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ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 第8ステージ

スタート直後から2級山岳を登り、全部で5つの山岳ポイントを経て最後はブエルタ初登場の山、1級コリャウ・ファンクワーヤ(登坂距離10.1㎞、平均勾配8.5%)山頂へ。

ラスト3㎞は常に10%を超える激坂が待ち受ける強烈な激坂バトルで、2022ブエルタ最初の週末決戦が幕を開ける。


アクチュアルスタート直後は互いに様子見をして動きがなかったが、残り152.1㎞地点でようやくアレクセイ・ルツェンコが飛び出して活性化。

スタート直後の2級山岳アルト・デ・ラ・コリャドーナ(登坂距離6.4㎞、平均勾配7%)を経て人数は増減しつつも、残り129㎞地点にて以下の8名の逃げが形成される。

アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザフスタンチーム)
ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)
ブルーノ・アルミライル(グルパマFDJ)
レイン・ターラマエ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
ルーカス・ハミルトン(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
マッス・ピーダスン(トレック・セガフレード)
マルク・ソレル(UAEチーム・エミレーツ)
ジェイ・ヴァイン(アルペシン・ドゥクーニンク)

集団も落ち着き、これで逃げは確定か・・・と思いきや、そこからさらに集団からセバスティアン・ライヒェンバッハティボー・ピノを引き連れてアタック。先頭8名からもアルミライルがピノのために落ちてきてアシスト2枚でピノを先頭にジョインさせるためのミッションが開始された。

そして残り113.7㎞。ピノ、ライヒェンバッハ、そしてアルミライルの3名が先頭に合流し、この日の確定版10名の逃げ集団が完成した。

アレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザフスタンチーム)
ミケル・ランダ(バーレーン・ヴィクトリアス)
ティボー・ピノ(グルパマFDJ)
ブルーノ・アルミライル(グルパマFDJ)
セバスティアン・ライヒェンバッハ(グルパマFDJ)
レイン・ターラマエ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
ルーカス・ハミルトン(チーム・バイクエクスチェンジ・ジェイコ)
マッス・ピーダスン(トレック・セガフレード)
マルク・ソレル(UAEチーム・エミレーツ)
ジェイ・ヴァイン(アルペシン・ドゥクーニンク)

2級山岳の登りを含んだ最初の1時間の平均時速は41㎞/h。恐ろしいスピードで駆け巡り、この日の戦いの激しさを予感させた。

この日6つ存在したすべての山岳ポイントを第6ステージ覇者ジェイ・ヴァインが先頭通過。一気に40ポイントを獲得し、山岳賞ジャージを獲得した。

さらに残り26㎞地点の中間スプリントポイントまでの5つの山岳ポイントをしっかりと乗り越えてきたマッス・ピーダスンは、そのご褒美としてのスプリントポイント先頭通過を危なげなくこなす。これでサム・ベネットからマイヨ・プントス(ポイント賞ジャージ)を奪い取る。その差は5ポイント。ピーダスンはこのあと逃げ集団から脱落。

そして最後の1級山岳コリャウ・ファンクワーヤ(登坂距離10.1㎞、平均勾配8.5%)登坂が開始される。残り9.3㎞地点でメイン集団と逃げ集団とのタイム差は3分23秒。メイン集団もジュリアン・アラフィリップが先頭を牽引し、一気にタイム差を縮めていく。残り6.6㎞で彼が力尽きた段階でそのタイム差は2分23秒にまで縮まっていた。

直後、逃げ集団先頭で動きが巻き起こる。まずペースアップを仕掛けたのはルツェンコ。ここにヴァインが反応。ソレル、ランダ、ハミルトンといった実力者たちは脱落し、ルツェンコも失速する中、先頭はヴァイン、ピノ、ターラマエの3名に。

そして残り6㎞。シッティングのままさらに加速していくヴァインにターラマエ、次いでピノが引き離されていく。わずか2日前にプロ初勝利を成し遂げたばかりの26歳が、世界最高峰のレースの先頭で誰よりも強い走りを見せ始めていた。

残り5.2㎞。2分19秒差のプロトンからツール・ド・フランス総合8位のルイス・メインチェスが脱落する。フアン・アユソーも集団後方。

残り4㎞。リチャル・カラパス、ジョアン・アルメイダ、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォが遅れる。プロトンはすでに15名程度で、ログリッチは早くもアシストを失い丸裸に。カラパスを失ったイネオス・グレナディアーズは、それでもまだこのプロトンに4名ほど残しているようだ。

残り3.5㎞。テイオ・ゲイガンハートがアタック。クイックステップのアシストもすべて脱落し、レムコ・エヴェネプールはただ一人に。ウィルコ・ケルデルマンも遅れ、ボーラ・ハンスグローエはジロ覇者ジャイ・ヒンドレーただ一人に。

残り2㎞。先頭はヴァイン。これを30秒差でピノと一度遅れかけた中で復活したソレルの2人が追いかける。2分7秒差でログリッチ、ベン・オコーナー、ゲイガンハート、カルロス・ロドリゲス、エンリク・マス、エヴェネプール、サイモン・イェーツの7名が追いかける。

残り1.7㎞。プロトンはさらに削られ、エヴェネプール、マス、ログリッチ、ロドリゲスの4名に。エヴェネプールはこの日も先頭に立ち、マイヨ・ロホを着たままひたすら前を牽き続ける。

残り1.4㎞。ソレルはピノを突き放し単独追走。だが、先頭のヴァインを捕まえることはできなかった。

ジェイ・ヴァイン。その本物の実力は非ヨーロッパ人ゆえに危うく埋もれるところであったが、それをズイフト・アカデミー・プログラムは見出してアルペシン・ドゥクーニンクに届けることに成功した。

そしてそれは花開いた。チームにとっても、決して得意ではない山岳レースにおける、グランツール2勝というこの上ない成果をもたらしてくれることとなった。しかも山岳賞である!

年齢表記はすべて2022/12/31のものとなります。


1分20秒差で山頂にやってきたエヴェネプール、マス、ログリッチの3名は、最後にエヴェネプールのアタックによって危うく秒差がつくところであった。

絶好調エヴェネプール。果たして、それはジロ・デ・イタリアで迎えた「限界」を超え第3週まで到達することはできるのか。

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