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ありがとうの音

グループの無期限活動休止が発表された。
涙に包まれる会場の空気をよそに、わたしはひっそり、実感の湧かないままそのあとの日々を過ごしていた。

発表前と変わらず現場には月1回程度しか行かなかったし、特別にたくさん話す機会を作ることもしなかった。
現場に通い詰めていた期間もあったのに、別れへのカウントダウンを教えてくれたのに、涙ひとつ出ないなんて、自分はなんて薄情なんだろうかと思ったりもした。

ちょこぼを好きになった頃から今の今まで、意識無意識関わらず、彼らのことを想わない日はない。
だってずっと変わらず、いるのが当たり前。
会いに行きたければ行けばよかった。
彼らは変わらずそこにいてくれたから。

そうじゃなかった自分のことをもう何も思い出せない。
だからちょこぼがちょこぼじゃなくなったあとの自分も何も思い描けない。故に悲しい気持ちが湧いてこなかったんだと気づいた。

そうやってようやく、みんなから周回遅れで、行ける現場は行ったほうがいいということに理解が追いついた。


現場に通い詰めていた時とはちがって、今は守るべき自分の暮らしのペースがある。自分としてはものすごいことで、幸せなことだ。
あなたのおかげで、今、こんなに楽しく元気に過ごしているんだよと、これはずっと推しメンに胸を張りたい。

発表されているイベントで行きたいものと行けるものと、たくさん吟味して、取捨選択は難しく、後悔はしたくないけれど、後悔の傷も思い出にする覚悟で、今は顔を上げている。


そんな中で発表されていた沖縄のファンミーティング。
ツアーの中に組み込まれているため、ツアー全体の予定と自分の予算と時間と体力気力、正直行くかめちゃくちゃに迷った。なんせわたしは北海道がだいすきなのである。予定では北海道の次の週が沖縄、福岡と続く。鬼畜スケジュールすぎる。すべてを楽しみ尽くすにはお金も足りないし、休みを取るのも難しい。

悩みに悩んで×100 沖縄を選んだ。
北海道へは今後も旅行に行くだろう(すきだから)という理由である。それくらい南国でのファンミに魅力をこの時点では(←重要)感じていなかった。暑いとこも苦手だし。


普段はひとりでふらっと現場に行ったりするけれど、今回いっしょに行った友だちはもちろんのこと、他にもこの人だったらいっしょに行きたい、同じ時間を過ごしたいと思える人がたくさんいるなと思って、ひとりひとりを思い浮かべてなんだか嬉しかった。
ここまで現場に通い続けられた大きな理由のひとつだと思う。
素敵な出会いをありがとう。アンタに言ってんだよ。


ところでわたしは飛行機がだいすきすぎて、あいつらのことはアトラクションだと思っている。滅多に乗らないので物珍しい気持ちもあり。いっしょに乗る友だちに「死ぬときはいっしょだからね」「海の上で墜落したらこうだって」とベラベラ呪いをかけつつ興奮がおさまらない。

行きは時間帯的に明るく天候にも恵まれて、ちっさい窓からいろいろ見えて(富士山とか)、サイコーだった。
帰りは夜、真っ暗でほとんどなにも見えなくてしょんぼりしたけれどだんだん宝石みたいな光の粒々がわかるくらい見えてきて、ディズニーランドとか東京タワーが見えて、帰ってきたんだ〜と実感してなんだかほっとしたりもした。

飛行機、サイコー。

「ちょこぼ解散したら飛行機のオタクしようかな、でも解散したら遠征もなくて飛行機乗る理由も無くなんね?」などという不謹慎なギャグも言えるようになってきた。元気である。そして、アホである。

移動の時間にワクワクしながら、ちょこぼの曲きいてあれこれ考える時間がとても好きだった。
いつも新幹線や飛行機で移動してきた友だちの苦労やワクワクを少し理解できた気がして嬉しかったし、あらためて尊敬する。当たり前のように現場で会うみんな。それぞれにそれぞれの人生、ライブってやっぱりひとりずつの努力の積み重ねで出来上がる空間なのだ。泣きそう。


さてファンミ本編、書きたいことがありすぎて何も書けない。突然投げられる筆。

とにかく「終わらないでほしい」の連続だった。
楽しかった。


順不同で書くのだけど自分がいちばん驚いてしまった出来事があった。

推しメンのお部屋訪問というイベント、その名の通り推しメンがオタクの部屋をひとつずつ訪問して回る、謎の歓喜イベントである。

普段はこちらが彼らの前に列を成し、ぐるぐる回る面白メリーゴーランドと化す訳だが、この場合だけは推しメンが自らの足でこちらのお部屋に遊びに来るのだ。すごいじゃん。

お部屋を飾り付けたり手紙書いたりお揃いの洋服着たりそうやってワイワイおもてなしするのが本来楽しいイベントのはずなのだが、わたしたちの部屋は誰も何も言い出さず1ミリの飾り付けもせず、ただのんびり過ごし緊張しながら推しメンの訪問を待った。


推しメンがやってきて希望の場所で写真を撮ってくれたあと、流れるようにちょこんとソファに座ったので、わたしも続いてとなりに座った。

「あの、ありがとうございました。ずっと」

これが言いたかった。活動休止が発表されてからずっと。直接、顔をみて。

現場に通うのはもちろん、手紙には散々書いてきたし、こうして文章にしたり絵を描いたりいろんな形で伝えてきたつもりだった。

あなたのおかげで

今わたしこんなに楽しく生きてます!

(心の叫び)

本当にずっとありがとう、それだけは言いたくて、とモゴモゴ喋り続けた。喋るのはすごく苦手で、上手に喋れた自信はないけど、いつも明るくふざけていながらこういうときの推しメンは、優しい顔で話を聞くから
アカン、思い出しただけで泣けてくる。

とにかくありがとうがたくさん伝わっていたらいいなあと思う。

6年間のいろんな気持ちが心の中でざわざわして

今までずっと、ぜんぶありがとう

過去形になるのも悲しかった。
まだ最後じゃないけどと推しメンは笑っていた。

そんなつもりなかったのに、優しい推しメンの顔みていたらどんどん涙が溢れてしまって

「やめないで」と言いかけた
そんな自分にめちゃくちゃ驚いた

「まもなくお時間でーす」の声のおかげで余計なことを言わずに済んだ。爆笑。


活休発表のあと、やめないでほしいなと考えたことは正直一度もなかったのだ。彼らの年齢的にもタイミング的にもちょうど良いのかなあくらいに思っていたし、なにより現場に足繁く通わなくなった自分にはそれを思う、ましてや本人に伝える資格はないと思っていた。

「やめないでほしい」じゃなくて「いなくなるのはいや」だとおもう。おもうよ。ずっといてほしい。
これからもしょうもないことで笑って笑わせて励ましてほしいよ。つまんないときはいつもの顔で苦笑いして嬉しいときは可愛い顔で笑ってほしい。

自分で蓋をしてた気持ちがめちゃくちゃに溢れ出してつらかった。

今思うと、他のお部屋で可愛く歓迎されて盛り上がった狭間で、突然葬式ムードに連れ込まれた推しメンのほうがつらかっただろう。

アイムソーリー、アイラブユー。


天気予報は雨だったけれど雨はほとんど降らなくて、あちこちをバスで観光、素敵なホテルに泊まれて、人生で一度は行ってみたかった水族館や食べてみたかったお料理も、沖縄をたくさん楽しませてもらった。

途中メンバーがペアになってバスガイド(もしくはレク係)をしてくれるタイムがあった。だがしかしbut けどけれどyet ちょっと疲れてうとうとしていたので推しメンの担当時間以外あまり覚えていない。ウケる。話を聞けよ。

れおぱんはまったりやさしいラジオという感じで、こぬたくは普段の2人の会話を盗み聞きしてるような空気感だった。ゆじささは陽のノリでウェイしてた。こたてぃすが質問コーナーをやってて、たぶんてぃすさん(マネ)が好きなアイドル楽曲だかという質問に(曖昧すぎる記憶)「胡桃とダイアローグ」を挙げていて 渋い と思ったことだけを鮮明に覚えている。おかげで最近一生頭に流れてる。世代なので、非常に懐かしい。

ファンミあるある(とは)の水面下で行われる、オタク同士の推しメン取り合い合戦みたいなのがあんまりなかったように思ったのだけど、それは自分が参加しなかった故の不戦敗だったのかもしれない。今後のために随筆しておくが、こういう機会があればグイグイ行く奴の勝ちだからな、みんな、ここメモだよ。

個人的にはそれよりも沖縄の旅をめいっぱい楽しむことが出来た気がして満足している。これは本当にいっしょに行ってくれた友だちのおかげでしかない。食べることも遊ぶことも起きることも眠ることもストレスなく過ごすことが出来たのはみんなのおかげです。ありがとう。本当に何度言っても足りない。


何を書けばいい?
何を残したら何も忘れず思い出せる?

ひとつひとつの出来事をいちいち全部書き記したいくらい、毎瞬間に気持ちが詰まって、色の濃すぎる想い出になった。

でも言葉では言い表せない!だから現場に行って見るんだ!感じるんだ!心に刻むんだ!という自分のオタクマインドを思い出してなんだか初心に帰った。


この期に及んでわたくしこの沖縄のライブが、ラストツアー初参戦だったわけなんですが、毎回ファイナル並みに号泣しとる という噂はみんなからきいたり感じたりしていて、おおこれが噂の号泣ライブか〜とちょっと笑い、ほっこりしました。
バスに戻って添乗員さんが「わたしたちは最後まで見られなかったけど皆さんの涙の跡がぐっときちゃいますね、泣かないでください、、」て言ってくれてて、どこまでも優しいなあなんてまた涙じわり。


今回、お友だちにたくさん会えて、いろんな時間をいっしょに過ごせたこと、それも嬉しかったことの大きなひとつ。ずっといっしょにちょこぼを見てきた子も、大人になるのを見てきた子も(親戚のおばさんムーブ)、画面で気持ちを通じてきた子も、ひさしぶりに会えた子も、いつもとなりにいるひとたちも、今回のファンミには来れなくても思い浮かぶ大切な友だちもいて、ひとりずつとの出会いが運命すぎる。アンタのことだよ。

いっしょのお部屋のみんなには更にそれぞれに、たくさんの時間の積み重ねと共に感謝と想いがあり、心からのありがとう、最後までよろしくお願いします。お互いに。

そしてファンミ用に買ったお洋服を可愛く裾上げしてくれたお母さん、文句も言わず真夜中に駅まで迎えに来てくれた妹、家族には感謝が止まりません。

たくさんの人に支えられて、時に自分も支えてみたりして、今、自分は生きているんだなあって現場に通ってると実感することが多くて
人との関わり方、未来の頑張り方、教えてくれたのはちょこぼだな。わたしがわたしを生きれるんだって教えてくれたのはゆじまるだった。

出会えてほんとうに、よかった。


*ChocoLate Bomb!!