メンバーさん日記その1

「だって、ヒカキンすきだからねっ！」

と、デレデレしてサイコーに幸せそうな表情の20代女性のメンバーさん。なにかとこのセリフを言い、そのたびにテンションが上がっている。

作業が休憩になると、1日に1回は職員の前で、YouTuberヒカキンさんのポーズ(胸の前で猫のように両手グー)をしてアピールしてくる。

それはどの職員にもするわけではなく、私に対してやってくる。
私の反応を楽しみにしているようだ。

ある時は、ヒカキンポーズしてくるそのメンバーさんに対して「あれ？リスかな？どんぐりあげるよ」と、どんぐりをあげるフリをすると、「リスじゃな〜い！！」と笑って顔を赤くする。その様子を見て他のメンバーさんも、「ほら。食べて」と、どんぐりをあげに来る。

またある時は、「じゃんけんぽーん！(と、私はパーを出して)お、勝った勝った！」と振ると、「じゃんけんじゃな〜い！！」と来る。

「イェーイ！(私も両手グーで彼女のグーとタッチするフリ)」「原監督じゃな〜い！」ってパターンもある。原監督を意図してた訳ではなかったもんで、そう来る？と驚いたね。20代だよ？

昨日は、「どっちに入ってるか？」と振ってみた。「違う違う！」とふつーに返してきた。
次に、「あ、銅像が立ってるぞ」と振っていると、

「何やってんの」と呆れながら他のメンバーさんたちがやってきて、その女性に向かって拝みだす(地蔵の間違い？)
そこに、普段あまり言葉を発しない自閉症の男性メンバーもやってきて、その女性に向かって笑いながら、なぜか戦いの構えをしている。明らかに遊んでいる。普段絡むことのないその女性と男性は、近づいては離れて、よくわからない状況になっていたが、楽しそうだった。相変わらずギャラリーのメンバーさんは「何やってんだか。おもすろいねぇ」などと言い呆れながら楽しんでいた。

そんなやりとりが私も楽しい。
休憩中でもメンバーさんが作業したものを検査しながら、超忙しい時は(うわっ、来た)とも思ってしまうけども、そのコミュニケーションでお互いに緩んでるのだと思う。
メンバーさんは、作業中にミスして落ち込むことがあっても、大体休憩を挟むとこで緩んでリセット出来ている。えらいよねぇ。

職員にならなければこんな経験は出来なかった。職員にならなくても、こんな楽しいメンバーさんと触れ合える世の中になればいいのにね。
いろんな多様性をお互いにゆる〜く認め合って、誰もが時々アホになりながら、その人らしく生きる社会。いいよねぇ。