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『かつて天才だった俺たちへ』Creepy Nuts 東京追加公演

Creepy Nuts の『かつて天才だった俺たちへ』ツアーの東京追加公演初日を見てきました。
武道館公演でDJ松永が2日間連続泣いてMCできなかった話がエピソードトークとして秀逸すぎるし、その雰囲気を少しでも感じたくないですか?
実際行ってよかったです。

開場前には無印良品有明でほりはたまおさんの絵の展示をみて、理想の新居を想像してました。マティスみたいなオリーブの絵欲しいぞ。。

会場は有明の東京ガーデンシアターだったんですが、ぴあの一般抽選枠なのに見やすい席(1階スタンド)でやったーという感じ。年の瀬に行ったDAIBAKUSHOWの2階スタンドから見た千鳥やかまいたちは米粒くらいだったもんな。

入場すると半分くらいが女性ファンでなるほどな、と。DJ松永とさらば森田は同じタイプのルックスだと日頃から思っているんですが、どこでこんなに差がついたんだ。僕は森田さん派です。

ツアータイトルの『かつて天才だった俺たちへ』は2020年にヘビロテしたアルバムのひとつですし めちゃめちゃ期待していましたが、一曲目の「ヘルレイザー」からきちんと見惚れてしまいました。

肩を丸めながら小刻みに身体を震わせて韻を踏むR指定は、まるで車のエンジンのよう。人間というよりもエネルギーの塊を見ました。
「耳無し芳一Style」⇒「生業」のパフォーマンスなんて、ただただ仁王立ちで韻を踏みまくるというスーパーストイックなスタイルで格好いい。
マイク一本で人前に立つ。実際に目の当たりにすると、これは途方もない業なんだと伝わりますね。
そして音楽はもちろん、背景にあるパフォーマンスに対する自信が底抜けに気持ちいい。気が遠くなるような時間をかけて積み上げてきた小さな挑戦の累積。そこに裏打ちされた”人としての厚み”に圧倒されることが、こんなにもビビットな鑑賞体験を運んでくるのかとただただ感動しました。

ともすれば、煽りのジャンプで20センチくらいしか飛べていないのも可愛げがある。ギャップ萌えも完備しているR指定すげー。

念願の「Dr.フランケンシュタイン」も聴けました。Rが卒業ソングなのに気が付かないひとが多いと言ってました。義務教育や学校をモチーフにした曲だとは思っていたけど、卒業ソングなんだ。

メディアスターのふたりはお笑い的な面白さがフィーチャーされがちなんだけど、こんな風にまっとうな話しもきちんと面白い。
MCを聞いていて いいなぁと思ったのは、R指定は自分を救うためにラップを書いているという話。
今の自分をラップにすることで、自分と向き合う。そのためのラップであり、言葉なんだ、と。

誰かに向けてラップを書くことは(今のところは)できない。
それでも偶然ベクトルが自分と合ってくれたいまのあなたに聞いてもらえたらうれしい。


こんなこと言われたらわざわざ会場に来ているファンはたまらなくないですか?

そして、そんな話のあとの新曲もとても示唆的。
韻をとにかく踏みまくる衝動的なラップから一転、Jpopらしいおおらかでゆったりとしたメロディーラインを歌っている。

その模様は、高速カット割りで一世を風靡したエヴァが庵野監督の加齢とともにテンポに変わっていき、先日のシンエヴァで極めてスローな日常へと回帰していった様と重なりました。

松永は武道館で2日間連続泣いた理由を、ヒップホップは今の自分を歌う曲なので思い出がプレイバックしてしまうからと言っていたんだけど、未来から振り返るとどういう風に映るんだろう。
Creepy Nutsが「顔役」として名乗りを上げた2021年はきっと新たなステージに進んだ年として振り返られるんじゃなかろうか。
そんな時代にふたりのパフォーマンスを見られる僕らは幸せですね。

最後に、いつか霜降り明星せいやが”MCから曲に繋げるときのR指定の喋りかた”のモノマネをすると思うのでここに予言しておきます。

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