・ハンスグローエ)といった実力者揃いの先頭集団が形成され、これをダビ・デラクルス(UAEチーム・エミレーツ)、アッティラ・ヴァルテル(グルパマFDJ)、ボブ・ユンゲルス(AG2Rシトロエン・チーム)、オメル・ゴールドシュタイン(イスラエル・スタートアップネーション)の4名が追走。

さらにこれをダリオ・カタルドやマルク・ソレルなど4名を乗せるモビスターや、ステフェン・クライスヴァイク、クーン・ボウマン、クリス・ハーパーを乗せるユンボ・ヴィスマ、あるいはヨセフ・チェルニー、ジェームス・ノックス、ドリース・デヴェナインスのドゥクーニンク・クイックステップに、単独のマルク・ヒルシやマイケル・ストーラーなど、非常に強力な面子を含む40名弱の大集団が追いかける。

残り54㎞地点で先頭からカヴァニャが独走を開始。しかし1級モンセラートはさすがに彼にとっては厳しすぎたようで、その山頂にて追走集団に捕まえられる。

そこから下りにかけて抜け出したのがカルロス・べローナ(モビスター・チーム)、ステフェン・クライスヴァイク(ユンボ・ヴィスマ)、レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ)の3名。

残り19㎞でここに追走がジョインし、以下の7名の先頭集団が形成された。

カルロス・ベローナ(モビスター・チーム)
ステフェン・クライスヴァイク(ユンボ・ヴィスマ)
レナード・ケムナ(ボーラ・ハンスグローエ)
セバスティアン・ライヒェンバッハ(グルパマFDJ)
リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・NIPPO)
ニコラ・エデ(コフィディス・ソルシオンクレディ)
ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション)

残り16.4㎞でこの7名とメイン集団とのタイム差が2分17秒。

逃げ切りが、確定した。


ここ数日あらゆるレースで積極的な走りを見せているモビスター・チーム。昨年は2勝。今年も未勝利の彼らの奮起なのか、今日も先頭のベローナがアグレッシブな動き。

だがそれも捕まえられて、残り6.7kmでケムナがアタック。クライスヴァイクが追撃で飛び出すも、ベローナやウランによるチェックも入り牽制状態に陥ったため、先に抜け出していたケムナがそのまま独走を開始した。


残り5㎞。先頭ケムナ。5秒遅れで膨れ上がった12名の追走集団。

カルロス・ベローナ(モビスター・チーム)
ステフェン・クライスヴァイク(ユンボ・ヴィスマ)
ジェームス・ノックス(ドゥクーニンク・クイックステップ)
マイケル・ストーラー(チームDSM)
セバスティアン・ライヒェンバッハ(グルパマFDJ)
ルーベン・ゲレイロ(EFエデュケーション・NIPPO)
リゴベルト・ウラン(EFエデュケーション・NIPPO)
タネル・カンゲルト(チーム・バイクエクスチェンジ)
ニコラ・エデ(コフィディス・ソルシオンクレディ)
ダニエル・マーティン(イスラエル・スタートアップネーション)
エリ・ジェスベール(アルケア・サムシック)
ミケル・ビズカラ(エウスカルテル・エウスカディ)

しかし昨年のツール・ド・フランス山岳ステージでも逃げ切り勝利を果たしている山岳名エスケーパーのケムナは、集団とのギャップを着実に開いていく。

残り3㎞。追走からベローナ、ゲレイロ、マーティン、ジェスベールの4名が抜け出すも、ケムナとのギャップは17秒に開いている。残りの8名は20秒差。

残り1㎞でケムナと追走とのタイム差は30秒に。もう決着はついた。ミケル・ビスカラが強烈なアタックを繰り出すが遅い。

昨年、チーム・サンウェブから移籍してきたドイツの期待のクライム・アタッカーが、その成長を示す見事な勝利で、ボーラに今年初のステージ勝利をもたらした。

第5ステージ

最後は集団から抜け出したゲレイロが単独2番手だったビスカラを追い抜いて2位フィニッシュ。

ウランマーティンクライスヴァイクらベテランに混じって、ノックスやヴァルテルなど若手の活躍も見ることのできるステージであった。

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