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ブエルタ・ア・エスパーニャ2022 第3ステージ

ディエゴ・ベラスケスの名画『ブレダの開城』で有名な街ブレダを発着する、オランダ3連戦最終日の平坦スプリントステージ。

前日に続き、2日連続の(そしてもしかしたら最終日マドリードまでの間で最後になるかもしれない)純粋な大集団スプリント決着が期待された。

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アクチュアルスタートと同時に山岳賞ジャージを着るユリウス・ファンデンベルフがアタックするもこれはすぐに捕まえられる。

だが、直後に今度は逃げ王トーマス・デヘントを含む7名の小集団が抜け出し、デヘントが加速したことによってこれが見事成立。

早くも7名の逃げ集団が形成された。山岳賞ジャージのファンデンベルフもしっかりとここに乗ることに。

ホセ・エラダ(コフィディス)  
ユリウス・ファンデンベルフ(EFエデュケーション・イージーポスト)
ヤン・バーケランツ(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
トーマス・デヘント(ロット・スーダル)
アンデル・オカミカ(ブルゴスBH)
パウ・ミケル(エキッポ・ケルンファルマ)
ミケル・イツリア(エウスカルテル・エウスカディ)

この日も前日に続きいくつかの落車が発生。その中で、イスラエル・プレミアテックのエースを担うはずだったマイケル・ウッズも巻き込まれ、リタイア。すぐに走り出せていたようだが、脳震盪への恐れからドクターストップがかかったのかもしれない。

それ以外は大きな問題も起こらず、前日のように早々に逃げが捕まることもなく、残り56㎞地点の4級山岳はデヘントが先着。2ポイントを獲得。但しファンデンベルフも2位通過で1ポイントを獲得したため、合計3ポイントとなり、この日も山岳賞ジャージを守ることには成功した。

残り23㎞地点の中間スプリントポイントもデヘントが先着し、これで彼は足を止めて集団に吸収される。すでにこの時点でプロトンは30秒後方に迫っていた。

そして残った6名も、残り11.3㎞地点でプロトンに吸収。大集団スプリント決戦へと突き進む。

UAEの選手を先頭に残り860mの直角右カーブを通過。集団が一気に縦に長く伸び、ボーラ・ハンスグローエのダニー・ファンポッペル&サム・ベネットもここで随分と番手を落としてしまった。

ただ、残り680mでアッカーマンの前にはフアン・モラノただ一人。前日同様、あまりにも早すぎる「最終発射台」体制であった。

案の定、モラノは残り300mで力尽き、そこからスプリントではさすがにアッカーマンも分が悪い。その背後には今日はしっかりとアルペシン・ドゥクーニンクのアシストが付けていたが、その2つ後ろに控えたティム・メルリールはチェーンが外れた? 一気に失速し、この日もチャンスを失ってしまった。

そしてその「残り250m」の段階で、左から猛烈な勢いで上がってくるのが・・・この日もダニー・ファンポッペルだった。得意の、隊列の中を縦横無尽に駆け抜けて、誰もいない空間を猛スピードで突き進むその最強の運び屋パワーにてサム・ベネットを引き連れ、残り200mの完璧なタイミングでそれを解き放った。

マッス・ピーダスンもこのベネットの番手にしっかりとついてチャンスを狙っていたが、完璧なタイミングでの発射とベネットの息を吹き返した――UAEツアーでは、この完璧なお膳立てにも関わらず彼は最後に失速した――ベネットの強烈なスプリントで、結局この日も届かずに2位に終わってしまった。

サム・ベネット2連勝。ファンポッペルの素晴らしいリードアウトの賜物でもあるが、クイックステップ退団の呪いも跳ね除け、復活を宣言するかのような鮮烈なる連勝を掴み取った。

年齢表記はすべて2022/12/31時点のものとなります。


これにてオランダ3連戦は終了。移動日を1日挟んで、第4ステージからはいよいよスペイン本土へ。

そしていきなり訪れるのが山岳の国バスク。中級山岳カテゴリの第4ステージはラストに登坂距離800m・平均勾配10%という純粋パンチャー向けフィニッシュが待っており、ここからが本当のブエルタ・ア・エスパーニャの始まりとなるだろう。


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