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企画のスタート64

 TVアニメ「YAWARA!」の話です。ここまで書いて読んでいただいてるみなさま、どうみても企画作業が順風満帆に進んでいるようにみえますが、もちろん?そんな事はありません。基本的に1989年4月放送開始を想定して動いてたのですが、年末に向かいここへきてやはりアニメ映像化に反対、の意見が出てきたのです。
 「YAWARA!」のポイントは主人公・猪熊柔がごく普通の女子高生でありながら、柔道だけは飛び抜けて強いところです。そしてその柔道シーンは非常にリアルに描かれており、マンガなんですがいわゆるマンガみたいに人が飛んだりしない。投げられた人間がぶつかって道場のカベのはめ板をバリッと壊したりはしない、そーゆーリアル的設定なのです。
 アニメよりずっと早く動いていた、1989年4月に公開されることになる実写映画版「YAWARA!」は少し様子が違ってました。実写の面白さを追求するがゆえに、原作が目指してたラインを少し逸脱してたようなのです。そしてボクも誘っていただいたその映画の試写会を観た後、事件は起きました。ちなみにこの試写会でボクは初めて浦沢直樹先生に会います。その浦沢さんと小学館の担当編集者・奥山豊彦さん、当時のビッグコミックスピリッツ編集長白井勝也さんらそうそうたるメンバーが、試写会後に打ち上げ的な有楽町のお店に集まったのでした。
 そこで「この作品は原作の意図を守って作るのは非常に難しい。やっぱり映像化は作品のためにも許可しない方が良いのではないか」こんな意見が出てきたのです。ボクは「アニメは当然原作を遵守して作るのだからそんな心配はない。監督のときたひろこさんの意向も確認してるし、原作が向いている方向を少しでも外すなんてことはあり得ない」と反論。これに近い論争はこの後も続くのですが、実は想定していた放送枠の事情もあり、とにかくアニメ「YAWARA!」の放送スタートは1989年10月想定に延びて、いろんなことをまたイチから組み直していかなければならなくなったのです。でもこの事は結果的にはスタートして3年続くことになる礎とはなるのですが。
 写真はそんな「YAWARA!」の原作本です。

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