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ブエルタ・ア・エスパーニャ2021 第6ステージ

ラスト1.9㎞まではひたすら下りと平坦。しかしラスト1.9㎞が最大勾配21%の超激坂の「山岳」ステージ。

昨年のバレンシア1周でタデイ・ポガチャルがアレハンドロ・バルベルデとディラン・トゥーンスを降した「クリェラ気象観測所への登り」で今年勝つのは?

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序盤から何度かアタックが繰り返され、逃げができては引き戻される展開が続く。

50㎞ほど消化してようやく5名の逃げが生まれる。

イェツ・ボル(ブルゴスBH)
マグナス・コルトニールセン(EFエデュケーション・NIPPO)
ジョアン・ボウ(エウスカルテル・エウスカディ)
ベルトヤン・リンデマン(チーム・キュベカ・ネクストハッシュ)
ライアン・ギボンズ(UAEチーム・エミレーツ)

残り40㎞で3分20秒差にまで広がるが、最後は厳しい登りであり、逃げ切るのは少し難しいか?

しかし残り30㎞を前にして横風区間に突入。モビスター・チームが先頭を牽いて一気にペースアップ。一時はマイヨ・ロホを着るケニー・エリッソンドやヒュー・カーシーなどが遅れていく。

残り27.5㎞で一度この攻撃も止み上記の選手たちも復帰するが、残り16.2㎞から再び横風区間。ここでもまた、モビスターが隊列を作ってペースを上げる。

しかしこのハイ・ペースでも先頭とのタイム差は思うようには縮まらず、残り8.5㎞で1分以上のタイム差。

残り6.9㎞でタイム差は53秒。

残り4.6㎞でタイム差は47秒。

モビスターが前を牽くとタイム差は縮まるが、彼らがいなくなると再びそれが停滞する。モビスターは隊列の最後尾にアレハンドロ・バルベルデを置いて、本気でこの日の勝利を狙っている様子。

残り3.3㎞で37秒差。イネオスも前に出てきて、トム・ピドコックがこれを牽引する。先頭集団では、コルトニールセンが最も余裕そうな様子を見せている。

残り2.9㎞。タイム差32秒。

残り2.5㎞。タイム差28秒。

イネオスが先頭を全力で牽引。

残り2㎞。登りが始まる。タイム差は、20秒。

先頭集団ではまずは地元のボウがアタック。これをコルトニールセンがしっかりと追走する。

集団ではジョナタン・ナルバエスが背後のカラパスを引き千切らんばかりの勢いでペースアップ。集団もバラバラになり始める。

残り1.4㎞。

ボウは脱落し、先頭はコルトニールセンと、これに食らいつくリンデマンの2人。集団ではマイヨ・ロホのエリッソンドがさすがに遅れていく。

残り1㎞。集団はロペス、ウラソフ、カラパス、ログリッチ、ベルナル、バルベルデ、マス、そしてマイケル・マシューズ。

先頭ではコルトニールセンがリンデマンを突き放して独走を開始。集団ではマシューズが先頭でガシガシ踏んでいき、ロペスとウラソフがここについていく。

コルトニールセン、逃げ切れるか?

しかし後続の集団からは、こういったレイアウトにめっぽう強いログリッチが抜け出して、猛烈な勢いで加速していく。

フィニッシュ直前、先頭コルトニールセンのすぐ後ろにはログリッチの姿。

だが、最後はログリッチも無理をせずペースを落とす。譲ったか、あるいはここではまだ、無理をしないことを選んだか。

いずれにせよ、これでブエルタ・ア・エスパーニャ4勝目。グランツールでは5勝目を記録することとなった。

第6ステージ


かつてこのブエルタで最初の2勝をしたとき(2016年)は紛れもなくスプリンターだった彼だが、その後はパリ~ニースで2回山岳系ステージで逃げ切り勝利し、ツール・ド・フランスでも同じく山岳系ステージで逃げ切り。

本人は「以前のブエルタではすべてスプリントで勝ってきたけど、今回は登れる姿も見せられた」とインタビューで語っていたけれど、すでに登れる姿は何度でも見せてきている男だ。そもそも前回の(昨年の)ブエルタ勝利もスプリントはスプリントでも、2位がログリッチ、4位がバルベルデ、5位がカラパスといった中でのスプリントである。

いずれにせよ、名ステージハンターはまだまだ衰えを見せず。デンマーク人ではブエルタで2番目に勝っている男らしい。


総合でも動きが。

プリモシュ・ログリッチがケニー・エリッソンドからマイヨ・ロホを奪還。そして総合2位から4位まで、マス、ロペス、バルベルデとモビスター・チームが並ぶ格好に。

ベルナルが5位、ウラソフが6位。ログリッチとベルナルとは41秒、ウラソフとは53秒が付く形となった。


翌第7ステージは5つの山岳ポイントを経つつ、最後は1級山岳山頂フィニッシュ。ここまでのステージで最も山岳めいたステージであり、今年の傾向からいうと逃げ屋向きと言えそうなステージだ。

ただ、ラストの1級パルコン・デ・アリカンテはなかなか一筋縄ではいかない登り。ラスト3.5㎞はひたすら9%以上の急勾配が延々と続いていく(最後の400mは下り)。


再び総合が動き出しそうなステージとなっている。


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ツアー・オブ・ノルウェー第1ステージ

同日に開催されたツアー・オブ・ノルウェーについても触れていく。

1週間前のツアー・オブ・デンマークで総合2位だったマッズ・ピーダスンや、ツール・ド・フランス総合2位のヨナス・ヴィンゲゴー、2019年ツール・ド・ラヴニール覇者トビアス・フォスなどが出場し注目されていたが、そのいずれもがこの第1ステージ終盤の登りフィニッシュ(登坂距離2.1km・平均勾配8.3%&登坂距離4.8㎞・平均勾配4.9%の合わせ技)で脱落。

勝負は先頭のイーデ・スヘリンフ、マティアス・スケルモース、ジョージ・ベネット、ルーカス・エリクソン、イーサン・ヘイター、そして驚きのフィリッポ・ガンナといった面々によって委ねられることに。


ラスト1.1㎞でスヘリンフがアタック。ここにヘイターがついていく。

後ろにガンナが控えていることもあり、ツキイチポジションを維持するヘイター。今年のブエルタ・ア・アンダルシアの山頂フィニッシュでも勝利している「登れ過ぎるスプリンター」ヘイターはさすがの余裕ぶりだった。最後は難なくスプリントでスヘリンフを下して優勝。

他の優勝候補が軒並み崩れたこともあり、そもそもノルウェーくらいの地形では最適とも言える脚質をもったヘイター。このまま総合優勝まで射止めてしまうのか?


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