ティレーノ~アドリアティコ2021 第3ステージ
イタリアの西海岸(ティレニア海)と東海岸(アドリア海)とを結ぶ、「2つの海を結ぶレース」。
第3ステージはモンティチャーノからグアルド・タディーノまでの219㎞超ロング丘陵ステージ。
最後は第2ステージよりはやや緩やかながらもやはり登りスプリント。前日までのワウト・ファンアールトやジュリアン・アラフィリップ、マチュー・ファンデルプールの争いが再び激化するか。
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逃げは5名。
マーク・パドゥン(バーレーン・ヴィクトリアス)
ダヴィデ・バイス(EOLOコメタ)
トビアス・ルドヴィクソン(グルパマFDJ)
ギヨーム・ボワヴァン(イスラエル・スタートアップネーション)
ニキ・テルプストラ(トタル・ディレクトエネルジー)
最大で9分近いタイム差がつき、逃げ切りもありうるか、という事態に。
そのタイム差は残り4㎞を切った段階でも30秒近く残っており、ルドヴィクソンを除く4名がまだ生き残っていたこともあり、やはり逃げ切りは十分に考えられる――と思った中、落車で混乱するプロトンの先頭にデンマークチャンピオンのカスパー・アスグリーンが立つと一気に集団がペースアップ。残り2.8kmで逃げを吸収することとなった。
残り2㎞を切ってさらなる落車が発生する中、集団の先頭は今年CCCチームから移籍してきたクラシックルーラー、ネイサン・ファンフーイドンク(ユンボ・ヴィスマ)が牽引。その後ろにアラフィリップ、ユンボ・ヴィスマのアシスト(ティモ・ローセン?)、ワウト・ファンアールトの順。
マチュー・ファンデルプールこの時点で10列以上後方でチームメートがおらず、前日同様ポジション取りに問題を抱えているように見えた。
しかしそこからラスト1㎞でローセン?が仕事を終えて脱落する頃になると、ファンデルプールが自力で一気に上がってきて、ワウト・ファンアールトのすぐ後ろにまで迫る。
その後はドゥクーニンク・クイックステップのゼネク・スティバルが先頭を奪い取り、その後ろにジュリアン・アラフィリップ、グレッグ・ファンアーヴェルマート、ダヴィデ・バッレリーニ、セルジオ・イギータと並んでワウト・ファンアールト、そしてマチュー・ファンデルプールといった順で縦に長く伸び始める。
役者が揃った最終局面。いよいよ、といったところで2番目にいたアラフィリップが足を緩め、先頭を牽いていたスティバルが単独で抜け出す形に。まるでツール・ド・ラ・プロヴァンス第3ステージのソーサを発射させたベルナルのような、「誰もがエース」チームならではの戦術!
当然アラフィリップは後ろを見て「お前らいかないのか?」と牽制。こういうところでいけないファンアーヴェルマートを横目に、こういうところで(オンループ・ヘットニュースブラッドのトム・ピドコックのように)躊躇なく行くシクロクロッサーのワウト・ファンアールトが追撃を開始。
その勢いはすさまじく、残り250mでスティバルをキャッチ。
だがその後ろには、しっかりと足を貯めていた大砲、マチュー・ファンデルプールが控えていた。
ある意味で、ワウト・ファンアールトの豪華すぎるアシストを受けた形となったファンデルプール。となれば、誰もこれに敵う相手などいない。
最後は「モトGPのファビオ・クアルタラロをオマージュしたポーズ」らしい独特なガッツポーズで王者のフィニッシュを飾った。前日にアラフィリップにしてやられた悔しさを晴らす機会に早速恵まれた形だ。
第4ステージはいよいよ「山頂フィニッシュ」。ファンアールトは彼にとって初となる本格的ステージレースでの総合優勝を護り切ることができるか、それともやはりタデイ・ポガチャル、エガン・ベルナルらがその力を見せつけるか。
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