透明なガラスの檻の中で。

透明なガラスの檻の中に3年も暮らしている。肌はボロボロにハゲ上がり、体のあちこちが少し千切れている。それでも死なない自分に感動する。

何故、自分が生かされているのかわからない。もしも、自分が自分より高度な生き物手によって展覧されているとすれば、このような惨めな姿で生かしてはおかないだろう。手当もする様子もなければ、殺す気でもない。ただ、食事だけはたっぷりとくれる。それが何故だかわからない。

私がこの檻に連れてこられた時。私と同じようにどこからか連れてこれてきたものたちもいた。みんなツヤツヤで生きの良い若者達だった。その中にあって、私は貧弱で体も小さくボロボロの年寄りだった。

皆、この過酷な環境に置かれて、まずこの老いぼれの心配をした。『じいさん大丈夫か?必ず、俺たちがここから連れ出してやるから心配するな!』と声をかけてくれる若者もいた。

しかし、このガラス張りの檻からは誰も逃げ出せなかった。定期的に天井から食事が落とされてくる以外にどうしようも出口がなかったのである。1週間もすると元気だった若者も最初の威勢は消え失せて、やるせない空気が檻の中を包み込んだ。なんの為に自分たちがここに連れてこられたのかわからない。

そんな事を考えていると天井から巨大な網が現れて、サッと一番体格の良い若者が拐われていった。そして、ガラスの向こうで残酷に生きたままバラバラにされていた。その風景や口舌に耐えがたいものであった。

それから、定期的に網がやってきて体格の良い奴から順番に拐われていって殺されていった。

いつしか、檻の中は当初の4分の1になり、絶望に溢れていた。

『なあ、あんたは良いよな!じじいだから!どうせ、死ぬのは俺たち若い奴らだよ!』

誰かが私に酷い言葉を投げかけると、他の連中も同調して一斉に私をリンチしてきた。きっと、逃げ場のない恐怖が私に対する暴力として現れたのだろう。

しかし、不思議な事に次に網拐われたのはわたしだった、ついに俺も死ぬ時が来たのだ!と覚悟を決めたのだが。不思議なことが起こったのである。檻の中に残された連中が一斉に殺されてゴミ箱に放り去られて、私だけ檻にそっと戻されたのである。

何故だか、わからないが私は生かされたのである。

それからそれが定期的に続いた。若者が大量にやって来ては、順番に殺され、檻の中の人々がストレスが溜まって私をリンチすると、檻の中は一斉に殺戮され、私だけ檻に戻されるのだ。
そう、さっきも私がリンチした若者達は殺されて、檻の中は私一人になった。

度重なるリンチでわたしの体はもうボロボロである。恐らく、次のリンチで私は死ぬだろう。嗚呼、檻の中にまた活のいい若者たちがやってきた、、、。こんな事が続くなら、いっそ私をバラバラにして今すぐ殺してほしい、、、。


///////////////////////

「親方!何で、生簀で汚い魚をずっと飼ってるんですか?」

「ああ、あれは生簀の魚がストレス溜まってあの汚い魚攻撃しだすと。不味くなったサインだから生簀の魚を全部捨てて交換するのよ。ちなみに、あの汚い魚は長生きで生命が強い事が有名でな。あんなにボロボロでもあと1年は生き延びるぞ。」

「へぇ〜。奥が深いですねぇ。」


うーん。ドッスン