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スヘルデプライス2021

伝統的にロンド・ファン・フラーンデレンとパリ~ルーベとに挟まれた水曜日に開催されている、フランドル地方最古のクラシック。

かつてはベルギー国内だけで完結しているレースだったが、近年はオランダとベルギーにまたがるコースに変更。

フィニッシュ地点のスコーテン周辺の石畳区間と、近年のコース変更に伴い付け加えられた北海沿いの横風区間とがクラシックなスパイスを提供しつつも、基本的には集団スプリントで決着することの多いレースとなっている。


では、今年はどうか。

今年も結局は、その「横風区間」によって大きな混乱が巻き起こった。

最初の1時間の速度は51km/h。最初の17kmを消化した段階で、3つのグループが形成され、一度はそれらが1つになったかと思うと、さらに落車によって再び分裂。

最終的には残り75㎞で以下の30名による「先頭集団」が形成された。

サム・ベネット(ドゥクーニンク・クイックステップ)
ミケル・モルコフ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
マーク・カヴェンディッシュ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
フロリアン・セネシャル(ドゥクーニンク・クイックステップ)
ベルト・ファンレルベルフ(ドゥクーニンク・クイックステップ)
パスカル・アッカーマン(ボーラ・ハンスグローエ)
ルディガー・ゼーリッヒ(ボーラ・ハンスグローエ)
ニルス・ポリッツ(ボーラ・ハンスグローエ)
ミカエル・シュヴァルツマン(ボーラ・ハンスグローエ)
マーカス・ブルグハート(ボーラ・ハンスグローエ)
ジャスパー・フィリプセン(アルペシン・フェニックス)
ヨナス・リッカールト(アルペシン・フェニックス)
ドリス・デボント(アルペシン・フェニックス)
スタン・デウルフ(AG2Rシトロエン・チーム)
マルク・サロー(AG2Rシトロエン・チーム)
ダニー・ファンポッペル(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
ヨナス・コッホ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
ジャコモ・ニッツォーロ(キュベカ・アソス)
マックス・ワルシャイド(キュベカ・アソス)
ブレント・ファンムール(ロット・スーダル)
ノルマン・ヴァートラ(イスラエル・スタートアップネーション)
ケース・ボル(チームDSM)
セーアン・ヴァーンショルド(UNO-Xサイクリングチーム)
クレモン・ルッソ(アルケア・サムシック)
ルーカ・モッツァート(B&Bホテルス・p/b KTM)
エヴァルダス・シシュケヴィチュス(デルコ)
ドリス・ファンヘステル(トタル・ディレクトエネルジー)
ヤンウィレム・ファンシップ(ビートサイクリング)
ピョートル・ハヴィック(ビートサイクリング)
ルーク・バフター(ビートサイクリング)

サム・ベネット率いるドゥクーニンク・クイックステップが5名、パスカル・アッカーマン率いるボーラ・ハンスグローエが5名。

それぞれ発射台も伴っており、完璧な体制。ここに、ジャスパー・フィリプセン率いるアルペシン・フェニックスが3名、マルク・サロー率いるAG2Rシトロエン・チームが2名、ダニー・ファンポッペル率いるアンテルマルシェが2名、ジャコモ・ニッツォーロ率いるキュベカ・アソスが2名、パリ~ニースでも1勝している優勝候補の1人、ケース・ボルは単独で集団内に残っており、苦しい状態となっている。

また、アレクサンダー・クリストフ(UAEチーム・エミレーツ)とティム・メルリエ(アルペシン・フェニックス)という2大優勝候補も最初はこの集団に乗り込んでいたものの、落車により脱落。エリア・ヴィヴィアーニ(コフィディス・ソルシオンクレディ)もまた、最初からこの逃げ集団に乗ることができずにいた。


最後3周する16.7㎞の周回コースの1周目。フロリアン・セネシャルとマルクス・ブルグハートがそれぞれのエースのために全力集団牽引。追走集団もクリストフのためのUAE、ヴィヴィアーニのためのコフィディス、ユーゴ・オフステテールとルディ・バルビエのためのイスラエル・スタートアップネーション、そしてティモシー・デュポンのためのビンゴール・ワロニーブリュッセルがそれぞれ懸命に牽引するも、結局追いつくことができないまま勝負は先頭の30名によって繰り広げられることに。

最終周回では主にUAEチーム・エミレーツのヴェガールステーク・ラエンゲンが強力に追走集団をリードし、タイム差は1分20秒にまで迫るものの、その時点で残り距離は7㎞。セネシャルとブルグハートが導く先頭集団は順調に歩を進め、ラスト2.5㎞で二人とも戦線を離脱した。

最後のスプリントに持ち込まれれば勝ち目のないビートサイクリングのハヴィックが飛び出しを見せるも挑戦は無謀に終わり、ベルト・ファンレルベルフを先頭にしたクイックステップ・トレインがラスト1㎞を通過していく。

先頭はファンレルベルフ、その後ろにミケル・モルコフ、そしてエースのサム・ベネット。マーク・カヴェンディッシュはベネットの後輪につけ、ライバルたちを蹴散らす掃除役となった。

最大のライバルたりえたボーラ・ハンスグローエもすでにトレインが崩壊しており、おそるるにたらず。

勝利はほぼ確実。だが、その圧倒的優勢こそが、彼ら自身を苦しめた。

僕たちは最後に1人、足りなかった。僕たちが優勝候補であることは明らかだったので、自分たちで動いていく必要があり、早い段階からリードアウト要員を使いすぎてしまった。そして彼らが後ろから、より速いスピードで迫ってきたんだ


その言葉通り、集団の右側から、ベルギーチャンピオンジャージを着るドリース・デボントがものすごい勢いで加速してヨナス・リッカールトとジャスパー・フィリプセンを引き上げていく。

デボントから牽引を引き継いだリッカールトもその勢いを落とすことなく、これまで無敵の様相を呈し続けてきたドゥクーニンク・クイックステップのトレインを追い抜いていった。

最後はリッカールトとフィリプセンがベネットたちの前に覆いかぶさる形となり、スプリントを開始したフィリプセンの後ろからベネットが加速するも、最後は届くことなく先着されてしまった。

4.スヘルデプライス


結果としては、アルペシン・フェニックスが非常に強かった。

しかし、ドゥクーニンク・クイックステップとしても、やり方がないわけではなかったはずだった。

「あと1人」とベネットが述べていたが、結局、カヴェンディッシュの分、先頭でトレインを牽く存在がいればよかったのか、と思わなくもない。あの場面で、もう1人、セネシャルがいれば・・・

とはいえ、その瞬間だけ切り取ってあれこれ言ってもロードレースは仕方ない。

そも割と純粋なクラシックライダーのはずのデボントとリッカールトがあそこまでのリードアウトができることの方が驚きだ。

やっぱり、アルペシンが強かったとしか言いようがない。

今期、序盤はちょっとイマイチな状況が続いていたフィリプセンが、ここにきて調子を取り戻してきているのは実に喜ばしいことである。

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