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ブルターニュ・クラシック2021&ドイツ・ツアー第4(最終)ステージ

ブルターニュ・クラシック

今年のツール・ド・フランスのグランデパールの地にもなった、フランスで最も自転車熱の高い地域、ブルターニュ。

そのブルターニュで開催されるワールドツアークラスのワンデーレースがこのブルターニュ・クラシックである。2015年まではGP西フランス・プルエーという名で呼ばれていた。


ブルターニュ地方らしいアップダウンが特徴で過去の優勝者にはアレクサンダー・クリストフやオリヴェル・ナーセン、セップ・ファンマルクにマイケル・マシューズなど、起伏に強いクラシックレーサーや登れるスプリンターたちが名を連ねる。

今年もジュリアン・アラフィリップやタデイ・ポガチャル、ディエゴ・ウリッシなどアルデンヌ系に強いパンチャータイプの選手たちを中心に優勝候補が並ぶ結果となった。


最初に形成された逃げは4名。

セバスティアン・グリニャール(ロット・スーダル)
アレクシー・グジャール(AG2Rシトロエン・チーム)
アレッサンドロ・デマルキ(イスラエル・スタートアップネーション)
クエンティン・ヘルマンス(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)

このまま集団がこれを捕まえてそこからセレクションがかかる展開になるかと思いきや・・・

残り62㎞地点の未舗装路「サウタララン」で優勝候補ジュリアン・アラフィリップがアタック。ここにチームメートのミケルフローリヒ・ホノレと共にブノワ・コヌフロワ、タデイ・ポガチャルといった強力なメンバーが食らいついていった。

ポガチャルはこの後、残り47㎞地点で脱落。

先頭の逃げ集団も少しずつ数を減らしていき、最終的にデマルキただ一人となってアラフィリップ、ホノレ、コヌフロワの3名に追い付かれる。

残り22㎞でコヌフロワがアタックするとデマルキも脱落し、先頭はこの3名だけに。

メイン集団とのタイム差は45秒。

どうなるか最後まで予想のつかない、ギリギリの攻防戦が始まる。


状況としてはドゥクーニンク・クイックステップが圧倒的に有利ではあった。先頭はアラフィリップ&ホノレで2対1の状況。後方の集団もバッレリーニらがローテーション妨害を仕掛け、思うようにタイム差は縮まらない。

しかしそのホノレも結構きつそう。先ほどのコヌフロワのアタックの際にも一旦千切れ、その後アラフィリップがローテーションを拒否してペースを落としていたがゆえに追い付けたという状況もあり、残り10㎞を切る頃にはすでにホノレも限界に近い状況であった。

さらに後続の集団からはコナー・スウィフトが単独で抜け出してきていて、残り4.3㎞時点で先頭3名とのタイム差20秒ちょっとにまで迫ってきていた。


ゆえに、アラフィリップも仕掛けざるを得なかった。残り2.7㎞。ホノレを突き放さざるを得ない一撃。

しかし、これに対してコヌフロワは余裕でついてくる。

逆にカウンターでコヌフロワがアタック。

ここにアラフィリップ、少しギャップを開いてしまう。


だがそれでもなんとかくらいつくアラフィリップ。長いアタックを繰り出し続けていたコヌフロワもさすがに腰を下ろし、一旦はアラフィリップに追い付かれる。

だが状況としては、アラフィリップの調子が万全ではなく、逆にコヌフロワがかなり調子が良いことがよく分かる瞬間であった。


そして迎えたスプリント。追いついてきたホノレを先頭に、残り150mで最後尾にいたアラフィリップがスプリントを開始すると同時に、その前にいたコヌフロワもスプリント。

サイドバイサイド。互いに前を譲らないまま横並びでフィニッシュへと突き進んでいき——最後の30mで、ついにアラフィリップが諦めた。

両腕を突き出したコヌフロワ。若き才能が、偉大なる先達をまさに力でねじ伏せた瞬間であった。

ブルターニュ・クラシック


ドイツ・ツアー 第4ステージ

前日までの戦いで総合首位ニルス・ポリッツ(ボーラ・ハンスグローエ)と総合5位ディラン・トゥーンス(バーレーン・ヴィクトリアス)とのタイム差は17秒。

そんな中、残り60㎞を切ってこのディラン・トゥーンスが集団からアタックし、モビスター・チームのマッテオ・ヨルゲンソンと共に逃げ集団を形成。そのまま1分近いタイム差をポリッツ含むメイン集団との間に開くほどの状況となった。

当然、ボーラ・ハンスグローエはアシスト総出でこれを追走。その甲斐あって残り10㎞を切る頃にはそのタイム差は10秒を切るほどになっており、途中の1つ目のスプリントポイント2位通過でトゥーンスが2秒獲得しているものの、それでも逆転の芽はなくなりつつあった。

だが、代わりにボーラのアシストはほとんど残っておらず、トゥーンスを捕まえた後のカウンターで飛び出されると厄介である。

まずは残り3.3㎞。小さな登りで23秒遅れのマルコ・カノラ(ガスプロム・ルスヴェロ)が飛び出す。狙いの1つは目の前にあるこの日2つ目のスプリントポイント。その先頭通過+3秒のボーナスタイムは彼に奪われるものの、ポリッツ自らがこれを追走し、2位通過の2秒ボーナスタイムを逆にポリッツが手に入れる。そしてカノラもここで失速。

さらに残り1.4㎞で今度は24秒遅れのイヴ・ランパールト(ドゥクーニンク・クイックステップ)がアタック。

これもまたポリッツが自ら集団の先頭を牽いて追うしかなく、なかなか開いたギャップが埋まらず苦戦するも——Uno-Xプロサイクリングの選手たちが先頭牽引に加わったことで一気に接近。フィニッシュ直前でこれを吸収した。

最後はスプリント。アレクサンダー・クリストフがステージ2勝目を記録し、アッカーマンが2位。さらに、ここまでのステージで7位や9位だったB&Bホテルスのルーカ・モッツァートが3位に入り込む結果となった。

ドイツ・ツアー第4ステージ


例年通り、「逃げ」からの総合優勝となった今年のドイツ・ツアー。

それでも、地元ドイツのボーラ・ハンスグローエに所属するドイツ人ニルス・ポリッツの総合優勝ということで、本人にとっても実に嬉しい結果となったと言えるだろう。

アッカーマンも1位、2位、4位、2位という文句のない結果でポイント賞を獲得。

チームとしても大満足のリザルトとなった。


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