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企画のスタート17

 1987年1月3日、ボクは何かを求めるように吉祥寺へ。そこで偶然に会ったのは当時の少年ジャンプ編集・堀江信彦さんでした。お正月ですし、普段なら帰省しててもおかしくないボクと、確か国分寺方面にお住まいで3が日に吉祥寺に来る必要のない堀江さんがなぜか本屋でバッタリ。12月に状況説明やら企画提出やらで何度も編集部でお目にかかってたその人が、目の前にいるのに一瞬ボクはたじろぎます。
 「どうしたのよ、こんなトコで。あれ?諏訪くんって吉祥寺だった?」「いやボクは仙川ですが。(約束のシナリオや絵コンテを)明後日提出なので、少しでも何かないかと思って」「まあ、立ち話もなんだから、ちょっとお茶でもいこうか」
 後で思えばマジ天啓みたいなものです。でも想像だにしていなくあまりに偶然で、逆にココで一足早くダメ出しをされるのも…、とちょっと複雑ではありました。堀江さんに誘われて確か2階にあった大きな喫茶店で、今となれば録音しておけばよかった2時間を過ごします。
 堀江さんはのっけから「あの企画書もさあ、ちょっと肩にチカラ入りすぎてるんだよね。今シティーハンターの何が一番受けてるかわかってる?モッコリだよ、獠ちゃんのギャグだよギャグ」「なに焦ってるのかなあ、もっとノビノビやってかなきゃ」
 原作を読むと第1巻はすごくハードボイルド!北条司先生も初めはそうスタートさせたのです。でも先生が連載しながらの試行錯誤の末に今のモッコリ冴羽獠というキャラクターに育てた。ヘタしたら3枚目の面積が多いような2枚目が世間から支持されてる。編集担当堀江さんも含めたそんな苦労の末にそれがあるのなら、同じ苦労をせずそれを上手に使ってそこから始めたらいい。
 そう言われても今準備してるものは設定も含めて第1巻など初期原作を使用してます。でもそれはそれで置いといて、喫茶店を出たその瞬間から、ボクのアタマを占めるのはピンホールショットの冴羽獠ではなく、美女に目がないあのモッコリ獠ちゃん、になったのでした。
 写真はその頃よく使ってた四谷駅から市ヶ谷方面。思った以上に深い堀の底に総武線が走っています🚞

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