見出し画像

ツール・ド・ロマンディ2021 第2ステージ

スイスのフランス語地域圏(=ロマンディ地方)で1947年から開催されているステージレース、ツール・ド・ロマンディ。

今年もジロ・デ・イタリア開幕直前の4月末から5月頭にかけて、初日のプロローグも含め6日間の日程で開催された。

なかにはジロ・デ・イタリアに出場する選手もいれば、このあと高地トレーニングなどを経てツール・ド・フランスに備える選手など、様々な思惑をもった選手たちが集まる山岳ステージレースを振り返っていく。


第2ステージはラ・ヌーヴヴィルからサン=ティミエまでの165.7㎞丘陵ステージ。

5つの2級山岳と1つの1級山岳が待ち構え、最後の登りの頂上からフィニッシュまでは17㎞あるとはいえ、ピュアスプリンターたちが生き残るにはあまりにも厳しいレイアウト。

総合勢による小集団スプリントで決まるのか、ある程度の集団でフィニッシュし、生き残った登れるスプリンターたちによる争いになるのか。

結末の読めない戦いとなった。


1つ目の登り(22㎞地点)で6人の逃げが形成された。

ヘルマン・ペルンシュタイナー(バーレーン・ヴィクトリアス)
ジョナサン・カイセド(EFエデュケーション・NIPPO)
レイン・タラマエ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
ダヴィデ・ヴィッレラ(モビスター・チーム)
クリス・ハミルトン(チーム・バイクエクスチェンジ)
アントワン・トルホーク(チーム・ユンボ・ヴィスマ)

とはいえ、まだ第2ステージ。

6人全員が総合リーダーのローハン・デニスから1分以内の遅れでしかなかったため、この逃げが許される可能性は微塵たりともなかった。

最大で2分半程度のタイム差しか許されることなく、その後はオウェイン・ドゥールとアンドレイ・アマドールが中心となって牽引するイネオス・グレナディアーズ列車によって徐々にタイム差を縮められていった。

最終的には残り30㎞を残し、逃げはほとんどすべて吸収。

唯一抜け出したタラマエが2分弱のペースを保ちつつ、単独で先頭を走っていた。


残り25㎞を切ってから始まる、1級山岳ラ・ヴュー=デ=アルプ(登坂距離7.8km・平均勾配6.7%)の登りで集団の先頭をイネオスのエディ・ダンバーが牽引しながらペースアップ。

少しずつ集団の数も減っていく中、登りの途中の残り21.5km地点でタラマエも集団に吸収された。


そしてカウンターでイラン・ファンワイルダー(チームDSM)がアタック。さらにユンボ・ヴィスマのセップ・クス、トレック・セガフレードのケニー・エリッソンド、イスラエル・スタートアップネーションのマイケル・ウッズといった強力なライダーたちもここでアタックを仕掛けていったため、イネオスはこれを全力で捕まえる必要があった。

ただし、これを捕まえる役目を担ったのは、本来であれば守られるべき存在であるはずの、総合リーダーたるローハン・デニス。

もちろん、これは必然であった。チームの総合エースはあくまでもリッチー・ポートとゲラント・トーマス。総合リーダージャージを着ていたとしても、デニスはあくまでもアシスト。そして世界有数の有力な山岳アシストであった。


デニスのペースアップによってクスたちは捕まえられ、そして集団の数は40名を切るほどにまで縮小していた。

もちろん、ピュアスプリンターたちの姿は(2日連続で)影も形もない。さらには、昨日優勝しているペテル・サガンの姿すらも。

逆に有力なスプリンターとして残っていたのがバーレーン・ヴィクトリアスのソンニ・コルブレッリとイスラエル・スタートアップネーションのパトリック・ベヴィン。

とくにコルブレッリのもとにはダミアーノ・カルーゾとハーマン・ペーンシュタイナー、ジャック・ヘイグといったチームメートが数多く残っており、最後のリードアウト要員としても使える状態であった。

昨日もトラトニクのリードアウトで放たれつつも、枚数が足りなさすぎて残り250m近くからスプリントを開始せざるを得ず、粘りはしたがさすがに耐えきれず最後にサガンに差されてしまったコルブレッリ。

今日もやや早すぎる先頭牽引を開始してしまったバーレーンではあったが、それでもコルブレッリは残り200mを切った直後まではアシストに守られることができて、最後の最後ベヴィンに本当にギリギリのところまで迫られはしたものの、なんとか今度こそ勝つことができた。

第2ステージ


3位以下はパンチャーやクライマーたちばかりが並び、むしろコルブレッリとベヴィンが残れたことが奇跡のような状況。

第3ステージもゴール前9㎞地点に小さな登りはあるものの、やはりある程度の集団でのスプリントの可能性がありそうなステージ。

昨日・今日と似たような面子でのフィニッシュになるか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?