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2021シーズン最強「スプリンター」ランキング

2021シーズンの「全1クラス以上のレース」のTOP10に独自のルールでポイントを付与。その結果出された、今シーズン最も実績を出した「最強スプリンター」を発表していきます。

スプリンターに絞ったランキングというのは個人的にも最も出してみたいものだったので興味深い結果となった。どうしてもその年のコンディションや怪我の状況も関わるため、真の意味での「最強」というのとはまた違うかもしれないが、今年実際に最も実績を出したスプリンターというところで、ぜひ確認していこう。

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20位~11位(名前のみ)

スプリンターランキング20位~11位

ネオプロでありながらいきなりの2勝&ブエルタ・ア・エスパーニャ区間2位のメーウス、今年キャリア最終年ながら2勝したグライペルなどもランクイン。

一方、本来ならば世界最高峰の実力を持っているであろうヴィヴィアーニ 、ユアン、アッカーマン、ベネット、デマールなどは、落車や怪我、思わぬ不調などでTOP10入りを逃す。

この結果、以下に示すTOP10メンバーが非常に意外な顔ぶれに。2018年頃からスプリンター戦国時代と呼ぶべき大混戦が続いていることを如実に表す結果となった。

何しろ今年は年間最多勝ランキングでピュアスプリンターが登場するのが4番目という異常事態。そんな混沌の2021シーズン、「最強のスプリンター」となったのは誰だ?


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2015年ブエルタ・ア・エスパーニャで22歳ながらグランツール初勝利を記録。その後、躍進を期待していたが・・・スカイ、ユンボ、ワンティと2年ごとにチームを転々。常に上位には入り込むだけの実力を持ちながら、なかなか大きな勝利に恵まれずにいた。

それでも今年はかなり頑張った。2014年以来7年ぶりの出場となったツール・ド・フランスでは5位と6位。その他、ステージレース、ワンデーレース共に、1クラスやプロシリーズ中心ではあるが上位を絶えず獲得していった。

結果、キャリアで最大の実績を誇ったシーズンとなった。そして来年からはボーラ・ハンスグローエへ。

今度はエースというよりも、チームに出戻りしたサム・ベネットやジョルディ・メーウスらのアシストに徹することになるかもしれないが、クラシックもいけるその脚質は意外なところで活躍のチャンスを得られるかも。


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ある意味今年一番の驚きかもしれない。

昨年の8月、ツール・ド・ポローニュの初日ステージでコース脇のフェンスに追いやられ大クラッシュ。命の危機すらあった事故の結果、1本を残したすべての歯を失い、顔面は130針縫う事態に。

今年の4月のツアー・オブ・ターキーで復帰を果たしたが、走れているだけでも奇跡のようなものであり、今季はTOP10入りすら期待してはいけないだろうと思っていた。

だが、蓋を開けてみれば、キャリア最大級の成績を叩き出すシーズンに。ブエルタ・ア・エスパーニャではライバルたちが早めにリタイアしたことなども含め高いチーム力の下、敵なしの状態に。ステージ3勝とステージ2位が2回、そしてポイント賞を獲得した。

それだけじゃなく、シーズン合計7勝。上記表を見ても分かる通り、TOP10に入れるときは常に2位以上という成績は、最高に絶好調であることを証明している。

どうしても7月まではコンディションを整えるために時間がかかったこともあり、シーズン全体の成績でいえばこの位置にはなったものの、本来の実力で言えば、今シーズン最強格だったと言ってもおかしくはない。

来年はまだカヴェンディッシュが残っている可能性はあるが、来年のツール・ド・フランスのエースの座は、この新世代の「復活の男」にもたらされたとしても何も不思議ではない。


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この男がこの位置にいることは意外かもしれない。実際、今シーズンは1勝もしていない。しかし上記表を見て分かるように、ツール・ド・フランス含め常に上位に入り続けポイントを重ねてきたことは事実で、今年の彼はたしかに強かった。

トレーニーを経て2011年からFDJでプロデビュー。2014年のジロ・デ・イタリアで3勝するなど活躍するも、同じフランス人のライバル、アルノー・デマールとの争いに敗れコフィディスに。そこでもエースとしてツール・ド・フランスを走り続けるが、暴力事件で開幕前にリタイアしたりチームマネージャーとの不仲もあり、昨年からは現アルケア・サムシックに。そこからまた調子が回復傾向にあり、昨年はシーズン4勝を挙げていた。

今年も斜行問題で批判が集まり、一時は人種差別的な批判も受けて騒動に発展するなど、悪い意味でも注目の集まりがちなこの人物。不名誉は結果で挽回するしかない。そして念願のツール・ド・フランスでの勝利で、自身を守ってくれるチームに恩返しができるか。


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彼もまた、決して調子の良い選手とは言えない。2017年のジロ・デ・イタリア区間4勝とマリア・チクラミーノの獲得がピークで、その後は怪我などにも苦しみながら思うように成果を挙げられず、今年もジロ・デ・イタリアの最初のスプリントステージとなる第2ステージで、チームメートのフアン・モラノとの連携がうまくいかず、フェンス際に追いやられ失速する場面などもあった。

が、そのジロ・デ・イタリアでも、その他のワールドツアーレースでも、確実に上位には入り込み続けている。ゆえに、決して調子が悪いわけではなかったのだ。そういった事実が、このランキングからは読み取れる。

あとは、とにかく彼本来の調子まで戻せれば・・・昨年のマキリミリアーノ・リケーゼとフアン・モラノのリードアウトは完璧であとはガビリア自身の力次第だったのだが、リケーゼは来年も残るのか今のところ不透明なのと、モラノが段々と独立したエースとして確立されつつあること、そもそもチームにアッカーマンやホッジが入ってくることなど、不安は尽きない。


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初出場となるジロ・デ・イタリアで初日スプリントステージを制し、同じく初出場となるツール・ド・フランスでの初日スプリントステージを達するという、驚異的な走りを見せたメルリール。マチュー・ファンデルプールと並び、このチームがプロチームの皮を被った実質的なワールドツアーチームであることを象徴する人物だ。ファンデルプールも彼も、ワールドツアーチーム所属経験はないけれども。

ただ、実力で言えば確かに世界トップスプリンターと肩を並べるほどのものがありながらも、ジロもツールも早々にリタイアしており、その他の勝っているレースも割合1クラスやプロシリーズが多い。ゆえにポイント的にはそこまで伸びず、派手さの割には6位という順位で終わっている。

ジロはツールに備えてという意味で分かるが、ツール・ド・フランスでの早期リタイアはなかなか勿体ない。これが、ある意味ジャスパー・フィリプセンとの差なのか?

来年はさらなる活躍に期待。


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