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ロッククライミングについて感じる事

母のコンディションの事でぼーっとしてたのか、大学のレッスン室の重い防音扉で思いっきり左手2の指の第一関節を挟んでしまった。みるみる爪の中が真っ黒になってきたのでレッスン中断、対応してくれる病院を探して電話かけまくった。すぐレントゲン撮ってくれる病院は見つからなかったが、 漸く駒込の病院で「治療は兎も角、レントゲンなら撮れます」と言われ、撮ってみたら第一関節から先の骨が3つに割れてた。 どんどん練習したいし初出しになるはずのハンマークラヴィーアもだんだんコロナ禍でズレ込み、その次の本番もあるのに練習が中断。SNSに怪我の事上げたらすぐマネージメントからすぐに電話かかってきて「怪我の事は書かないでいただきたいのです」と言われ削除した(注:7月後半以降のイベントには影響はありません。予定通り演奏を行います!)。今後の仕事の事を心配してくれてるのかなとその時思ったんだけど、翌朝冷静になった頭で考えてみたら7/17のコンサートのチケットの売れ行きの事を心配してるんだ、と思い当たった。マネージメントとしてはホール様に、売り込んだ以上は集客に全力を挙げないといけない義務があるし、アーティストはお客様に喜んでもらうために全身全霊で演奏する。当たり前のルールなのだが、久しぶりに表現し難い無力感と孤独を味わった。私はSNS上で、怪我をしたが、一刻も早く克服し、今まで以上に命をかけて演奏を続けたい、という情熱のこもったメッセージを伝えたかっただけだ。(と、マネージャー本人にもメッセージを書いたけど暫く返信は無かった。目前のイベント成功の責任があるので、個々のアーティストの個性やポリシーより、直前のイベントを成功させるのが先決なのは立場上仕方が無いので、彼のせいでは無い)。そんな中で母が転倒、明日腰の手術をする事になった。家族同伴のためには多忙な姉か、私のどちらかが仕事をキャンセルしなければならなくなった。「実は指先を骨折して今、病院。‥今は精神的ショックが大きいけど、どうせ弾けないので、せめて病院に行く時の為の日時と場所を教えて下さい」とラインで返信したら、暫くして姉から「なんと。お大事に。」と返信。5分後、「当方で欠席する旨会社に宣言した。安静にしてて下さい」と追加の返信が来た。液晶画面を見ながらみるみる涙が溢れて来た。どちらかがアテンドすれば一人は欠席でも良い、なんて私は一度も思った事は無い。母と会える時は一体あと何回あるだろう?出来ればもっとアテンドしたいが、入院先がドアtoドアで1時間半以上かかるので、駆けつけるには1日の仕事を全部キャンセルしなければならないのだ。姉には万が一鬱血が酷くならなければ駆けつけるので一応場所を時間、場所を再度聞いておいた。

今、人生山あり谷あり、の「谷底」にいます。ロッククライミングのように一手一手、手探りでスタミナと戦いながら這い上がっていく選手の姿を思い浮かべながら、今年の後半は昨年より進化した演奏を目指します。

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