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ベネルクスツアー第1ステージ&グランプリ・ド・プルエー2021

ベネルクスツアー 第1ステージ

かつてはエネコ・ツアー、あるいはビンクバンクツアーと呼ばれていたオランダとベルギーを跨るステージレース。そのさらに昔にもベネルクスツアーと呼ばれていたが、今年この名称が復活。でもルクセンブルクは通るのか?

第1ステージはオランダのフリースラント州にあるシュルハイステルフェーンからドックムまでの169.6㎞。レイアウトだけ見れば大集団スプリントを阻むもののないオールフラットステージではあるものの、「風車の国」オランダらしい強烈な横風が集団を分断していった。

最初に形成された逃げは7名。

ジュリアン・デュヴァル(AG2Rシトロエン・チーム)
ローガン・オーウェン(EFエデュケーション・NIPPO)
ギヨーム・ボワヴァン(イスラエル・スタートアップネーション)
ルーク・ダーブリッジ(チーム・バイクエクスチェンジ)
アリエン・リヴィンス(ビンゴール・パウェルスソーセスWB)
ルドヴィック・ロベート(ビンゴール・パウェルスソーセスWB)
ヴァート・ファンホーフ(スポートフラーンデレン・バロワーズ)

残り40㎞を切った時点でこの7名を追いかける第2集団は53秒差。そしてその後ろに、1分36秒差の集団が。

第2集団もかなり大きそうなので、第3集団はこの日、大きくタイムを失ってしまうのでは?


そしてトラブルも発生。残り30㎞で今大会の総合優勝候補でもあるレムコ・エヴェネプール(ドゥクーニンク・クイックステップ)がメカトラブル。怒り方や、フィニッシュ後にアルペシン・フェニックスの選手に何か激怒していた様子から、もしかしたらひと悶着あったのかも?

さらに残り23.7㎞でペテル・サガンも落車。こちらも、落車直後怒っている様子で、単純な落車ではなさそうな雰囲気を漂わせている・・・。

そんなトラブルがありながらも残り16㎞。すでに最初に逃げは吸収しており、先頭は5名。

カスパー・アスグリーン(ドゥクーニンク・クイックステップ)
ソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス)
マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)
マイク・テウニッセン(ユンボ・ヴィズマ)
ティシュ・ベノート(チームDSM)

このレース特有のゴールデンキロメーター(1㎞ごとに3つのボーナスタイムポイントが用意されており、それぞれ1位から3位まで3秒~1秒のボーナスタイム。仮にすべて1位通過できれば9秒のボーナスタイムを得られる)が残り18㎞地点から始まり、残り16㎞地点の1位通過をベノートが手に入れたのは確認ができた。

ゴールデンキロメーター終了後に追走集団に5人が捕まり、先頭は30名近い集団となる。

確認できたメンバーは以下の通り。

ティム・メルリール(アルペシン・フェニックス)
ジャンニ・フェルメールシュ(アルペシン・フェニックス)
カスパー・アスグリーン(ドゥクーニンク・クイックステップ)
アルバロホセ・ホッジ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
ステイン・スティールス(ドゥクーニンク・クイックステップ)
ティム・ウェレンス(ロット・スーダル)
ロジャー・クルーゲ(ロット・スーダル)
トッシュ・ファンデルサンド(ロット・スーダル)
オリヴェル・ナーセン(AG2Rシトロエン・チーム)
ソンニ・コルブレッリ(バーレーン・ヴィクトリアス)
マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)
フィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス)
ハインリッヒ・ハウッスラー(バーレーン・ヴィクトリアス)
ルーカス・ペストルベルガー(ボーラ・ハンスグローエ)
クリストフ・ラポルト(コフィディス・ソルシオンクレディ)
シュテファン・キュング(グルパマFDJ)
ダニー・ファンポッペル(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
マイク・テウニッセン(ユンボ・ヴィズマ)
ティシュ・ベノート(チームDSM)
ヴィクトール・カンペナールツ(キュベカ・ネクストハッシュ)
マキシミリアン・ヴァルシャイド(キュベカ・ネクストハッシュ)
マッズ・ピーダスン(トレック・セガフレード)
ジャスパー・ストゥイヴェン(トレック・セガフレード)
トムス・スクインシュ(トレック・セガフレード)
フェルナンド・ガビリア(UAEチーム・エミレーツ)

強力なスプリンターが揃う中、(おそらく)たった一人で戦わざるをえないボーラのペストルベルガーが残り1.5㎞でアタック。一瞬集団も牽制しかけ行けるか?と思ったが、そこでイタリアチャンピオンジャージを着るソンニ・コルブレッリが自ら集団を牽引。これでペストルベルガーも捕まる。

集団の先頭にアルバロホセ・ホッジを従えたカスパー・アスグリーンが出てきて、トレック・セガフレードもジャスパー・ストゥイヴェンがマッズ・ピーダスンを連れて上がってくる。

左からはキュベカ・ネクストハッシュ。そして右からはメルリールも上がってくる!

最後はホッジ、バウハウス、メルリールの三つ巴の戦いが繰り広げられるが、これを打ち破ったのが今期実績でも頭一つ抜けているメルリールであった。


おそらくエヴェネプールは1分半近く遅れた第2集団でのフィニッシュ。

彼の独走力をもってすれば、第2ステージのTTや、あるいはどこかのステージでのまた大逃げ展開で取り戻せなくもないかもしれないが、果たして。

世界選手権前哨戦ともいえるこのベネルクスツアー。この先の展開も楽しみだ。


グランプリ・ド・プルエー

女子版ブルターニュ・クラシックとも言うべきこのレースは、13.68㎞の周回コースを全部で11周する150㎞のレース。

1周回の中には3つの登りがあり、丘陵適性を持つライダーに有利なサバイバルレースとなっている。

それがゆえに世界王者アンナ・ファンデルブレッヘンは優勝候補の1人であり、序盤には逃げに乗ろうとする動きすら見せていたが、残り36.4㎞の時点で一回集団から脱落しかける姿も。

このときはすぐ集団に復帰したが、最終的には残り2周回に入った直後の最初の最大勾配19%の厳しい登り(コート・ド・レゾ)で集団がバラバラになると共に、ファンデルブレッヘンは完全に脱落した。

このとき、先頭は序盤から逃げ続けていたアレナ・アミアリウシク(キャニオンスラム・レーシング)ただ一人。

そこにエリーザ・ロンゴボルギーニ(トレック・セガフレード)とマビ・ガルシア(アレ・BTCリュブリャナ)が合流。

ただこれは一旦後続から追い上げてきた集団に吸収されるが、その集団もわずか12名と決して大きくない集団となっていた。

残り13.6㎞。最後の周回に入ると共に、そこからタチアナ・グデルゾ(アレ・BTCリュブリャナ)がアタック。

さらにここにリアヌ・リッパート(チームDSM)とロンゴボルギーニも追いついてきて先頭3名に。

そして残り10㎞。

この日、最も積極的で最も強い走りを見せていたロンゴボルギーニが、最後の決定的な一撃を繰り出した。


今シーズン中盤以降、昨年から今期前半まで続いた強さにやや陰りが見えていた印象のあったイタリア王者ロンゴボルギーニ。

しかし東京オリンピックロードレースで銅メダルを獲ったあたりからまた調子を取り戻しつつあり、この日はまさに彼女の必勝パターンであった。

残り5.5㎞で追走とのタイム差12秒。

残り2.5㎞で追走とのタイム差30秒。

フローチェ・マッカイ(チームDSM)とガルシアが彼女を追いかけ、そこにソラヤ・パラディン(リブレーシング)なども合流するが、先頭ロンゴボルギーニとのタイム差は縮まることはなかった。


エリーザ・ロンゴボルギーニ。今期4勝目。

今世界で最も強い女子ライダーの5本の指に入る実力者が、国内選手権勝利以来2ヵ月ぶりの勝利を飾った。




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