クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2021 第3ステージ
「ツール・ド・フランス前哨戦」第3ステージは、オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏のオート=ロワール県ランジャックからロワール県サン=タオン=ル=ヴューまでの172.2㎞。
前日までと違って終盤は比較的平坦が続く。しかしラストは700m・平均5.7%の登りスプリント。やはりピュアスプリンターというよりもパンチャータイプの選手に有利なレイアウトで、連日2位のソンニ・コルブレッリは今度こそ勝利を掴み取ることができるか?
逃げは2名だけ。今日はさすがに逃げ切りは難しいと踏んだか。
オマール・ゴールドスタイン(イスラエル・スタートアップネーション)
ロイック・ヴリーヘン(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
前日の覇者でマイヨ・ジョーヌを着るルーカス・ペストルベルガー率いるボーラ・ハンスグローエが集団牽引。最大で4分差を許しながらも、終盤にかけて着実にそのタイム差を削っていく。
残り50㎞。タイム差は1分を割る。メイン集団も決して早く捕まえないようにタイム差をコントロールする始末で、3日連続の逃げ切りというのは望むべくもなかった。
残り30㎞を切ってヴリーヘンがゴールドスタインを切り捨て独走を開始。そして残り20㎞を前にして彼もまた、集団に飲み込まれた。
プロトンは今大会最初の集団スプリントでのステージ勝利者争いを繰り広げることとなる。
残り15㎞。集団で落車が発生。今大会総合争いを演じることになるはずのギヨーム・マルタン(コフィディス・ソルシオンクレディ)がアスファルトに叩きつけられる。
チーム総出でこれを救出し、集団の最後尾にかろうじてつけたものの、集団の先頭ではイネオス・グレナディアーズが中心となって猛プッシュ。集団が分裂した中で再びコフィディスはエースのために足を削らなければならなかった。
マルタンは最終的に集団に復帰することができたものの、勝利も十分に期待できた今日のステージでの勝負権を失うこととなってしまった。
残り3㎞を切ってドゥクーニンク・クイックステップとユンボ・ヴィスマが集団の先頭へ。残り1㎞を切ると今度はイネオス・グレナディアーズとUAEチーム・エミレーツが主導権を奪う。
残り800mの最後のラウンドアバウトを越えて先頭はミハウ・クフィアトコフスキ。その背後には、ポイント賞ジャージを着るソンニ・コルブレッリ。
登りが始まる! 残り400m! UAEチーム・エミレーツの選手がブランドン・マクナルティを引き連れてペースアップ!
そして残り300m。
コースの左端から、アスタナ・プレミアテックのバスク人パンチャー、アレックス・アランブルが早めの抜け出しを図る。
これを許すわけにはいかない、とそこまでタイミングを探っていたコルブレッリが一気に加速し、アランブルの番手に着ける。
抜け出したアランブルとコルブレッリ。残り150mでコルブレッリはアランブルの背後から飛び出し、その横に並ぼうとする。
かなりの急勾配。アランブルも粘る。より登りに強いのはアランブル。しかし加速力はコルブレッリの方が上。
残り100mでコルブレッリはアランブルの横に並ぶ。
そして一気にこれを抜き去った。
最後はアランブル、やや失速。やはりちょっと、飛び出すのが早すぎたのかもしれない。
最後は十分な差をつけてコルブレッリが優勝。第1・第2ステージと2位続きだった今大会最強スプリンターが、ようやく掴み取った勝利であった。
「登れるスプリンター」というよりはむしろクライマーに近いメンバーも入り込むようなトップ10リザルト。この面子の中でしっかりと勝ちきるコルブレッリはさすがというか何というか。
この勢いをそのままツール・ド・フランスに持ち込むことができるか。
第4ステージはいよいよ個人タイムトライアル。
第1ステージでいきなり遅れ総合争いからは脱落していたマクナルティも今日は区間3位と好調で、得意のTTでも結果を出せるか。
もちろん、イネオスのゲラント・トーマス&リッチー・ポートコンビもまた、優勝候補であり、そこにU23世界選手権3連覇のデンマーク最強TTスペシャリストのミッケル・ビョーグがどこまで食らいつけるか。もちろん、カスパー・アスグリーンやヨセフ・チェルニーにも注目だ。
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