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中宮寺の菩薩半跏像

 53年前の小学校の修学旅行で訪れた法隆寺の話を少し前に書きましたが、その頃のボクはにわかな歴史好きとなっていました。修学旅行のためのお勉強、といったところがスタートだったかもしれませんが、お寺やお城に強く興味を持ち始めてたのです。で、その当時すごく読んでた本が「カラーブックス」(保育社)シリーズ。
 ちょっと丈夫なビニール系のカバーがついてた文庫本サイズの写真本。日本のお寺や仏像、お城など、テーマに合わせて全部カラー写真で見せて解説してくれてました。教科書に載ってる歴史の写真をカラーブックスで確認して、その先の解説や新たな写真を見たりするのが大好きになってたのね、ちょっとエラい。
 そしてその頃からカラーブックスの表紙にもなってた、仏像で弥勒菩薩といえばこのお方、というのが「中宮寺の弥勒菩薩」と思ってました。それは実は「菩薩半跏像」というそうで、中宮寺のHPには『半跏思惟のこの像は、飛鳥時代の最高傑作のひとつであると同時に、わが国美術史上、欠かすことの出来ない存在』とあります。冒頭の写真も中宮寺の公式HPより。
 というわけで先日の法隆寺訪問の際その夢殿のすぐ隣りに中宮寺はありまして、そのお方にお目にかかることができました。『本堂に安置されている菩薩半跏像(国宝)は飛鳥時代後期の作。右足を組み、右手の指を頬に触れようとする半跏思惟の美しい姿に、気品のある微笑みを浮かべている』。まさに池の中に浮かんでいるような立派なお堂にあがり込み、菩薩様の前で正座して手を合わせて参りました。
 それにしても実は53年前の修学旅行でお目にかかった記憶がないのです。カラーブックスなどであんなに恋焦がれていたのに、行動スケジュールに入っていなかったのか。そもそも池に浮かぶお堂もコンクリート作りで新しい感じもあり、53年前はは拝観そのものが無理だったのかも。それがこの度ついにその容姿にその微笑みに触れる事ができたのです。53年かかった?想いの成就に対する微笑みには、感謝の気持ちしか起きませんでした。

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