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ティレーノ~アドリアティコ2021 第7ステージ

イタリアの西海岸(ティレニア海)と東海岸(アドリア海)とを結ぶ、「2つの海を結ぶレース」。

2021年版の最終ステージは毎年最終日恒例の10km短距離超平坦個人タイムトライアル。

世界王者フィリッポ・ガンナがTT9連覇を遂げることができるのか。そして総合表彰台の行方は?

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北のクラシックスペシャリストのセバスティアン・ラングフェルト、元オセアニア大陸TT王者マイケル・ヘップバーン、そしてロンド・ファン・フラーンデレン覇者のアルベルト・ベッティオルなどが好成績を残す中、やはり圧倒的なトップタイムを記録したのが欧州王者シュテファン・キュング。

その時点での暫定1位ベッティオルの記録を12秒以上上回った稀代のTTスペシャリストではあるが、その数分後にはすぐさま世界王者フィリッポ・ガンナの出走が待ち構えていた。

昨年のイタリア国内選手権以来、出場した個人タイムトライアルでは常に連勝し続け、積み上げてきたその連勝記録は8。昨年の同じ最終日TTでも圧勝しており、今回も彼以外に勝利者はいないだろうとほとんどの人が考えていた。

中間計測はキュングから4秒遅れの暫定2位。それでも、最終的にはガンナが上回ることになるだろうと疑っていなかった人も多いはずだ。

確かに、後半の走りはキュングとほとんど遜色なかった。それでも、最終的にはキュングから遅れること5秒。まさかの世界王者の敗北だった。


もちろん、キュングが素晴らしい走りを見せたのは確かだった。しかし、ほとんど変化のないであろう昨年のコースで見せたガンナ自身の記録から、自足でいえば2㎞、タイム差でいえば30秒以上も自身の記録と比べても遅い走りを見せてしまった彼は、ここまで快調に飛ばしてきたシーズンの中で、少し疲れを見せ始めてしまっているのかもしれない。


ただいずれにせよ、ガンナを打ち破ったキュングの走りが完璧であったことは間違いなかった。

その後も、デンマーク王者のカスパー・アスグリーン、ミハウ・クフィアトコフスキ、昨年の最終日TTで区間4位だったゲラント・トーマスなど、実力者たちが次々と挑むもののキュングの記録にもガンナの記録にも届く者はいない。唯一、トラック中距離世界王者のバンジャマン・トマが、キュングから10秒遅れ、ガンナからは5秒遅れの暫定3位という素晴らしい記録を叩き出したものの、そこまでで終わる結果となった。

そしていよいよ、総合上位勢の出番に。

タイムトライアルにおいて好成績が期待できるのが総合7位のジョアン・アルメイダ。中間計測でもキュングから遅れること5秒の暫定4位と素晴らしい走りを見せるが、最終的には18秒遅れの暫定5位。優勝には届かなかったが総合勢の中ではトップレベルのTT能力を発揮し、総合6位にジャンプアップした。

さらに、昨年の世界選手権でガンナに次ぐ2位を記録した総合2位ワウト・ファンアールト。ガンナが沈んでしまった今回において、キュングの記録を塗り替える可能性があるとしたらもはやこの男しかいなかった。


そして、彼はその期待に見事応える走りを披露してくれた。

中間計測ではキュングの記録を1秒上回ったファンアールト。

そのまま後半においても失速するどころかむしろペースを上げていき、最終的にはキュングの記録を6秒も更新する圧倒的な走り。

第1ステージの集団スプリント勝利に続き、今大会2勝目。しかし、集団スプリントでカレブ・ユアンを倒し、TTで世界王者や欧州王者を下し、総合争いにおいてもエガン・ベルナルやミケル・ランダを打ち倒すという、本当に信じられない男である。

それでも、その多才さにはさすがに敵わないながらも、この男もやはり規格外であった。

山岳ではとくに今年誰よりも安定した強さを誇り、TTにおいてもやはり総合勢では圧倒的な走りを披露したのが、この22歳のタデイ・ポガチャルだった。

ガンナからわずか1秒遅れ。区間4位でフィニッシュし、一切の不安要素なしにその総合リーダージャージを護り切った。

第7ステージ

最終総合リザルト

UAEツアーに続く、今年2つ目の総合優勝。

その安定感はエガン・ベルナルもプリモシュ・ログリッチも上回る。あるとすればそのチーム力といったくらいで、今年もまた、ツール・ド・フランス王者の座は彼の手に渡るというのだろうか。


そんな中、新たな可能性を感じさせる走りを見せたのがボーラ・ハンスグローエのマッテオ・ファッブロ。

昨年のティレーノ~アドリアティコ、そしてジロ・デ・イタリアでも強い走りを見せていた彼が、着実にその戦績を伸ばし続けている。


今年のジロではさらなる進化した姿を見ることができるかも?

今後よりいっそう、注目していくべき選手だ。

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