大川さんが全部書く
1995年になって番組放送が2クール目に入った、月曜19時30分TVアニメ「魔法騎士レイアース」。この年の3月は26年経った今も報道されてる”オウム真理教“が、「地下鉄サリン」など多くの社会的事件を起こしてた時期です。オウムがらみの報道は何をしても世間の関心を呼び、視聴率も高く取れる、そんな社会風潮となっていました。それからしばらくしてボクもその荒波にのまれてしまうのですが、それはまたここで。そんなご時世の中で「魔法騎士レイアース」はその面白さを維持発展させるために1994年放送スタートから、いろんな試行錯誤して、番組なりの出来事が重なっていった時期でもありました。
まずはシナリオ制作のお話です。原作進行と100%合わせないまでも、原作の持つ根っこの部分を大切にしたい、そんな想いはシリーズ初めの頃からあった事。この作品で何を描いていきたいのか、この日記でも何度か書いてきましたが、言ってみればある種哲学的な要素が強くある作品です。それは実際にレイアースを創作されてきた原作者CLAMP、そのストーリーを一手に担当している大川七瀬さんがまず持っているモノです。その世界観の中で半年間活躍していただいた、シリーズ構成のまるおけいこさんと中村修さんのシナリオ作業は終了。それ以降すべてのシナリオ進行を大川さんがひとりで引き受けていく事になったのです。
これ以上の作品にするためにも大川さんが「私が全部書きます」。本当にとんでもない事をおっしゃるな、と思いました。でも、連載も含めてすべてご自分の世界観の中での物語進行があると言うご意見は、生半可な覚悟ではない事はこちらにもしっかりと感じ取れました。その後の進行の不安もありながら、その作業を近い立場で見せてもらえるボクらはラッキーかも、そんな感想まで持ってしまったほど。
実際に第19話〜49話まで大川さんはひとりでシナリオを書きあげる事になります。そしてそれは「なかよし」連載漫画といくつも異なるオリジナル的要素の多い展開となっていくのです。両方同時に進行できていく様はまさに神業でしたね。しかし時間的問題はジワジワやってきます。そしてそこを解決するためにも、この作品制作志半ばで東京ムービー新社を辞する岩田幹宏プロデューサーに代わって、次なる男がやってくる事になるのです。写真は番組テレホンカードです。
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