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【サステナツーリズム】住宅から考えるサステナブルin長浜

こんにちは。Sustainable Week の佐藤です。
この記事では、長浜市でのサステイナブルな取り組みとしてバイオマスボイラや滋賀県産材を取り入れた住宅を見学させていただいた様子をご紹介します。
本取り組みは、滋賀県学生活動支援補助金によるものです。

滋賀県内大学学生活動支援補助金とは:
コロナ禍の中で低調となっている学生同士や地域とのつながりを創出するため、滋賀県内にキャンパスを持つ14大学に所属する学生から構成する団体等を対象に、感染対策を講じた上で、滋賀県内で行う地域活動に対して交付されている補助金です。

「響の杜」Sustainable Labo

内保製材株式会社「感響の家」のモデルハウスを見学させていただきました。内保製材の川瀬さんに、地域の自然素材や地域の職人の技を活かした家づくりについてお話を聞きました。

まず、外壁に使われているのが三角焼きの板です。焼き板というと、バーナーで焼いているのを想像しますが、この三角焼きは伝統的な手法で、その名前の通り、板を三角柱にし、内側から板の表面を焼いていきます。そうすることで、より厚い炭化の層になります。

三角焼きの外壁

▲内保製材さんの三角焼きの様子

また、川瀬さんは「軒下を大切にしている」とおっしゃっていました。このモデルハウスでは、軒が広くつくられています。これは、雪が多い長浜だからこその工夫だそうです。玄関先の軒が広いと、雪の日でもお客さんがゆとりをもって待つことができます。また、軒の広いベランダで、雪が多い長浜で、冬でも外にでることができます。

家の中には、木のあたたかい空間が広がっていました。床は、床暖房がなくても、木のぬくもりで快適に過ごせるようになっています。
暖房は、エアコン・ヒーター・薪ストーブが設置されており、それぞれのお客様にあった暖房対策を提案しています。家の中は、1階と2階が吹き抜けになった、解放的な空間になっており、そこで空気が循環することで暖かさを保っています。さらに、断熱材も自然由来でできており、見えないところまで、環境にこだわった家になっています。

モデルルームの説明をする川瀬さん

この家の一番の特徴といっても過言ではないのが、オール太陽光エネルギーへの挑戦です。家には、太陽熱温水パネルや木質ペレットボイラを設置して、自然の力を使ったエネルギーを利用しています。ペレットは木を使った燃料で、太陽エネルギーで育つ木を使うということで、太陽エネルギーの一つとして用いられています。現在は、コンピューターで使用状況を管理しながら、オール太陽エネルギー住宅への取り組みを進めています。

ボイラーについて話す川瀬さん

このモデルハウスは政府の取り組み基準の少し先をいくような設計になっています。これは、環境問題に興味を持っていない人にも住んでもらえるような家にしたいとの想いがあります。環境問題に興味があるなしに関わらず、色々な人にこの自然の温もりと住み続けられる家を感じてほしい。そのために、最先端ではなく、環境にも生活にも寄り添った、住みたいと思える住宅の設計になっています。

バイオエネルギーを用いた取り組み

モデルハウスを見学したあとは、株式会社バイオマスアグリケーションの久木さんのご自宅で、実際にどのようにバイオエネルギーを導入しているのかお伺いしました。
久木さんの取り組みは、びわ湖放送で取り上げられています。
https://youtu.be/2IESXmL--oU

自宅での取り組みを紹介する久木さん

内保製材さんのモデルハウスでは、軒下が広い設計になっていましたが、久木さんのご自宅では、日差しを計算した軒の設計になっていました。夏は、日差しがあまりはいらないように、冬には家の奥まで日が差し込むように設計がされています。モデルハウスとはまた違う軒設計でしたが、それぞれの良さや想いがあるのだと思いました。

また、他にも家の中の温度を調整する仕組みを発見しました。風が通るように設計された窓の位置や吹き抜け、冬に活躍する焚火ストーブ、室温に合わせて自動で切り替わる温水ヒーターなど。自然の力や技術力を駆使して、エコに快適な空間をつくり出しています。

薪ストーブ

久木さんの家では、薪を使ったボイラを見せていただきました。温水をためておくタンクは、上の方は温度が高く、下の方は温度が低い層になっており、使う場面に応じて、熱を供給しています。また、ボイラの制御はコンピューターで行っており、効率よく熱を生み出すことを可能にしています。

ボイラの管理パネル

見えてきた課題

快適で環境にも優しいサステイナブルな素敵な家ですが、お話を聞いている中では課題も残っています。それは、コストの部分です。

ボイラの課題を話す久木さん

このバイオエネルギーのボイラを用いた取り組みが進んでいるのが、オーストリアです。オーストリアでは、家庭用にも販売が進んでいます。普及が進んでいる理由は、安く導入でき、燃料も安く手に入るからです。また、オーストリアでは、ボイラを用いて産み出した熱を地域内で供給できるラインも整っており、地域でエネルギーが循環する仕組みが整っています。

久木さんの住宅にある、薪のボイラでは、地域の土地柄、薪が入手しやすく、廃木材など安価な原料も調達できるため、燃料のコストを抑えられているそうですが、モデルハウスのペレットボイラの燃料であるペレットは、オーストリアに比べて高く、燃料を買って自分で運ぶ手間も必要になります。ペレットは、日本でも生産されていますが、生産の規模がとても小さく、中々普及しません。

久木さんの自宅の薪

行政による補助金もありますが、それだけではなく、ボイラと供給チェーンを総合的にデザインをしていく必要があります。燃料の供給には、森林経営や地域の支援体制も必要であり、さらにボイラを導入するか否かの選択権は私たち消費者にあります。工程ごとに分断された解決策ではなく、大きな視点で仕組みづくりをしていくことが、今後必要になってきます。

今回の見学を通して

今回、様々な取り組みを見させていただき、身近な住宅というところのサステイナブルについて考えてきました。まだまだ課題も残る中、市民・行政・企業が連携して、トータル的に環境への取り組みを進めていく必要があることがわかりました。私自身、滋賀県にずっと住んでいましたが、長浜市での取り組みを知ったのは初めてでした。この記事が、多くの人に活動を届ける一歩になればと思っています。

最後に

最後までお読みいただきありがとうございました。
Sustainable Week は、ツーリズムを通して、SDGsやMLGs(滋賀県のローカルSDGsである琵琶湖版SDGs )を発掘・発見しています。
ツーリズムで発見したSDGsやMLGsについてはHPに記事を公開していきますのでぜひご覧いただけますと幸いです!

▷HP(HASHTAG SDGs)はこちら

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