もう過去を振り返ることはないということ 「OYAMADA SOHEI LIVE 2018 2019」LIVE DVD

先日留学先の台湾から帰国した。
隔離は2週間なのでとりあえず暇だし
久々日本のテレビを少し見るか、と録画しておいてもらった相席食堂を一本見る。

話術とニュアンスで笑いを取るのは日本のお笑いの最も長けているところだと思っている。
千鳥の笑いがめちゃくちゃ好きだし、関西に生まれて良かったと思う。

とりあえず一つ見終えて、やっぱりバラエティは疲れる。音楽を聴こう。
小山田壮平ライブツアーのDVDを日本で購入し、まだ見れていなかったので見る。

私が実際に足を運んだのは小山田壮平バンドのライブ、場所はなんばHatch。
こちらはDisc2の方に収録されているため、そちらを先に鑑賞。

オープニングは新木場コーストの映像、
そりゃ東京のライブハウスの方が見栄えは良いよな。
andymoriのライブDVDの多くは新木場コーストの映像だったんじゃないだろうか。

本編はほぼ、なんばHatchのライブ映像だった。

バンドメンバーはthe gateballersからギター濱野夏椰、ドラム久富奈良
二人ともなんて素敵な名前なんだろう。口に出して呟きたくなるよ。

ベースはALの藤原寛、安定の私たちの寛藤原
ボーカル小山田壮平。

andymoriも小山田壮平ソロもALも見てきて、ここに来て初めての新しいバンド編成
どんな感じか?と始まるまでイメージ出来なかった。

まぁ、見てみたら想像を超える完成度で素晴らしかった。
それと、やっぱりandymoriの時と比べるのは悪いのだけれど壮平くんはソロになってからすごく歌声が通る様になった。

この日のなんばハッチは特にボーカルが素晴らしく、少しピッチがずれても直ぐに持ち直せる
その歌声の機微の何とも言えない心地よさが、ライブを通して響いてきた。

印象に残るものといえば…「雨の散歩道」のイントロのギターフレーズ、哀愁のある音色
それからオクターブ上がるサビの
「ときに獣の様になって 曝け出す」という言葉の強さ。

危うい少年の様(さま)から色気を伴う様にどきっとする。
小山田壮平の書く詩とメロディーの
一心同体加減をずっとずっと愛している。

「Kapachino」は披露された時からずっとファンの中で愛されている気がする。

この曲も強い意志を持った曲で、小山田壮平の作る曲の中でも特別な音楽の力を持った曲の部類に入ると思う。

「僕は君を呼ぶ 頼りないその肩を 泣けてくるその熱を 追いかけていく」

メロディとフレーズによって頭の中に抽象的な絵が描かれていく、脳内にオレンジ色のイメージが浮かび上がってくる。
「霧の中を 闇の中を」

ライブ中は歌っている小山田壮平を見てよく思う。
私たちは壮平を見ている様で、小山田壮平が見ている景色を見ているのだと思う。

同じ瞳で同じ景色を見たいという、その叶わない願いを
ライブでは数々のステージで叶えてくれた。
だからこそ私はずっと彼のライブに惹かれてきたのだと思う。
(これは初めてライブを見た時から、ずっと感じてきたこと。) 

「空は藍色」、今まで幾度となくライブでは聞いてきたけれど、その度に曲が持つ哀しみの容量が溢れてしまう。

文字通り溢れて泣けてくることがたくさんある。(やっぱりバンドの解散の時の記憶が強いのだろうと思う。)

この曲を聞くたびに私は過去に執着し過ぎているのだと思う。

小山田壮平が2018年にTwitterで呟いていた、"自分が歩んできた道のりを自分で認めてあげることでしか前に進めない"という言葉は私の胸に突き刺さった。

輝かしい思い出はそのまま美しいものとして置いていこう。
悲しい記憶は傷ついたという事実を認められたということだ。

この日「空は藍色」を聞いて涙は出なかった。
晴々として吹っ切れた気持ちになったのは、小山田壮平 彼自身も色々なものに「さよなら」をしてきたからなんじゃないか
そう思えた。

ライブは持ち曲が少ないということで、実感としては1時間半くらいで終わってしまった。
だけれどとても充実した内容だった。

新たなバンド編成によって、小山田壮平の音楽のイメージがより、広がりを持つものになっていた。

何よりメンバー感に流れる穏やかで、かつ新鮮な空気が心地よかった。

それからやっぱり避けて通れないのは藤原寛ですよ。

彼の存在にずっと救われるし、壮平の隣にこれからもずっと居て欲しいと心から願ってしまう。

彼に人一倍、いや、やっぱり人並みに幸せになってほしいと「ゆうちゃん」のコーラスを聞いて、そんなお節介なことを考えてしまった。

16〜17くらいの年齢からずっと彼らを追いかけて来ている、お互いに年齢を重ねているはずなのに何も変わっていないような気でいる。

しかし、周りの環境や世界はこの10年で大きく変わってしまった様な気がする。

変わらない事を良しとする傾向は、もう今はほとんど無いのかもしれないね。

これからは変わっていく事を楽しまないと、世界への向き合い方も
旅をする様にのらりくらりと応じて行かなきゃいけないね。

小山田壮平は最新アルバムでこのライブで披露された曲もようやく音源化されましたね。

私が音源化を願っていた「ローヌの岸辺も」収録されています。

お家でKapachinoを、ベロベロックンローラーを、スランプは底無しを、夕暮れのハイを
たくさん聞いてまたライブでお会いしましょう。

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