企画のスタート70

　ということで、TVアニメシリーズに過去例がないと思われる実写映像EDに挑戦した「シティーハンター2」のお話の続き。もう晩秋の1988年11月後半、丸一日かかって西新宿周辺に撮影隊は繰り出します。写真は昨日お見せした89話のラストシーンに続く実写映像、TVをご覧のみなさんにはこの風景が最初に目に入ることになったのでした。
　さて見ていただいたみなさんはどんな映像を記憶に留めていてくれるでしょうか？歌詞にある“古いレンガの街並み“とか“枯れ葉舞う北風”とか”冬の日ざしをうける公園“とか、かなり意識して撮影してもらいました。その中にはまだこの時代には建っていない東京都庁の建設現場も映ってたりします。実写に重ねた冴羽獠と香のスナップっぽい2ショットも、それぞれの画像にフィットする様に描いてもらったんですよ。　
　そして夜の高速道路、車のヘッドライトが婉曲して走るシーンがあるのですが、あれはなんと東京は世田谷区砧公園の横。そうです、東名高速道路にかかる橋の上から(夜景の名所？)撮影したのです。これは車の走る映像が欲しかったので、ボクが無理を言いました。ラストの夜景パンアップを迎える時間経過映像として、動きも良かったんじゃないかと思っています。
　ラストの夜景は中野坂上の民間のマンションベランダから撮影させていただきました。ここから高層ビル街を見たらすごいな、と思ってたマンションにロケハン時に訪ね、「シティーハンター」タイトルの後押しもあって快くご了承をいただきました。ロケハン時は昼だったので、撮影時の夜景の美しさに改めて息をのんでの撮影でした。他にもロケ依頼があると言うこのマンション、今でも横を通るとその時を思い出します。
　さてその楽曲TM NETWORK「STILL LOVE HER(失われた風景)」、実は曲尺がかなり長いのです。アルバムから選んだのでアニメ放送用のサイズなんてない。どうしようか考えたあげく、イントロというより歌詞先行で実行します。宇都宮隆さんの歌い出しヴォーカルもEDにつながるイントロ、というカタチにしました。でもかえって歌の印象が強く深くなったと思います。ただ本編から入れるわけにはいかず、ボクの担当作品としては珍しく歌詞スーパーが入ってないEDとなったのです。