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ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第8ステージ

ムルシア州の東海岸、コスタ・カリダと呼ばれる美しい海岸線を南下する今大会4度目のオールフラットスプリントステージ。

3年前、近いエリアを使用した際には横風で総合系の選手が遅れる事態なども巻き起こっていたが、今年は果たして。

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今日はさすがにアタック合戦はほとんどなく、3名の逃げがすぐに確定する。いつも通りアルペシン以外のUCIプロチームがそれぞれ1人ずつ出す、定番の平坦ステージパターンだ。

アンデル・オカミカ(ブルゴスBH)
アリツ・バグエス(カハルラル・セグロスRGA)
ミケル・イツリア(エウスカルテル・エウスカディ)


メイン集団はドゥクーニンク・クイックステップやアルペシン・フェニックスが積極的に牽引し、タイム差は最大でも4分程度しか許さない。

残り69.2㎞地点では、現在130ポイントのファビオ・ヤコブセンと131ポイントのジャスパー・フィリプセンとのマイヨ・プントスを巡る熾烈な争いが繰り広げられる。1位から3位は当然逃げの3名に奪われるため、残った4位と5位を巡りスプリントする両者だが、4位通過13ポイントを手に入れたのはフィリプセン。そして5位にはアルノー・デマールが入り込んだことで、ヤコブセンはこのときポイントを取れず。フィリプセンが一気にヤコブセンとのポイント差を広げることに成功した。

そのあとは、危惧されていた横風もそこまで強くはなく、小さな分断は起きたものの大勢に影響はなし。

3名も残り36.4㎞地点とかなり早めに吸収し、集団スプリントへと突入していった。


この日は最近の流行りの「ラスト3㎞まではひたすら総合系が集団先頭を支配する」形式ではなく、残り6㎞手前あたりからアルペシン・フェニックスやドゥクーニンク・クイックステップ、残り5㎞を過ぎたあたりからはグルパマFDJもアシストの数を揃えて積極的に集団先頭を牽引。

残り3.5㎞からはボーラ・ハンスグローエもそこに加わり、残り1.5㎞からはUAEチーム・エミレーツが支配し始めるなど、とにかく各スプリンターチームたちが全力の牽引をかなりの長時間続けるという状況が生まれた。

時速55㎞以上のハイ・スピード・ペースが継続し、残り1㎞に達した段階でアルペシン・フェニックス・トレインも完全に崩壊した(一応、フィリプセンの前にはアシストが1枚ついて、彼をなんとか前の方に引き上げようとする十分な仕事はしていた)。

そんな中、主導権を握ったのがドゥクーニンク・クイックステップだった。残り1㎞を過ぎて、先頭はベルト・ファンレルベルフとフロリアン・セネシャル。その右隣にUAEチーム・エミレーツがモラノを最後尾につけて3名並ぼうとするが前には出られない。セネシャルの後ろにはデマールのためのグルパマFDJのアシストが2枚連なっているが、これもセネシャルの背中についていくのが精一杯であった。

肝心のファビオ・ヤコブセン自体は先頭から8列目くらいに位置しており決して良い位置ではなかったものの、ファンレルベルフとセネシャルは彼を信じて全力で先頭を牽引していた。

そしてファンレルベルフが先頭を譲らないまま、残り600m。ファンレルベルフが外れ、セネシャルが先頭に立った。


ここからのセネシャルの牽きが素晴らしかった。残り600mから残り185mまでの実に400m以上の長距離を、やはり誰にも先頭を譲らないままに駆け抜けた。

残り400m時点で先頭セネシャルの後ろにはジャコポ・グアルニエーリ(グルパマFDJ)、フアン・モラノ、マーティン・ラース、マイケル・マシューズ、リカルド・ミナーリ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)、その後ろにマイヨ・プントスを着るジャスパー・フィリプセン、ファビオ・ヤコブセン、ジョルディ・メーウスと並ぶようにしてアルベルト・ダイネーゼと続いていった。

そして残り200m地点の直角右カーブ。

ここも先頭でセネシャルは駆け抜けていったが、残り185mの時点でついにその足は終了。

だが、このとき一連の流れに沿うようにして――つまり誰もが目の前のスリップストリームを護りラスト150mまで勝負を預けようとする中で――このカーブを使って勝負を仕掛けようとした男が2人いた。

そのうちの1人がリカルド・ミナーリ。

あえてこのカーブでその勢いのままアウト側に膨らんだ彼は、誰もいない空間で加速を開始。目の前のマシューズをまずは追い抜き、その前のモラノにも並びかけた。

しかしここで足を失った新たな先頭グアルニエーリがポジションを落とすために左に動いたのにつられたのか。その背中にいたモラノも同様に体を左に移し、ややフェンスぎわにまで動いてしまった。

そのタイミングと、ミナーリが加速してくるタイミングとが重なってしまった。接触・落車こそしなかったものの、これでミナーリは失速を余儀なくされ、勢いは素晴らしかったにも関わらず、上位入賞は叶わなかった。

そしてこの動きをもってモラノは降格処分に。当初5位のリザルトだったものが、先頭集団の最後尾につけられることになった。


そしてもう1人の勝負師がファビオ・ヤコブセンだった。

誰もがセネシャルの後ろのグアルニエーリ、モラノ、ラース、マシューズラインを守って保守的に走っていた中で、彼はイン側に体をずらし、フィリプセンの背後から抜け出した。

目の前には誰もいない空間――いや、ちょうど、先頭牽引を終えて身体を右にずらしていたセネシャルが目の前に。セネシャルもしっかりと後ろを見てヤコブセンの姿を確認していたため、これがわずかながら最後の「発射台」の役割を果たしたことだろう。

あとはもう、誰よりも速いスピードでラスト175mを駆け抜けていったヤコブセン。フィリプセンを、マシューズを抜き去り、あくまでもアシストだったグアルニエーリやラース、そして接触しかけるアクシデントを起こしていたモラノは敵ではなく、一気に先頭に突き抜けていった。

同じ勢いで加速で来たのは、このヤコブセンの背中にぴったりとついていたダイネーゼだけ。しかし彼も、決してヤコブセンに並びかけることはできなかった。

チーム力は今回、アルペシンやグルパマFDJに比べると低いかなと感じていたドゥクーニンクが、しっかりとその本来の力を見せつけてくれた1日であった。

そして、エースのヤコブセン自身は、やはり個人としても今大会最強の相応しい足を持つ男。

堂々たる2勝目。フィリプセンからマイヨ・プントスも奪い取り、このまま「最強」の座を持ち帰ることができるか。そのために何としてでも最低あと1勝は欲しい。

第8ステージ


第9ステージはいよいよ第1週最終日にして超重要な山岳ステージ。

総獲得標高4,500m。今大会の総合争いの1つの鍵となりうるステージになりそうだ。


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ツアー・オブ・ノルウェー第3ステージ

残り23㎞あたりから総合3位のマイク・テウニッセンや総合2位のイーデ・スヘリンフ、そして総合首位イーサン・ヘイター自身が動くなど、常に出入りの激しい展開が続き、さらに残り20㎞地点からはポストノルド・デンマークルント総合2位の元世界王者マッズ・ピーダスンが独走を開始した。

最終的にはピーダスンも捕まえられるが、残り5㎞を切って先頭集団は30名程度に。最後のスプリントに持ち込まれると勝機が少ないスヘリンフが残り1.4㎞でアタックするも抜け出せず。

フィリッポ・ガンナが先頭を牽いてそれ以上のアタックを許さないまま、最後の緩やかな登りスプリントが開始される。


第1・第2ステージと違ってこの日は緩やかに登っているとはいえよりピュアスプリンター向け。先行したピーダスンやアレクサンダー・クリストフに進路を阻まれたこともあって、総合リーダーのヘイターは先頭に飛び出すことができなかった。

結果、ピーダスンがクリストフの前で勝利。昨年のツールシャンゼリゼ2位の実力者が見事その真価を発揮して見せた。

第3ステージ


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