ブリュッセル・サイクリングクラシック2021&シマック・レディース・ツアー第4ステージ&ドイツ・ツアー第3ステージ
ブリュッセル・サイクリングクラシック
その名の通りベルギーの首都ブリュッセル近郊を使用したセミクラシックレース。初開催は1893年とかなり古いものの、1967年から1972年までの期間は開催されず今年で101回目。また、2012年まではパリ~ブリュッセルと呼ばれ、実際にフランスとベルギーにまたがるレースであったが、2013年からはベルギー国内のみで走ることに。
元よりベルギーらしい石畳の急坂が多く登場するレースではあるが、最終的にはスプリンターたちによる争いで決着することが多く、直近でもアルノー・デマールやパスカル・アッカーマン、カレブ・ユアンなどトップスプリンターたちが勝利を飾っている。
今年も昨年の覇者ティム・メルリールやフェルナンド・ガビリア、ニッコロ・ボニファツィオなどのスプリンターたちも揃ってはいるものの、今年はカペルミュール~ボスベルグなどより本格的な北のクラシック仕様のコースが設定されている。
そんなこともあり、展開も完全にクラシックレースに。
残り60㎞地点のカペルミュール突入時点では先頭は以下の8名に。
レムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ)
アイメ・デヘント(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
フィリップ・ジルベール(ロット・スーダル)
トッシュ・ファンデルサンド(ロット・スーダル)
ヴィクトール・カンペナールツ(キュベカ・ネクストハッシュ)
マルク・ヒルシ(UAEチーム・エミレーツ)
ブランドン・マクナルティ(UAEチーム・エミレーツ)
トルシュタイン・トリエエン(Uno-Xプロサイクリングチーム)
ロンドとルーベの覇者ジルベールにカンペナールツ、北のクラシックでも好成績を残しているマルク・ヒルシに、先日のクラシックレース「ドライフェンクルス・オヴェライス」でも60㎞独走勝利を果たしたばかりのレムコ・エヴェネプールなど、非常に強力な8名。
カペルミュールでトリエエンが脱落して7名となるが、その後もタイム差は徐々に開いていき、残り40㎞を切った段階でそのタイム差は1分50秒近くまで。
先頭8名の逃げ切りがほぼ確実になっていく。
そして衝撃の展開は残り18㎞地点で。
なんと、エヴェネプールとデヘント以外の5名が、交差点でのコースミスにより脱落。
唯一の同伴者となったデヘントも残り11㎞で突き放し、あとはもう、彼の独壇場であった。
しっかりとした北のクラシックレースでどこまでエヴェネプールが通用するのかは未知数だったが、今回はアクシデントに助けられた面もあり得意パターンへと持ち込めた。
この後はベネルクスツアー(旧ビンクバンクツアー)、そしてフランドルで開催される世界選手権が控えているが、その双方に向けて万全であることを証明して見せた。
シマック・レディース・ツアー第4ステージ
初日プロローグから第3ステージまでは「ブエルタ・ア・エスパーニャ第10ステージ~第13ステージ」の記事の文末に書いてありますのでご参照ください。
ここまでの4日間、とくに第2ステージの個人TTで圧勝したマーレン・ローセル(アレ・BTCリュブリャナ)が総合リーダージャージを着用中。
ただし、前日の第3ステージでこの個人TT3位だったシャンタル・ブラーク(SDワークス)が(終盤の落車の影響で)抜け出し、ローセルから29秒を奪い取る。
結果、総合首位ローセルに対して10秒差でブラークが迫るという状況で迎えたこの第4ステージ。昨年まではブールス・レディース・ツアーと呼ばれていたこのオランダのウィメンズ・ワールドツアーの最後から2番目となるこの日、再び総合が大きく動くこととなった。
コースのレイアウト自体は最も標高の高いところでも110mしかないというほぼオールフラット。
ただし小刻みなアップダウンが頻繁に続いており、ラストもやや登り基調。
それでも、総合が動くようなステージにはなりづらい――と思っていたのだが、フィニッシュまで残り35㎞以上を残してブラークがカタジナ・ニエウィアドマ(キャニオンスラム・レーシング)、マリアンヌ・フォス(ユンボ・ヴィスマ)、アノスカ・コスター(ユンボ・ヴィスマ)と共に抜け出し、ローセルを含むメイン集団とのタイム差を着実に広げていく。
アレ・BTCリュブリャナもエースのために牽引を続けるが、コスターが脱落した先頭3名とのタイム差は最大で50秒近くにまで広がっていく。
終盤にかけて先頭3名が牽制状態に入り、またメイン集団も稀代のTTスペシャリストであるローセル自身が牽き始めたことで再びタイム差は縮まっていく。
フィニッシュ直前でもまた牽制が大きくかかり、最後はニエウィアドマが最初に仕掛けたものを背後から楽々と追い抜いてフォスが圧勝するが、ローセルもそこから21秒遅れの12位でフィニッシュすることとなった。
これで総合首位はシャンタル・ブラークが逆転。
総合2位は20秒差でマーレン・ローセル。
最終日第5ステージはまた小刻みなアップダウンが連続するステージであり、まだまだ総合争いに波乱が起きる可能性はあるだけに、見逃せない。
ドイツ・ツアー第3ステージ
第1~第2ステージはブエルタ・ア・エスパーニャ第12~第13ステージの記事の文末を参照ください。
ここまでの2ステージはいずれも起伏を越えた先のスプリントとなっており、第1ステージはパスカル・アッカーマンが、第2ステージはアレクサンダー・クリストフが優勝し、フィル・バウハウスはともに2位となっている。
総合首位アッカーマン、総合2位バウハウス、総合3位クリストフ。まだまだスプリンターたちによる争いが続いている。
第3ステージも残り9㎞で逃げをすべて捕まえて集団スプリントに――と思っていた中で、カウンターで8名の小集団が形成される。
その中から残り7㎞でニルス・ポリッツがアタック。残り6.5㎞でディラン・トゥーンスがここに食らいつくが、ラスト3㎞を切ってポリッツがこれを突き放す。
そのまま、今年のツール・ド・フランスで逃げ切り勝利を果たしているポリッツが再びの独走勝利。例年、こういう逃げ切りを果たした選手がそのまま総合優勝するのが例年のドイツ・ツアーのパターンだけに、このまま総合優勝も決めてしまうかもしれない。
メイン集団の先頭は今年引退を決めているアンドレ・グライペルが獲る。最終日、なんとか優勝してくれると嬉しいのだが・・・。
第1・第2ステージではアップダウンを前にして早々に脱落していたカヴェンディッシュもこの日はしっかりと生き残りスプリントに参加。
最終日、どんな展開になるのか注目である。
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