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クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2022 第8ステージ

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5年前のドーフィネ最終ステージでも使われ、大逆転劇を繰り広げた超級プラトー・ド・ソレゾン(登坂距離11.3㎞、平均勾配9.2%)山頂フィニッシュ。前日に圧倒的な強さを見せつけ、直接のライバルとは1分23秒差をつけているプリモシュ・ログリッチだが、最後の最後まで何が起こるか分からない、そんなステージが用意された。


最初の逃げは15名。

エディ・ダンバー(イネオス・グレナディアーズ)
ローレンス・デプルス(イネオス・グレナディアーズ)
マッテオ・ファッブロ(ボーラ・ハンスグローエ)
ゴルカ・イサギレ(モビスター・チーム)
ブルーノ・アルミライル(グルパマFDJ)
マイケル・ストーラー(グルパマFDJ)
ジョージ・ベネット(UAEチーム・エミレーツ)
アントニオ・ティベッリ(トレック・セガフレード)
ケニー・エリッソンド(トレック・セガフレード)
アントワン・トールク(トレック・セガフレード)
シモン・ゲシュケ(コフィディス)
アレクシー・ヴィエルモ(トタルエナジーズ)
ヤン・ヒルト(アンテルマルシェ・ワンティゴベールマテリオ)
フランク・ボナムール(B&Bホテルス・KTM)
ピエール・ロラン(B&Bホテルス・KTM)

残り38.3㎞地点に用意された1級コロンビエ―ル峠(登坂距離11.8㎞、平均勾配5.8%)の登りの途中で先頭は6名(ダンバー、アルミライル、ストーラー、ベネット、エリッソンド、ボナムール)に。

アルミライルがチームメートのために全力牽引したのちに脱落し、さらに一旦は遅れたヒルトとデプルスが合流し先頭は7名に。

そのまま山頂を通過。メイン集団とのタイム差は1分半まで縮まっていた。


そして残り11.2㎞で先頭が最後の登りに突入。ダンバーのために牽引していたデプルスが脱落し、先頭は6名に。

1分遅れで同じく最後の登りに突入したメイン集団からは、先頭を牽いていたワウト・ファンアールトが仕事を終えて脱落。そしてステファン・クライスヴァイクが、ログリッチとヴィンゲゴーを引き連れて先頭に立ち、一気にペースを上げ始めた。

この勢いでこのメイン集団から総合8位のマッテオ・ヨルゲンソン(モビスター・チーム)が脱落。

さらに残り8.5㎞で総合6位のダヴィド・ゴデュ(グルパマFDJ)、残り8.2㎞でブランドン・マクナルティ(UAEチーム・エミレーツ)と新人賞首位かつ総合7位トビアスハラン・ヨハンネセン(Uno-Xプロサイクリング)、残り7.4㎞で総合4位テイオ・ゲイガンハート(イネオス・グレナディアーズ)、総合5位ダミアーノ・カルーゾ(バーレーン・ヴィクトリアス)が次々と脱落。

残り6㎞を残してすべての逃げ集団を捕まえ、先頭集団となったクライスヴァイク率いるメイン集団には、もうログリッチと総合2位ヨナス・ヴィンゲゴー、総合3位ベン・オコーナー(AG2Rシトロエン・チーム)、総合9位ジャック・ヘイグ(バーレーン・ヴィクトリアス)、総合12位エステバン・チャベス(EFエデュケーション・イージーポスト)の計6名しかいなくなってしまった。

そして残り5.7㎞。クライスヴァイクがさらに腰を上げて一気にペースアップ。涼しい顔をしてついていくログリッチとヴィンゲゴーに対し、ヘイグ、チャベスは一瞬で突き放され、唯一残ったライバルは総合3位のオコーナーだけ。

そのオコーナーも連続するクライスヴァイクの加速に耐えきれず、ついに残り5.4㎞で脱落してしまった。

ここでクライスヴァイクも仕事終了。ヨナス・ヴィンゲゴーとプリモシュ・ログリッチは、5㎞も残した中で勝利に向けてのタンデムを開始した。もう彼らにとってこのドーフィネでの総合成績は眼中になく、ただひたすら、ツール・ド・フランス本戦だけを見据えているようであった。


そして最後は今年3回目となるユンボ・ヴィズマの「手をつなぎながらのフィニッシュ」。パリ~ニースのときにクリストフ・ラポルトを譲ったように、この日もログリッチは功労者ヴィンゲゴーに勝利を譲り、自らの圧勝に華を添えた。

2年前はこのドーフィネで同じく圧倒するも落車もあり途中リタイア。ツール本戦では問題なく強さを発揮したが、最後の最後でまさかの逆転劇を味わった。

昨年はリスク回避のためにドーフィネには出場せず、高地トレーニングからそのままツールに乗り込む。その実戦不足が影響したのか、ツール本戦序盤で不用意な単独落車を起こし、その影響で1週目にして悔しいリタイアを味わった。

今年はどうか。パリ~ニース、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネと、トラウマを払拭するような勝利を重ねながら、いよいよツール本戦へと向かっていく。

今年こそは、万全のログリッチと万全のポガチャルという、今世界で最も強いオールラウンダー同士の対決をこの目で見てみたい。

何度悔しい思いをしても、諦めず立ち上がり栄光を積み重ねてきた、誰よりも不屈の男プリモシュ・ログリッチ

その思いは今度こそツールの栄光を掴み取れるか。


もちろん、彼にとっての本当のライバルはこの場所にはいない。

ツール・ド・スイスで走るアダム・イェーツやブランドン・マクナルティ、そしてツアー・オブ・スロベニアで準備を進めるタデイ・ポガチャルなどが、このあとの各レースでどう立ち回り、そしてツールへと向かってくるか。

各レースの行方からも、目を離すことはできないだろう。

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