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企画のスタート62

 1988年秋、「YAWARA!」TVシリーズ始動時の話です。「シティーハンター」の時からお世話になってる脚本家のひとりに井上敏樹さんがいます。同学年の彼の父親は有名なというより伝説的な脚本家。やはりいろいろ葛藤もあったという話も本人から何度か聞いてましたが、その反動?なのか、シティーの時にも一種切り口が違う系のユニークな物語を提供してくれてました。手書きの原稿文字もあまりに個性的なんですが、その発言もちょっと異質。うーんこれを傍若無人とでも表現して良いのかな?会話しててとでも面白い人物でもあるのですが。
 一般的に原作がしっかりしてるのは基本的にそのままアニメ化することをファンも望むし、我々制作スタッフも原作が面白いからアニメにしたいんであって、そこを否定するつもりはさらさらありません。ただ原作の時系列の中でこの隙間に何か起きてたら面白いんじゃないか、とか、原作ラインを外さない限りこのキャラクターにはこんな反応をさせたらどうか、とか、原作にないエリアを攻めるのはいつも考えてることなんです。
 なので「YAWARA!」のような大河ストーリー作品をアニメにすることで、どうやってアニメなりのプラスαを出していけるか、ボクはそこに期待しての井上敏樹さん推薦でした。そして制作会社のマッドハウスさんが、というより虫プロ時代からこの業界を知り尽くす丸山正雄さん(=まるさん)がそこを気に入るかどうか、そこがひとつの天王山。初めて顔を揃えての打ち合わせの時は、正直言って井上さんの言動(簡単に言うと彼の傍若無人系が気にさわるかどうか)に気を配ってたコトは覚えています。
 しかしまるさんは意見や自分を飾らない井上さんのことを妙に気に入ったようで(事実、それからずっと仕事してる)、とにかくシリーズ構成として、「YAWARA!」を10話くらいまで組み立ててくるように指示。その後ボクと鈴木聡さんとその井上さんは、小学館奥山さんも入れて何度も(夜の)打ち合わせをすることになるのです。しかしこの年末、とある全国的な出来事がボクらをおそいます。
 写真はこの頃もytvで不定期に放送されてた、「アニメだいすき!」のお兄さん的存在の番組「CINEMAだいすき!」デザインのテレホンカードです。

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